今が生死

今が生死

2009.01.25
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カテゴリ: 政治
アメリカでは被差別人種アフリカ系黒人が大統領になった。それとの関連で、日本の被差別階級、部落民についての記事が今日のジャパンタイムズに野中広務氏の顔写真と共に掲載されていた。

部落民というのは、封建社会で家畜の屠殺等を業とする人達を差別して一定の地域に住まわせた名残で、明治以降そのような差別はなくなったが未だにその影を引きずって差別意識で見られている人達で、その関係者は関西地方を中心に約90万人いるという。

結婚、就職、その他で差別を受け、みじめな生活を強いられた人たちも多いという。しかし現在では実業界、教育界、芸能界、政治の世界で活躍する人も出てきて様相が少しずつ変わってきている。

今回の記事は、オバマ氏は大統領になれたが 野中広務氏はなれなかった。もしなれていれば日本も変わっていただろうに、という意味あいが込められたものだった。

野中広務氏というのは森内閣の時の自民党幹事長で、森氏退陣の時ナンバー2の位置にいたので、野中氏が総理、総裁になってもおかしくない情勢にあった。その時(2001年)総裁選に立候補していた麻生太郎氏が舞台裏で、「野中さんみたいな部落出身者が日本の総理大臣になってよいのか」と発言した。結果は麻生氏は落選し、小泉純一郎氏が総裁に当選したが、その時の麻生氏の発言を「絶対許さん」と野中氏は後で語っている。

野中広務氏はハンセン病患者その他の弱者に対する思いやりの深い政治家で弱者救済に多くの実績を挙げてきたきた人だが、「部落出身」の言葉に大きなダメージを受け、総理、総裁になることもなく、2003年に政界を引退している。

もし野中さんにオバマ氏のような固い信念と意思があったなら、その言葉をバネにして、勝っても負けても総裁選に打って出たと思う。オバマ氏の勝利で今では野中さんの心中も変わっているかも知れないが、その当時は、「部落出身」の言葉が、政界ナンバー2の立場の人でも、その心を砕くほどの魔力を持っていたのだと思う。

この記事は数日前のニューヨークタイムズにもほぼ同じ内容で掲載されたそうで、かなりのアメリカ国民も読んだはずだ。部落差別発言をした麻生氏は現在内閣総理大臣である。オバマ氏を選び差別のない国を築こうと出発したアメリカ国民にとって麻生氏はどのように映ったであろうか?

人間いつでも完璧でいられるわけではない。その発言は9年前のことである。アメリカ人も過去の発言で今の総理の評価はしないだろう。昔は昔、今は今、今こそどのような立場の人たちも差別しないで皆が幸せになる政策を断固実行してほしいと心より祈っている。





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Last updated  2009.01.26 21:48:26
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