通訳百景

通訳百景

2020.03.20
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通訳というと、スーツを着てすまして誰かの横や後ろに控えて淡々と発言を訳している人・・・ というイメージかな?

もちろん、そういう場面は多くあるけど、意外とカラダ張ってます。

いままでで一番キツかったのは、チリの大統領が来日したときの SP (セキュリティポリス)の通訳、いわゆる要人のボディーガードの仕事だったなぁ。

チリの SP 、すなわち大統領警護はカラビネロス( Carabineros )といわれる平時は警察業務、有事は軍事活動を担う日本にはない組織が担当していて、私はその「先遣隊」の通訳で呼ばれた。

先遣隊とは、大統領が来日する前に先乗りして各行程の安全を事細かくチェックし、当日は大統領が到着する数十分前に現場に入って地元警察の SP (都内の場合は警視庁)と連携して治安を確保するという任務をおびた数名の隊員から成るチーム。

で、私は先遣隊と警視庁とのあいだの通訳をするのがミッション。しかし、私にはほとんどミッション・インポッシブルな現場だったのよ。

なぜって?

「大統領、あと 5 分で現場到着!これから〇〇のアクセスの安全確保に向かう!ピッ!(袖口に忍ばせた無線機からの音)」

「了解!ピッ!」

走る!走る!カラビネロスが走る! 警視庁も走る!

通訳も走る!!

あ~。ついていけない!

さすが有事には軍隊に変貌するカラビネロス、そして日本の要人を警護するためにカラダを鍛えて抜いている警視庁 SP ・・・

一方、日頃たいした運動もせずにオフの日はダラダラしている通訳・・・。

足は空回りし、通訳しようとしても息が上がってゼイゼイ・・・

そもそも引き離されてしまっているので、大声をあげたとしても声は届かない。

ボディーガード( SP )のお仕事って聞いて、ケビンコスナーのラブロマンス映画を想い浮かべ、「はーい!やりまーす!」と二つ返事で引きうけた自分よ!

現実はそんなに甘くない。






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最終更新日  2020.03.20 17:39:51
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