ずっと想われていた話


写真部の部長だった彼は、とても静かで、優しい人だった。
いつも元気な私は、彼のことはただの友達だと思っていた。

高校を卒業して、大学生になり、彼は少し離れたところに進学した。
好きな写真をもっと勉強するんだ、そう言って。
たまに手紙を書いてもいいかな?そう聞かれて、
何も考えずにOK!と安受けあいする私。

彼からは意外と頻繁に手紙が来た。
字を書くのは苦手だからと、ワープロで書いてある。
苦手なのだったら、書かなくてもいいのになんて思いつつ、
決まった彼もいない私は返事を返していたの。

そのまま秋が来て、中学の同窓会で再会して連絡を取っていた男の子と、
お付き合いすることになった。
そのことを手紙に書いたら、もう手紙はこなくなってしまった。
あ、気をつかってくれてるのかな?
その位にしか思っていなかった。

そして2年後、私は就職して、彼はまだ大学3年生の秋、
駅で偶然会ってしまった。
ちょっと大人になってた、2人とも。
久しぶりに仲間と遊ぼうという話になった。懐かしくて。

みんなと飲んで騒いだ後に、彼と酔い覚ましの散歩。
…元気だった?…ウン
…彼とはうまくいってるの?…ダレノ事イッテルノ?
…僕と手紙やり取りしてた頃の。…アア、ソレ?スグニ別レタワ
……………彼の長い沈黙。
…………………まだ黙るか。

「高校生の頃から、ずっと好きだったんだ。僕と付き合ってください」

…え?
………まじですか? σ( ̄◇ ̄;) ワ、ワタシを?ずっと?

実はこの時、アメリカ遠距離中、音信不通の彼がいた。
が、この一言にグッと来て、また安受けあいしてしまった。
お付き合い、OKしたのである。
これが、のちに後悔の元になるとも知らずに。



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