今が生死

今が生死

2009.01.27
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カテゴリ: 政治
日経メディカル1月号に、英国留学中の冨塚太郎氏の上記題名の寄稿文が載っていた。

英国の医療制度の根幹は1948年に設立された国民医療サービス(NHS)である。その制度によれば受診者の患者負担は全て無料だが、病院への受診は地元の家庭医からの紹介に限定されている。財源は税金から賄われている。

1979年に誕生したサッチャー政権は、経済の停滞と不況への対策として国庫負担を抑制し、徹底的な競争原理により、経済の活性化と国際競争力の強化を目指した。その聖域なき改革は、全ての面に及び、医療も例外ではなかった。公的医療機関同士で競争させることと、民間企業の医療への参入を推進した。その結果不採算病院が潰れ、ベッド数が減少し、病院への入院待ち患者、手術待ち患者が116万人に膨れ上がり、18か月待ちの患者だけでも約70万人いる状況になってしまった。

病床数36万床減らす医療費削減政策を打ち出した小泉改革はサッチャー氏の医療政策は間違いだったと英国で証明済みのことなのにあえてそれを行った。絶対多数に支えられて何でもOKの流れの中で、国民の生活を考えるよりも、経済優先で政治を行った小泉氏のしりぬぐいを安倍、福田、麻生政権がしているが、同じ政権与党内なので限界がある。

英国では国民の不満が頂点に達し、1997年の総選挙では労働党のブレア氏が政権をとり、マニュフェストで公約した医療政策改革に乗り出した。医療への公的支出増加と医療従事者増員対策の2本柱を打ち出し、サッチャーおよびメージャー保守党政権の方針の大転換を図った。

結果は医師や医療従事者の増加により、1997年には120万人いた入院待ち患者が80万人まで減少し、特に6か月以上の入院待ち患者は2004年には66,000人だったのが、2005年末には48人と激減した。

医療には金がかかる。経済優先でそのお金をカットすれば、国民は困る。小泉氏はイギリスの事情を知っていてか知らなくてか無謀な政策を強行した。

英国の医療政策の失敗を学んで、我が国の医療に温かい目を向けてくれる政権の出現を心より望んでいる。





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Last updated  2009.01.27 20:13:46
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