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2021.03.15
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カテゴリ: 作家
あらすじ
悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。2年の春、写真部の新入生歓迎撮影会で、小平由樹枝に会う。その後、恋人関係になる。3年の夏休み、北海道無銭旅行を遂行。大学の推薦が決まった後、上高地へ出かけ二人は結ばれる。実力試しに受験したW大学に合格するも、M大学に進学する。そして1年が過ぎた。春休み、希望大学に合格した由樹枝が東京に来て、短いが二人の充実した同棲生活を送った。しかし、そのわずか1週間後、矢代美恵子と関係してしまった。



写真はネットより借用
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それから、1週間もしない、夏休みに入る前、美恵子がアパートが見つかったので、明日、引越しをすると言った。悠介のアパートから、それほど遠くない所に見つかったらしい。この辺りは学校に近いので、便利なのである。その夜は、二人の最後の夜になるので、二人とも、感傷的になっていた。お互いに激しく燃え、何度も交わった。快感を口にしながら、美恵子が言った。
「又、たまには会ってね、家にも遊びに来て!」
「うん。」
悠介も、そう答えた、愛しているのかいないのか分からない状況である。だが行為は間違いなく、恋人同士である。悠介は由樹枝の事は考えないことにした。今、由樹枝の事を思うのは、美恵子に対してあまりにも悪いと思うのであった。

翌日、悠介はバイトを休んで引越しの手伝いをした。美恵子の荷物は少ない。家具も調理用具も悠介の準備したものを使っていた。洋服類や化粧道具、教科書など、段ボールに4箱で済んだ。車は北村がどこかから調達してきた小型トラックである。美恵子は助手席に、悠介は荷台に乗って引越し先に向かった。車で5分ほどで着いた。歩いても20分もあれば着きそうである。
段ボールを部屋に運び入れた。ワンルームであるが、悠介の部屋より広そうである。段ボールを運び入れて北村が言った。
「これから寝具とか、キッチン用具を運びに行くので、アパートまで送るよ。」
「手伝わないで良いですか?」
「あぁ、大丈夫、向こうにも手伝ってくれる奴がいるから。」

アパートまで送って貰った。美恵子が車から降りてきた。
「じゃー、行くから。」
「はい、お世話になりました。」
「元気でね。キャンパスも違うから会う事もないかな?」
「そうですね。」
「寂しかったら、連絡を頂戴?」
「はい、ありがとう。美恵子さんも元気で。」
「じゃー、行くわよ。」
美恵子は、悠介にハグして車に乗った。
これで、完全にお別れだと悠介は、すっきりしたような寂しいような複雑な気持ちだった。部屋に戻り、美恵子の物が何もない部屋に一人座った。あれほど悩んだ事があっと言う間に解決し、気が抜けた感じである。

悠介は、早速、テーブルに向かい、由樹枝に手紙を書き始めた。元の恋人に戻れると思うと心が躍った。浮き浮きした心を持て余すように、ペンを走らせる。
「何とか別れることが出来た。これまでの事は、申し訳ない。弁解のしようもないが、全て自分の責任である。酒を飲み過ぎさえしなければ、由樹枝を悲しませることもなかった。どんな事でもして罪は償うので、何とか勘弁して欲しい。」
と言う意味の内容の手紙である。読み返して見て、これでは反省が足りないと、もう一度、全てを書き直した。どれだけ由樹枝に会いたかったか、どれだけ愛しているか、それらを加えて書き直した。許して貰えれば、いつでも長野まで会いに行く旨も書き足した。

毎日、毎日、由樹枝からの返事を待った。バイトに出かけてアパートに帰る楽しみは、由樹枝の手紙が来ているかどうか、だった。しかし、毎日、その期待は裏切られた。もっとも、手紙を出してから、すぐに由樹枝が返事を書いて出しても、4~5日は掛るのである。1週間が過ぎても返事は来ない。10日が過ぎても返事は来ない。悠介は焦った。美恵子と別れさえすれば、由樹枝との仲は復活すると思っていたのである。しかし返事が来ないことを考えると、相当怒っていることが察しられる。

手紙では埒が明かない。電話をかけようと思ったが居留守を使われては、話もできない。それで又、中学の友人に頼ることにした。地元の役場に勤めている山脇である。前回も一度電話して貰って状況は分かっている。電話でようやく部屋に居座った女性と別れた。由樹枝に手紙を出したが返事も来ない。何とか、返事を貰いたい。旨、伝えて欲しい。又、以前のような恋人に戻りたい、と。
山脇にその返事も聞きたいので、数日したら、又、電話するとして電話を切った。

その数日後、山脇に電話した。由樹枝の返事は、もう完全に悠介の事は忘れた。手紙も出さないで欲しい。両親にも悠介とは別れたと説明した、との絶望的に返事であった。悠介は呆然とした。全身から力が抜けるような気がした。美恵子と別れさえすれば、由樹枝との仲は復活すると信じ込んでいた悠介である。手を尽くした。知恵も使った。1年間バイトして貯めた金も全部使って、恵美子と何とか別れることが出来たのに、由樹枝の返事には絶望である。会いたいと思った。会って話をすれば元に戻れるのではないか? そう言う希望があった。何とか会える方法を考えよう、絶望の中に光を見出したい悠介であった。

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Last updated  2021.03.15 17:56:46
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