明石海人歌集
白描(138)
岩波文庫より
(注)明石海人(本名野田勝太郎)は、大正7年沼津町立沼津商業学校(現:県立
沼津商業高等学校)卒業で、私の先輩であることを知りました。
第二部 翳(12)
軛
息の緒の冷えゆく夜なりまどろみつつすでに地獄を堕ちゆくひととき
いつしんに耳をすましてあきたらぬ頭蓋の奥をぬすみみんとす
室々
に背をむけてゐる影いくつ夜の敵意はいつかな熄まず
かぎりなき命と聞けばあなかしこ霊魂てふに化けむはいつぞ
愛執
は海に消えせぬ翳となり三半規管鳴りひそまりぬ(解剖室)
失せし眼にひらく夜明の夢を刷き千草の
文
を雨あしの往く
(つづく)
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