歩人のたわごと

歩人のたわごと

2019/09/14
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カテゴリ: 読書

しばらく読書から遠ざかっていた

エッセーサークルのメンバーが
この本についてエッセーを書いた

それを読んで興味がわいた
ボクも読んでみようと図書館に注文した

「終わった人」とは
定年退職をした人のこと

まぎれもなくボクもその一員である

六十台というのは男女ともにまだ生々しい年代である
いまだ「心技体」とも枯れておらず、自信も自負もある
なのに、社会に「お引き取り下さい」といわれるのだ


と、作者は「あとがき」に書いている​が
まさにその通りである

主人公は東大出の元エリート銀行員
定年が受け入れられず、職を探して
再び第一線で働きたいと願う

幸いにもIT関係の会社の顧問になり
社長の急死で、請われて社長になる
過去の経験が生きて充実した日々が訪れる

しかし一年もたたないうちに会社は倒産する
私財をなげうって負債を清算
妻に頭が上がらず負け犬のような気分の主人公は
自己資金で美容院を始めたばかりの奥さんと
気まずい毎日を過ごさねばならなくなる

そんな日々に耐えられず、最後に生まれ故郷の
岩手県に帰る決心をするところで小説は終わる

六十歳の定年を待ちかねて
明日からやりたいことが自由にできる
と考えていたボクとは
物語のスタートからまるで違う

だから面白く読んだ
自分とは違う考え方、違う生き方
なるほどねえ、そういう人生もありか……

倒産の後始末をしながら主人公は考える

「先が短いのだから、好きなように生きよ」ということなのだ。
嫌いな人とはめしを食わず、気が向かない場所には行かず
好かれようと思わず、何を言われようと
どんなことに見舞われようと
「どこ吹く風」で好きなように生きればいい。
周囲から何か言われようが、長いことではないのだ。
「どこ吹く風」だ。


「ボクなんか定年以来、ずっとそのように生きてるよ」
「お前さん、気が付くのが遅いよ」と
同じ「終わった人」の一人として主人公に言ってやりたい

作者が還暦を迎え友人知人も定年を迎える
そのころからクラス会やOB会が頻繁に開かれるようになり
それらの会合で気づいたという感想を最後に引用しおこう

若い頃に秀才であろうとなかろうと
美人であろうとなかろうと
一流企業に勤務しようとしまいと
人間の着地点って大差ないのね……と。
着地点に至るまでの人生は、学歴や資質や数々の運
などにも影響され、格差や損得があるだろう。だが、
社会的に「終わった人」になると、同じである。横一列だ。

本書の主人公のように、着地点に至るまでの人生が
恵まれていれば、かえって「横一列」を
受け入れられない不幸もある。

ならば何のためにガリ勉し
あがき、上を目指したのか
もしも「最後は横一列」とわかっていたなら
果たしてそう生きたか。
そんな中で「終わった人」というタイトルが
ハッキリと浮かんだ。


ガリ勉もせず出世欲も抱かなかったボクは
若い頃から覚めていたのかもしれない(笑)

会社時代は、好きな仕事が楽しく出来れば
役職など問題ではないと考えていた





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Last updated  2019/09/16 12:26:01 PM
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漫歩マン@ Re:クロホオズキの花(06/24) New! すごいですね! キンモクセイやサザンカの…
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