1月30日(日)
閑吟集(3)
熟 ら本邦の昔を思ふに、 伊 陽 の 岩戸 にして七昼夜の曲を歌ひ、 大
神 罅 隙 に面し、神の 戸 擘開 して 霄壌 明白なり。 地祇 の始め 已 に 神歌
あり。次いで 催馬楽 興るなり。催馬楽再び変じて 早歌 となる。その
間、 今様 ・ 朗詠 の類数曲あり。三たび変じて 近江 ・ 大和 等の音曲あ
り。或いは徐々として 精 を 困 しめ、或いは急々として耳に 喧 し。公
宴に 奏 し 下情 を慰むるものは、それ 唯 小歌 のみか。
(つづく)
伊陽:伊勢の国のこと。 岩戸にして七昼夜の曲を歌ひ:岩戸の前で
神々が七日七夜の神楽を奏し。
大 神 罅 隙 に面し、神の 戸 擘開 して 霄壌 明白なり。:天照大神が岩戸
の 隙間 から顔を 覗 かせたところを 手 力男 命 が扉を裂き開いて天地は
再び明るくなった。
催馬楽再び変じて:鎌倉時代に至り
三たび変じて:室町時代に入るや
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