かめさんの百名山日記

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TSANYO @ Re:幌尻岳(2052m 北海道)(日本百名山100座目)(08/04) お久しぶり! 日本百名山完全踏破!! …
名無しのツーリングライダー@ Re:羅臼岳(北海道 1661m) (日本百名山第97座目)(08/28) えーと、場外から失礼します。 大きな画像…
2016.03.05
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今日2月27日(土)は、冬季、常念岳リベンジの4回目だ。11月からこれで3回登頂を失敗している。
1回目は昨年11月、一ノ沢が悪天候で増水していて、笹原平先の丸太橋(冬季撤去)の渡河で足をすくわれ流されて、標高2000m越えでアウト。2回目は今年1月、同じく一ノ沢ルートで、1本目の丸太橋を渡河した地点で、急激に天候が崩れ断念。3回目も、再度、一ノ沢ルートで、前週の大雨で雪が腐り、あまりの雪の重さにコースタイムを大幅に超過、加えて、雪崩の危険もあり、2回目よりも少し先で断念。
もう雪解けまで常念は止めておこうと思いながらの下山であったが、帰宅して数日、どうにも諦め切れない自分がいた。丁度、会社の代休と併せて3連休。これを使わない手は無いとアタックを決めた。ただ一ノ沢ルートは、前回の登頂で雪崩の危険が大きい為、信頼できるヤマ友に相談。結果、一ノ沢とニノ沢の間にある東尾根、もしくは、さらに南の南東尾根を薦めてもらった。どちらも夏道登山道では無い積雪期のみ許されるバリエーションルートだ。万一の事を考えて、烏川林道に近い南東尾根を選んだ。

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      【前常念岳】

2月26日(金)さいたまから全線下道で230km。烏川渓谷緑地内にある「ほりでーゆ~四季の郷」の先にある烏川林道のゲートの右に午後9時に無事到着。4月まで冬季はゲートは閉鎖されて入る為、ここから林道歩きとなる。午前0時まで仮眠し、軽く腹ごしらえ、午前1時に出発。空を仰ぐと満天の星、19夜の月が輝き、無風。これは最高のコンデションと、4度目のリベンシ成功の期待が高まる。

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南東尾根の登山口までの直線距離で約3.5kmの緩斜面の林道は約30cm程度の積雪だ。先週一旦気温が上がり、また冬型で気温が低くなったので、ツボ足になる事なく歩く事ができる。途中まではトレースがあったが、大水沢ノ滝の展望台から先はパタリとトレースが消えた。どうやら、この滝を目当てに来たハイカーのもののようだ。ここから常念岳方向を望むと、月明りにぼんやりと真っ白な常念岳が見える。いやぁ、まだまだ遠い。気を取り直して、延命水を過ぎ、地図にはない、みゆき池に、午前2時57分到着。ここから先に大平原という平坦な場所が広がり、ニノ沢と三叉の分岐の道標がある。この道標の裏からいよいよ南東尾根に取り付く事になる。

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12本アイゼンを装着して、まず、目標は山の名前も無い、標高1596.8mの三角点を目指す事になる。誤って目標を外れないようにDIY GPSでウェイポイントをセット。月明かりでぼんやりと斜面が見えるが、積雪は30cmほどだが背丈ほどの笹と雑木のミックスで先が見通せない。「おいおい、こんなとこ登るんかい??」という感じ。でも躊躇している余裕などない。ともかく取り付いてみると、これがまた激急登。「下山の方が怖いだろうなぁ~」と、時折、振り返りながらどんどん高度を上げてゆく。おそらく氷点下10℃以下であろうが、汗がとめども無く吹き出してくる。ただ雑木林も笹も、ひどい藪こぎをしなくても、なんとかクリアする事が出来た。振り返ると遠くに安曇野市の夜景がキラキラと輝いている。

2016-02-27 05.32.45.jpg2016-02-27 05.50.09.jpgしばらく尾根を登ると背の高い樹林帯になり傾斜も緩やかになると、第一の目標の1596.8mの三角点に到着。ここで朝ごはんのパンを口に押し込んで、水筒のお湯を飲む。今回の新兵器は水筒。普段は冷たいスポーツドリンクやお茶で済ますが、約1日の極寒登山を想定して、体の冷えを和らげるのに自参した。ただのお湯であるが冷えた体を芯から暖めてくれる心地良さだ。お湯がこんなに旨いなんて!!
第二の目標は、標高2024m地点だ。最初の南東尾根の取っつきほどでは無いが、時々、100m程度の急登が現れる。夜も明け始めて東の空がオレンジ色に染まって来た。

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標高が上がるに従い、雪質がアイスバーンからパウダー状に、所々、吹き溜まりでは、積雪は2m程度の場所も出て来て、アイゼンが役立たなくなって来た。面倒ではあるが、わかんに履き換えて先を進む。アイゼンよりも、はるかに楽ちんである。午前6時40分、第二の目標の2024m地点に到着。このピークは、平坦であるのに加えて比較的若いシラビソの雑木林で、行く手を阻まれ、方向感覚を失う。ただ、この高さまで登ると前常念が姿を現すので、方向を見誤る事は無い。第3の目標は、2207m地点だ。この地点の手前から夏場のメインルートである三股からのルートと合流する。午前8時36分、無事、この合流地点に到着した。ルートを誤る事なくナイトで厳冬期の南東尾根を踏破出来た事は、大きな自信となり経験値も上がった事が嬉しかった。

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ここで2度目の腹ごしらえをして、次の目標はいよいよ森林限界だ。天気は良いが、時折、突風が吹き始めて体感気温が下がり寒い。モンベルの厳冬期用のダウンに着替えて、更に、先を進む。ますます積雪が増えると共に、傾斜もけっこう急登で、ストックからピッケルに持ち替えての雪中行軍だ。

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ようやく午前11時、森林限界に飛び出した。そこは岩嶺と白一色の世界。前常念岳がそびえて、その堂々たる山姿に息を飲む。風は更に風力を増し、稜線部の雪を吹き飛ばして、地吹雪状態になっているのがわかる。再度、山頂に向けてのアタックに備えてオニギリを頬張るが、シャーベットのように米も凍っていてジャリジャリだ。気温はマイナス15℃以下になっているのは間違いない。もう自参したペットボトルは、8割程度は凍っている。

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風は予想外に強く、その勢いは更に強まるばかりだった。「果たして、この先、登れるのか?」一抹の不安がよぎるが、「ともかく前常念まで頑張ってみよう!」と気を取り直し、アイゼンとピッケルの装備でアタック開始。岩嶺地帯ではあるが、その途中途中の傾斜のある雪原地帯の通過時の突風がともかく怖い。風速は軽く25m越えている感じだ。ピッケルを雪面に深く付き刺し、身をかがめてピッケルにしがみついて、その波のように押し寄せる突風をやり過ごす。やり過ごしては登り、やり過ごしては登りの繰り返しである。前常念まであと300m程度の岩嶺地帯に取り付いく頃には、周囲の山々も雲の中に隠れ雪も降り始めて、天気は急速に崩れて来た事を悟った。

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ともかう前常念までは頑張ろう。残す200mも岩陰に身を伏せては突風をやり過ごすの繰り返し、とてつも無く長く感じられた。正午に無事に前常念岳に登頂成功。周囲は、時折ホワイトアウト、眺望はほとんど得られず、凄まじい風音だけ。人を寄せ付けない厳しい世界を見る事が出来た。長居は無用である。とりあえず写真撮影をして、すぐに下山に。

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もう来た時のトレースも風で吹き飛ばされて、ほとんど残っておらず、その風の強さを思い知らされた。下りでの滑落が怖いので、逸る気持ちを押えて慎重に樹林帯まで無事に下山してやれやれ。ホッした油断が、とんでもない失態への入口だとは、その時は、思いもしななかった。

樹林帯に入り、装備をワカンとストックに切り替えて下山を開始。ところが、樹林帯の中も降雪と風で自分のトレースが無く、ふと尾根道からニノ沢側にルートを外してしまった。GPSでは約50mずれていると知ったが鉄則である登り返す事をせず、その高度を保ったまま南へ歩けば尾根道に戻れると安易に考えた。ところが高度を保つのが予想外に難しく、どうしても沢を下へ下へと引っ張られ、加えて、雪が腐っていて雪崩の跡も至るところに出現。体力的にも一杯一杯で、流されても踏ん張りが利かないと崩落個所を捲くが、GPSでは更に300m下に流されている事を示している。時刻は午後2時30分過ぎ。天候も悪化して粉雪が降りしきって辺りは薄暗く、もう心が折れそうになる。そんな時、1本の電話が入った。「今どこ? 大丈夫??」その声は、今回のルートをアドバイスしてくれたヤマ友だった。まさに天の声だった。たまたま気になって電話をかけてくれたと言う。「心配かけてすみません!!」 「いやいや心配なんかしていないよ! 貴方を信頼をしているから!!」と彼の電話の向こうの明るい励ましの声のお蔭で、折れかけていた心に、「必ず無事に帰る!!」と言う元気が湧いてきた。再度、装備を点検、行動食で逸る気持ちを落ち着かせた。見上げるような急登の斜面だったが、なんとか1歩1歩着実に積み重ねる事で、無事にもとの尾根、標高2100mに登り返す事が出来た。ヤマ友のアドバイスもあり、標高1900mを下った地点で、南東尾根を離脱、そのまま真南へ下山、沢筋ではあったが、これを約標高差で1000m下れば、必ず烏川林道にぶち当たるという安心感があった。ただ沢筋であるだけに、一ノ沢で流された事がトラウマになっていたが、幸いにも水量が少なく、沢のほとんどは雪の下に埋もれていたので、シリセードで滑り下りる事が出来た。

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とっぷりと日が暮れた午後6時過ぎ、無事に烏川林道に下り立つ事が出来た。林道は新雪も加わりツボ足状態で歩きにくい。疲れ切った脚に、筋肉が悲鳴を上げるが、もう気分は、達成感で爽快そのもの♫ 午後9時に無事に烏川林道のゲートに下山した。

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今回も悪天候で、前常念岳までしか登る事が出来なかったが、常念岳までは、標高差にしてあと200m、コースタイムは1時間程度。もう登頂したのと同じような達成感を得る事が出来た。今回は、これまでのソロナイトの山行経験の中では、もっもと過酷なものとなった。ヤマ友に「ピンチを楽しむ」その真の意味を教わった気がした。経験値も格段にアップしたし、また精神力も鍛えられた山行であった。今回、アドバイスをくれたヤマ友、そして応援してくれた皆さんに、改めて感謝したい。ありがとう!!

次回こそは、あの頂に(^^)/

【コースタイム】(休憩含む)
 ・登    り:  11時間 ・下    り:   8時間
 ・合    計: 19時間

【歩行距離】21.78km(シリセード除く)

【歩  数】33512歩






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Last updated  2016.03.06 11:32:21
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