今が生死

今が生死

2013.09.25
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カテゴリ: 健康
最近、アメリカのAsama Sらのミネソタ大腸がん対照試験参加者46,551人を対象として、30年間追跡調査した結果が報告された。毎年便潜血テストを受けた人の大腸がんによる死亡の相対危険率は0.68%で、2年に一回受けた人のそれは0.78%でいずれも統計学的に有意に相対危険率が低かった。しかし大腸がんだけでなく、全ての原因でなくなった人の死亡率は検査を受けたグループも、受けなかったグループも差がなかった。

同じく最近の報告でデンマークのKrogsboll LTらの過去の論文を集めて集計した結果も注目に値する。各種論文から182,880人を抽出し、そのうち全死亡に関する情報を報告していた11,940例の死亡例について健診を受けたか受けないかで分類して比較検討したところ、病気の罹患率や全死亡率に差はなかったし、心血管死や癌死も健診受診群と健診非受診群で差がなかったとのことである。

死亡率に差がないのに健診をせっせと行えば莫大な金や時間がかかるし、疑い診断されて精査、精査で精神的苦痛を受けるし、無駄な手術や投薬が増える等の、重大な不利益もあるとの考察がなされていた。

死亡率で差がなくても健康寿命で差があるかもしれず今後の精密な研究が待たれるところである。このデーターをみて私は少し非科学的だが、人の寿命は決まっていて健診を受けても受けなくても集団としての死亡率には差は出てこないのではないかと思った。

私も20年間健診業務に従事し、それによって皆さんの健康増進、寿命延長のお手伝いを行っていると信じて鋭意、奮励努力してきた。それなのに必死で努力して健診しても不利益の方が大きく、死亡率に差はないとなるとがっくりしてしまう。

欧米では日本のように充実した健診体制が確立されているところは少ない。その中でのデーター集計なので日本のようにきめ細かく健診を行っている国のデーターとは少し違うかもしれない。日本の学者による精密な集計結果の報告を期待している。





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Last updated  2013.09.26 14:04:59
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