世界の片隅で小さな声で申し訳なさそうに「スティール!」と叫ぶ!

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Mar 20, 2024
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カテゴリ: 真空管
PHILCOの48という真空管を紹介します。

こんな真空管があったのですね....。


PHILCOの刻印



良い状態の元箱。


黄色と青が綺麗ですね。


ほぼ完全な状態かと思われます。


48はどれくらい生産されたのでしょうか。


私の大好きなダブルヒーター(ダブルカソード)です。



48は四極菅でサプレッサーグリッドやビーム電極がありません。
では、どうやって効率良くカソードの電子を受けるかというと....
これです。

以前、 HY69 HY1269 と同様にキャビトラップ(プレート内側に設けられた衝立形状の部品)が設けられています。
写真が薄暗いですが見えますでしょうか。

キャビトラップ(Cavi-trap)については、 tube designの「真空管 解体新書」 や、 The valve museum「Mullard Line Output Pentode Type PL500」 が参考になります。
CavityとTrapを組み合わせた言葉でしょう。
熱電子を効率良く捕らえる構造です。
この構造は水平偏向管にもよく採用されているとか。(私はバラしたことはないのでわかりませんが)



規格は 真空管(Electron tube) 規格表データベース「RCA 48」規格表 が参考になります。

ピン配置は42と同じです。
ヒーターは30Vの0.4Aなので6.3V換算ですと1.9Aもあります。
プレート損失の情報はありませんが、少な目に見積もって9Wというところでしょうか。
とにかくヒーター電力が高いので、プレート電流まで多くするのは少々厳しいものがあります。
規格表にも書いてありますが、コントロールグリッドからグランドに落とす抵抗値は10kΩ以下を指定しています。これは超絶使いづらいですね。



ヒーターを点灯すると、こんな感じです。


いかにも馬力がありそうな感じですね。

船の中の殆どがボイラーの駆逐艦のようで、私は好きです。



etracerで特性を測定します。
四極管接続はEg2=96Vとします。

【1本目】Eh=30V, Ih=0.4A

三極管接続

Ep=125V
Eg1=-33.5V
Ip+Ig2=51.78mA
Ig2=10.53mA
rp=618Ω
gm=3998μS
μ=2.5V/V

四極管接続

実用的ではないのでグラフのみです。(真面目に測定する気にもなりませんでした)

【2本目】Eh=30V, Ih=0.4A

三極管接続

Ep=125V
Eg1=-35.4V
Ip+Ig2=52.04mA
Ig2=11.05mA
rp=602Ω
gm=3882μS
μ=2.3V/V

四極管接続

グラフのみです。


三極管接続ではEp=125V、Ip+Ig2=52mA時、2kΩの負荷で1W近く出ます。
rpが低くバイアスは34~35Vと深目です。
歪率は良くありませんが、なかなか綺麗な特性だと私は思います。
十二分に実用的な特性が出ています。

四極管接続はいかにも古典的な四極管という感じです。
それでもIp特性がベッコリと凹まないのは優秀なほうかなと思います。
ただ、近代のオーディオ用途を考えるなら三極管接続が良いでしょうね...。


ところで、この48は前述のようにヒーター電力がとても高いです。そこまで高くなくてもよいのでは?とも思えますよね...。
そこで、どれくらいヒーター電圧を下げても使えるか試してみました。

27V0.38A(6.3V換算で1.6A位)


24V0.35A(6.3V換算で1.3A位)


Ipカーブからは27V点火でも十分実用になることがわかりました。
一般にエミッションを下げすぎると寿命が縮まると云われますが、Ipカーブが倒れない24VまでOKかなと。
24V以下は測定していませんが、さすがに低すぎると思います。



今回、48は「珍しい」という理由だけで購入しましたが、三結であれば十二分に実用的なオーディオアンプになることがわかりました。





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Last updated  Mar 20, 2024 03:23:24 PM
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イィヴィ平野 @ Re[1]:6CW4という真空管(12/17) プリマさん、こんにちは。   真空管、高…
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