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2009.08.12
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涼子さんはヒロトとケースケの従妹だ。
たしか、ケースケより少し年下のはずで。
彼女とはヒロトの生前から何度も顔を合わせたことがある。
文字通り顔を合わすだけの関係で、私は、直接口を聞いたことはあまりなかったけれど。
兄弟といえば、弟の慶介だけで、妹のいないヒロト。
ヒロトは時折たずねてくる涼子さんを妹のように可愛がっていた。
まだ今よりもさらに幼かった私は、つまらない、
口先でじゃれるだけのつもりのやきもちを妬いたものだった。
ヒロトの死後も、法要の際に何度か顔を合わせたけれど、
直接声をかけられるのは始めてのことだった。

「はい?」
向き直って返事をする私を見ながら、
「ケイちゃんと付き合ってるってホントなの?」
ケイちゃん、、慶介のこと。私は質問の内容よりも、あまりに唐突な、そして、その苛立ちを含んだような響きに、彼女の表情に戸惑いながら、あいまいに肯く。
「えぇ」
涼子さんは、ため息をついてはき捨てるように言う。
「ほんと、図々しい人ね」
「図々、、」
今度こそ、怒りを込めた言葉、
「だって、そうでしょ?図々しいじゃない。ヒロくんがいなくなったからって、今度は慶ちゃんなんて。大体・・・ヒロくんを死なせといて、よくもケイちゃんに近づけるわよね」

ヒロト、、を死なせた。。
私が・・・?
ヒロトは、、ヒロトが自分で。。
だけど、心の闇に気付けなかった私は、やっぱり、、私が死なせたのかもしれない。。

何も言い返すことのできない私にじれたように涼子さんは続ける。
「ヒロくんもケイちゃんも、伯父さんや伯母さんにとって、、もちろん私にとってもとても大切な人なの。大切なヒロくんを死なせたあなたにケイちゃんまでたぶらかされて、伯父さんも伯母さんも迷惑してるのよ。2人とも優しいから、そんなこと言わないだろうけど」

迷惑。。
いつも優しい2人のお父さんとお母さん。
本当は、、私を、、

「私が何を聞いても誰も何も教えてくれないけれど、ヒロくんはあなたのせいで死んだんでしょ?それしか考えられないわ。あんなにあなたのこと大切にしてたんだから。一体何したのよ?ヒロくんが死にたくなるようなこと、あなた何かしたんでしょ?」

・・・何も思い当たらない。
そのことはヒロトの死後、何度も何度も考えたこと。
でも、何も。
ただ、何も思い当たらないこと、自体が、私をずっと打ちのめしてきた。

「そう・・」
答えない私に、軽くため息をついてから、涼子さんは言う。
「言うつもりがないなら、そのことはいいわ。ただ、少しでもヒロくんのこと、悪いと思っているなら・・」

思ってる。。
悪い、、なんて、ヒロトごめんね、なんて、
何度も何度も何度も心で。
私は遺影をもう一度見上げた。
ヒロト・・・。

涼子さんは、また混乱し、自分を見失いかける私に、きっぱりとその言葉を言い渡す。
「ケイちゃんとは別れてあげて」


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最終更新日  2009.08.12 20:58:38
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