今が生死

今が生死

2023.11.17
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カテゴリ: 健康

県医師会報告に医の倫理に関する設問形式の問題が連載されている。
今月号には66歳男性が腰痛で受診したがPSA値が高く精査の結果脊椎に転移した前立腺がんと判明した。その結果を娘さんに話したら「父がそれを聞いたら気落ちして死期が早まるに違いない。父には進行前立腺がんであることは絶対告げないで欲しいと懇願された。今後の対応で適切なものはどれか」を聞く問題で6つの選択肢から一つを選ぶ問題だった。
Aは娘の意見を尊重して病名は告げない。Bは娘に病名を軽率に話したのがいけない。それは医療倫理に反することで今後は家族に最初に知らせることはしない。Cは患者に進行前立腺がんと告げるのは酷だから前立腺肥大症と告げてがんの治療を行う。Dは転移癌であっても治療できる可能性があるので娘さんにその状況をお父さんに話してくれるように説得する。Eは病人は本人であり、娘の意見は無視して進行がんであることを本人に話す。Fは患者本人に正しい病名を伝えないと後で訴えられた時に敗訴するのでまず本人に正しい病名と進行状態を正直に伝える。
病名告知については昔は殆ど回答Aのように家族の希望もあり、患者にがん病名は告げないで治療が行われてきた。しかし最近ではほとんどの場合家族にも本人にも正しい病名を告げてがんの治療を行っている。病名を告げなければがんの治療ができないからである。しかし本設問のようなケースもたまにある。
この設問の正解はDで娘さんに現実を受け入れてもらってそのことをお父さんに話してもらって本人、家族ともどもに力を合わせてがんに立ち向かっていくようにするのが正解ということであった。
私も丁度同じようなケースの患者さんを受け持っている。腎臓がんが骨に転移したために骨折してその後のリハビリで入院したが娘さん達は絶対がんの転移で骨折したとは告げないでもらいたいとのことでそのようにしている。
当院に転院してくるまでには、手術してもらった病院でもそれを押し通してきたとのことなので、今更それを明らかにしても得るところは少ないので、普通の骨折と同じように対応している。
ケースバイケースで柔軟性があっていいと思う。
要は医師や医療従事者が患者さんや家族の状況を良く把握して、患者さんにとってどうしてやるのが一番良いかを考えて対応していくのが良いのではないかと思う。





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Last updated  2023.11.17 14:33:46
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