明石海人歌集
白描(197)
岩波文庫より
(注)明石海人(本名野田勝太郎)は、大正7年沼津町立沼津商業学校(現:県立
沼津商業高等学校)卒業で、私の先輩であることを知りました。
翳(二)(29)
秋日記
あかつきの風が投げこむ花の束いつか季節はびしびし清らか
梧桐の昼は旺んな陽のにほひあらぬ肢体がゆらゆらと撓む
いつしかに狙ひ撃う気になつてゐるそのするどさをはつと見返へる
ぬぐへども潔まらぬ掌のまのあたり日輪はまた赤く溺れる
脱走の夜ごとの夢はおづおづと
杳
き 団樂
の灯を嗅ぎまはる
あきらめか何かわからぬ褪せた血が凩よりも暗く流れる
(つづく)
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