片桐早希 おむすびころりん

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2009.03.31
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 理生は、そのウエイトレスがもしかしたら辞めさせられているのではないか、と心配して

いたので、彼女の姿を見たときは本当にほっとした、と言った。

 それから、理生はその彼女と時々会って一緒にお茶を飲む時間をつくったのだった。


「目のきれいな人でね・・・・。私をまっすぐ見て話すのよ。好きな人がいて、その人と結婚

するためにお金を貯めているって、嬉しそうに話してくれた。だから、彼女が結婚をすること

になった時、お祝いにバッグをあげたの。ピンク色の可愛いものを選んでプレゼントしたら、

彼女はとっても喜んでくれてね・・・・。物があんなに人を幸せにすることがあるんだって

私、初めて思った。」


 衣服とかアクセサリーなどにほとんど興味を示さない理生にとって、それは新鮮な驚き

だったに違いない。

 僕はその話を聞きながら、会長のことを思い出していた。


 仕事上の付き合いで、会長名で僕は企業や個人によく贈り物をしていた。会長は僕がどんな

物を贈るかということには、何も口出しをしなかった。

 しかし、沢崎君、贈り物を頼みます、と言うことがたまにあった。それは個人宛であったり

企業にだったりしたが、会長はそう言う時は必ず、会長室から窓の外に目を向けていた。

 会長がそういう時は、贈り先の個人や企業ともう付き合いをしない、という決意をしたと

いうことだった。


「尚人、どうしたの? ぼんやりして。」

 理生の声で、僕は現実に戻る。


 いや、何でもない、と言い、僕はまたおむすびを食べ始める。


 帰り道、僕は、理生に言った。

 生きていればいいことも悪いことも悲しいことも惨めなこともある。だから、嬉しい時には

笑えばいい、はしゃげばいい、浮かれればいい、無理して自分の気持ちを抑えることはない。


 理生はしばらく黙っていたが、僕を見ると、うん、と小さな声で言い、笑った。


 僕達はゆっくり歩いた。

 近くで鶯の鳴き声がした。








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Last updated  2009.03.31 22:09:01
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