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FLOWER GARDEN 2 小山千鶴さん
2009.04.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 研究室の窓から、月の光の中に桜の花が浮かんで見えた。

 僕は理生のリクエストに応じて、慎重にコーヒーを煎れた。

 そのコーヒーを、理生は香を味わいながらゆっくり飲み始めた。


「アイツがいなくなって正直、ほっとしたんだけれど、でも、何なのだろう・・・、アイツが

いた時は、今日みたいな揉め事はなかったよね。」

 ぼんやりした表情で、理生はそう言った。

 理生の言いたいことは、僕にもよく分かる。

「そうだな・・・・、そう思えば、Mにもいいところがあったということか?」

「いいところ、というより、アイツはアイツなりにこの研究室を仕切っていたのかもしれない

ね・・・・・。」


 そうかもしれない、と僕は思った。


「まあ、あんまり心配することはないよ。ここは、研究をする場所なんだしね。」

 理生はマグカップを両手で包み込むようにして、そう言った。


 その時僕は、理生は近いうちにこの研究室を辞めるのではないかと思った。だが、その思い

は言葉にならないまま、僕の心にしまい込まれた。


「理生、飲みに行くか?」

 僕がそう言うと、理生の顔がぱっと輝いた。

「珍しいね・・・・。尚人がそんなこと言うなんて・・・・。ははあ、さては、また雪乃さん

を思い出したんだ・・・・。ちょっと淋しくなった?」


 何を言ってるんだか・・・・。

 僕は何か言わなくてはと思いながら、でも何も言わなかった。


 窓の外の桜の花が、風に吹かれ夜空に舞っていた。





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Last updated  2009.04.04 21:59:20
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