11月19日(火)
令和元年後藤瑞義入選歌(よみうり歌壇他)(6)
六月号より(賀茂短歌)
菜の花に紋白蝶が触れており二歳に逝きし子が遊ぶごと
(読売新聞静岡版 よみうり文芸 五月二十九日 入選 渡 英子 選)
うぐいすとなりてわたしを慰めんと鳴いてくれるや亡き妻の来て
(読売新聞静岡版 よみうり文芸 六月 五日 佳作 渡 英子 選)
(評)春告鳥、歌詠み鳥、なつかし鳥などの異名を持つ鶯の啼き声はの
びやかに春を知らせてくれる。甘美な鶯の声がふと亡き妻の声を引き寄
せる。鶯は妻の魂を運んでくれたのだろう。
今宵無事夜警の仕事なし終えてまぶしみ仰ぐ朝の光を
(佐佐木信綱祭短歌大会 題詠「光」 六月 八日 静岡県歌人協会賞 )
妻在りし日は気付かずに過ごしたりわが家の庭の蛇イチゴなど
(読売新聞 読売歌壇 六月十一日 入選 小池 光 選)
やわらかき若葉おおえる山々に吐息の如き霧のかかれり
(読売新聞静岡版 よみうり文芸 六月十二日 入選 渡 英子 選)
機械にて植えたる苗は小さくて皆水中に沈み揺れおり
(読売新聞静岡版 よみうり文芸 六月十九日 入選 渡 英子 選)
生みたてのたまごをにぎり思ひ出づ死にしばかりの吾子の温もり
(NHK短歌大会 於:伊香保 六月二十五日「題詠 温」 特選 沖 ななも 選)
(評)生みたてのたまごと死にゆく吾子。命というものには温みがある。悲しい歌
だが、吾子の命がたしかにあったという実感んが甦ったのだろう。温かさとは生
命につながってゆくものなのである。
(つづく)
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