今が生死

今が生死

2013.01.28
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カテゴリ: 健康
放射線の人体への影響は多くの人が書いているが、今回産業保険21の1月号に放射線影響研究所遺伝学部の濱崎幹也さんが、分かりやすく書いているのでかいつまんで紹介しようと思う。

放射線の中でも電子を放出する電離作用のあるものが人体に被害をもたらす。これにはX線、ガンマ線のように波の性質を持つ電磁波とアルフェア線、ベータ線、中性子線と行った粒子の性質をもつ粒子線の2種類がある。X線やガンマ線は鉛やコンクリートでないと遮蔽できないが、粒子線は紙1枚程度でも遮蔽することができるがこちらのほうが人体への影響が大きい。

放射線の種類や被爆した体の部位によっても生体への影響が異なり、これらを加味して被ばく線量を統一して考えるためにシーベルトという単位が使われている。

被爆には外部被爆と内部被曝がある。外部被曝はガンマ線などによって外から被爆するもので内部被曝はアルファ線などが体内に取り込まれてそれによって被ばくする場合である。

急性被爆と慢性被曝があり、急性は1度に大量の被爆を受ける場合で慢性は少しずつ蓄積する場合で、同じ放射線量に被爆した場合は、1度に受けるより、少しずつ慢性的に被爆する方が影響は少ない。

30歳で1000ミリシーベルトに被爆した場合、70歳でどこかのガンで死亡する頻度が被爆しない人の1.5倍に増加すると言われている。200ミリシーベルト以上なら受けた放射線量に比例して障害が起こるとされているが、200ミリシーベルト以下の低線量で障害があるか否かは分かっていない。障害があるとする説と低線量では却って健康にいいという説もあるが、
万が一を考え、低線量でもその量に応じて障害が出る可能性があるとして被爆線量管理が行われている。低線量で遺伝の影響があったという報告はない。

平成23年3月11日~24年9月30日まで現地で働いた東電及び協力会社社員24,118人を調べたところ被爆累積量は、ほとんどが100ミリシーベルト以下だが、以上の人も167人いた。以前は250ミリシーベルトまでOKとの特例省令があった関係で250ミリシーベルト以上の人も6人いた。

現在はH23年12月16日以後年間50ミリシーベルト以下、5年間で100ミリシーベルト以下とかなり厳しい基準が設けられており、平成24年4月以来9月30日まで働いた9,676
人中50ミリシーベルトを超えている人は一人もいない。

以上は建家内作業や除染作業等に従事している人たちの話で一般住民では殆どゼロに近い被曝量で全く問題はないが、長年蓄積していくとどうなるかとの問題はある。しかし現在200ミリシーベルト以下の低線量の影響は報告されておらず、冷静に判断していく必要があると考える。






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Last updated  2013.01.28 23:15:03
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Re:放射線の人体への影響  
にゃんた7151 さん
放射線は核壊変の過程で放出されますが、ここでターゲットとする放射線の親元素は何でしょうか?
世間で話題になっているのはセシウムとヨウ素でしょうか?
ヨウ素は甲状腺に異常をきたすのでヨウ素かなぁ?とも思いますし、半減期を考えるとセシウムかなぁ?とも思います。
でも他の元素はどうなのでしょうか?
例えばウラン、プルトニウム、ストロンチウムなどです。
一般には公表されていませんが、爆発の状況を考えると放出されていると推察されます。 (2013.01.29 01:49:55)

放射性元素の影響  
楽天星no1  さん
にゃんた7151さん
にゃんた7151さんが挙げられたこれらの物質は核破壊によって放出されていますが、それらから出る放射線量全てと被害を受ける臓器など全体を総合的に評価して人体に影響を与える単位としてシーベルトを示したので濱崎さんの論文では個個の元素についての記述はありませんでした。そこで長崎大学の高村教授、山下教授の福島での講演のその部分に関するところを引用させて頂きます。

「どのような元素も安定な元素と不安定な元素があります。不安定な元素は、安定になるために分裂をします。その時に放射線を出すんです。でも安定に近づくにつれて放射線は出なくなります。これを半減期といいます。どんどん放射線の活性は減っていきます。エネルギーが強いほど減っていきます。大気圏中にです。今回の多くの放射線元素は放射性ヨウ素であります。
ヨウ素は半減期が8日間。8日間で半分になります。そして、その量も非常に少ないために大気圏中にあるものが体に入る確立は10分の1です。放射線ヨウ素というのは甲状腺ホルモンの原料です。甲状腺に取り込まれます。ワカメやコンブにたくさん入っているのと同じものです。その不安定な元素が、実は原子力から出ます。それを吸入して少しは甲状腺が被爆するかもしれません・・・」
そのあとは省略させていただきますがヨウ素も、セシュウムも人体に取り込まれますが、やがて排泄されるもので、取り込まれたとしても極めて微量なもので人体には影響がないと考えられると述べています。
(2013.01.29 21:48:42)

どうもありがとうございます。  
にゃんた7151 さん
のんびりしたお返事ですみません。
丁寧に調べて下さり、どうもありがとうございます。
☆~☆
実は私は核壊変を利用して年代を測定する仕事もしていました。なので半減期やメカニズムなど、基本的な事は存じています。
ただ、鉛で完全にシールドされた機械で分析していましたし、他にも電子線やX線が発生する装置も使っており、毎年、被曝量を測定してもらっていたので、健康被害については疎いです。
ヨウ素は甲状腺、ストロンチウムは骨くらいしか知りません。
せっかくなので、これからぼちぼちのんびりと調べてみようと思います。 (2013.02.01 07:13:50)

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