古泉千樫歌集(17)
中公文庫:日本の詩歌6より
昭和五十一年四月十日初版
歌集「屋上の土」(10)
明治四十二年
寒夜
ぬば玉の夜の 厩
に母がゆけば 提灯
を 提
げて吾もゆきにけり
提灯に手をかざしつつませの上ゆ首出す牛のまなこを見をり
海辺の夕暮
宵 くらき砂丘のかげに一人居り海のひびきのはるけくよしも
あかあかと燃ゆる 焚火
に手をかざし安き心にわがなりにけり
帰省
帰りきて坂に我が見るわが家はまだ灯もささず日は暮れたるに
村人ら植付前のいそがしくはたらくらしもわが父母も
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