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特別秘密保護法案が衆議院で強行採決され、参議院も国家安全保障特別委員会で十分な審議を行なわないまま採決されて、今夜にも本会議で可決成立するだろうという気配の中での集会とデモである。
肴町公園で。 (2013/12/6 18:04)
差し迫った状況なので、急遽、「脱原発みやぎ金曜デモ」と「STOP!秘密保護法ネットワーク宮城」の共催ということになり、いつもは100人前後の集まりが今日は500人ほどにふくれあがっていた。
集会では次々と発言する人が続いて、最後方に立っている私にはよく聞き取れなかったものの、どれもが熱のこもった発言であることだけは声の調子からよく理解できた。緊急事態をとても心配し、かつ怒っているのだ。
人が多くてスピーカーがまったく見えない。 (2013/12/6 18:32)
「人間が抱える不確実性と脆弱性はあらゆる政治権力の基盤である」 [1]
といったのはジグムント・バウマンである。自由主義的な保守(私にはそうとしか思えない)のバウマンにしてからが社会学者としては権力の本質を見抜いているのである。
自分の将来を考えるための情報が与えられない、自らの安全を守る手立てがない、そして外国(人)や犯罪者に安全が脅かされていると煽られる、国民をそんな状態に貶めておけば、政治権力は安泰なのである。
そうした点から言えば、安倍自民党は権力の本質をさらけ出しているだけなのだが、近代西洋の諸外国の政治権力と違って民主主義への配慮や逡巡がないのである。たぶん、彼らが日本国憲法を理解できないのも、民主主義の本質が理解できていないからである。そして民主主義を知らないために、近代国家の多くが示すことができた知性の匂いすらしないのだ。
常々、日本は「未完の近代」のまま現代に至ったと私は考えてはいたのだが、オモチャをねだる子供のように絶対支配権力をこれほどあからさまに欲しがるとは想像できなかった。
いかに自民党とはいえ、日本の戦後教育を受けたのだから多少の社会性とそれにかかわる程度の知性はあるものと、愚かにも私は思っていたのである。戦後民主主義教育は、この点では失敗したのだ(右翼政治家が教育に口出ししたがるのは自らの失敗を恨んでいるためか?)。
デモへの出発準備にも時間が。 (2013/12/6 18:32)
スピーチも終わり、デモに出発したのだが、これだけの人数になると全員で同じコールに声を合せることは難しい。デモの列の中頃にいた私は、前からのコールに合せたり、後からのコールに合せたり、そしてときどきはどちらにも合せられなかったり、そんなふうにデモは進んだ。
一番町を行く先頭が見えない。 (2013/12/6 18:43)
さて、デモが終って帰宅した夜半、ネルソン・マンデラの死亡のニュースに続いて、参議院本会議における強行採決、「特別秘密保護法」の可決成立のニュースが報じられた。
アメリカ大陸における奴隷制度、ヨーロッパ大陸におけるナチスによるユダヤ人ジェノサイド、アフリカ大陸におけるアパルトヘイトは、近代における三大「人種差別」である(と私は思っている)。「自由と平等」のために、その南アフリカ連邦のアパルトヘイトと闘い続け、勝ち取ったアフリカ大陸の巨人が亡くなった。
同じ頃、日本ではビューロクラットの手の平で踊らされている小悪党風の政治家によって国民から「自由と平等」を奪い取ろうとする悪法が成立した。「脳味噌が江戸時代のまま」に「壮大な勘違い」によって遂行された「あの戦争」と、太平洋戦争の本質を喝破したのは与那覇潤 [2] であるが、現代の日本の政治権力は、「脳味噌が明治時代のまま」に「猥雑な思い上がり」によって「これからの戦争」に走り出そうとしている。
しかし、マンデラのような巨人はいなくても、私たちの「自由と平等」のために闘い続ける普通の人々は日本にはたくさんいるのである。
[1] ジグムント・バウマン(伊藤茂訳)『コラテラル・ダメージ ――グローバル時代の巻き添え被害』(青土社、2011年) p. 90。[2] 与那覇潤『中国化する日本――日中「文明の衝突」一千年』 (文藝春秋、2011年)。
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