今が生死

今が生死

2014.01.24
XML
カテゴリ: 仕事
もし医師を目指す方がおいでなら、参考になるかもしれないので、医師とはどういう仕事でどういう境遇なのかということを書かせていただこうと思う。

医師といっても開業している医師、病院勤務の医師、大学病院や研究所で研究している医師など様々だが、ここでは、入院や外来患者を診ている一般勤務医を例にとって説明しようと思う。

先日超音波検査を受けに来た80歳の女性から「40年前その方のご主人が命が危なかったのを輸血その他の懸命な治療で助けていただいたが、その時の担当医が私で、命の恩人である私のことを鮮明に覚えている」と言われた。私はといえば、鮮明どころかおぼろげにも覚えていない。その代わり治療がうまくいかなくてお亡くなりになった人のことは鮮明に覚えている。おそらくその方々の家族の人達も憎しみの対象として私を覚えているのではないかと思う。

一日の仕事内容は、病院に着いたらまず病棟回診から始まる。その後外来とか胃カメラとかの任務に移るが、病棟の患者が発熱したり、嘔吐したりしているとその処置で外来開始時間に遅れてしまうこともある。病棟の患者が具合が悪いと我が身も具合が悪くなってしまう。外来では必死で患者さんをさばくが、中にはあれこれ質問してきて時間を取られてしまうこともある。大変なのは12時前後に来る患者さんである。高齢者で発熱しているケースが多く、血液検査をしたり点滴をしたりするが、処置室がいっぱいになってしまう。入院させなければいけないのかと心を砕く。そこへ病棟患者が具合が悪くなったとの電話がある。処置を済ませて時計を見ると午後2時少し前だ。慌てて昼食を食べていると午後2時になる。2時は午後の仕事のスタート時間である。この頃昼休みはほとんどない。

午後は午前中に入院させた患者さんの診察や他の患者の回診をしたり、退院サマリーや介護保
保険用の主治医意見書を書いたりする。書類書きもかなりの時間を費やす。書類を書いていると健診室から、マンモグラフィ(乳房X線)の読影をしてくれと頼まれる。

日中は神経を使うことばかりで休憩時間もほとんどない。これが平均的な医師の一日である。
よほどの使命感がないとノックアウトされてしまう。一度油断すると入院や外来の重症者に引っ張られて自分も奈落に落ちていく。

これが現実である。外から観る医師像と実際の医師像はかなり違う。ノックアウトされそうになることが何度もある。それに耐えられる人が医師を全うできるのではないかと思っている。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2014.01.24 23:34:12
コメント(9) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: