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2018年01月15日
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「はやぶさ2」 今夏、小惑星リュウグウ到着へ 訓練重ね 準備着々

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」は今月10日、目的地の小惑星「リュウグウ」に向けて、最後のイオンエンジン連続運転を開始しました。順調にいけば、今夏に到着する予定。これまで探査チームは、到着後の着陸地点の選定作業や近傍からの観測に備えて訓練を重ねてきよした。いよいよ本番へ、緊張感が高まっています。
(中村秀生)



小惑星リュウグウとランデブーする「はやぶさ2」の想像図©池下晃裕

「はやぶさ2」
宇宙探査史上初めて小惑星物質を地球に持ち帰った探査機「はやぶさ」の後継機。2014年12月に打ち上げられ、15年12月に地球の重力を利用した加速(地球スイングバイ)を実施。18年夏にリュウグウに到着した後、約1年半かけて、近傍からの観測、着陸・試料採取、探査ロポットの投下を行います。
探査の“目玉”は人工クレーター形成。2キログラムの銅を小惑星に衝突させて直径数メートルのクレーターをつくり、宇宙風化の影響の少ない地下の物質を採取します。
19年冬にリュウグウを出発し、20年冬に地球帰還予定。赤外線の分光計やカメラなど、搭載観測装置は水を含む鉱物や有機物の状態を探るために最適化。初代はやぶさが投下に失敗した小型着陸ロボットの探査に再挑戦するほか、独・仏などが開発した小型着陸機が頭微カメラなどで詳細な現場観測を行います。




はやぶさ2は約3年前に打ち上げられ、現在、太陽を周回しているリュウグウに後方から接近しています。距離は350万キロメートル材弱。すでに地球と月の距離の10倍を切りました。6月上旬までイオンエンジンを運転し、じわじわ追い上げます。5月ごろ、はやぶさ2の搭載カメラがリュウグウをとらえ、リュウグウの“玄関口”にあたる約20キロメートルの位置に到着するのは6月21日~7月5日ごろの見込みです。
運用責任者の吉川真・JAXA准教授は「はやぶさ2の軌道をリュウグウの軌道に一致させて、ランデブー(会合)させる。最終段階でちゃんと噴射できないと、追いつけないこともある」と気を引き締めます。



完成した「はやぶさ2」の機体。金色に輝く地球帰還力プセル(中央の丸い装置)や試料採取装置(その下)が見えます=2014年8月、JAXA相模原キャンパス

●自転軸の向き
はやぶさ2がめざすリュウグウは大きさが900メートルほどで、ほぼ球形だと推定されています。しかし、自転軸の向きや表面の地形や温度など、詳しいことは到着してみないと分かりません。とくに自転軸の向きによっては、着陸できる時期や場所が大きく変わるため、探査計画を立てるうえで重要な情報です。
初代はやぶさが探査した小惑星イトカワは、地球からの観測で、形状や自転軸などある程度の情報が事前に得られていました。しかしリュウグウは「把握できている情報が少なく、いろんなことを想定する必要がある。はやぶさの経験があるとはいえ、まったく楽観できない」と吉川さん。
はやぶさ2は、約1年半の滞在期間に最大で3回着陸しリュウグウの表面物質の採取をめざします。1回目の着陸は今年10月下旬を想定。8月半ばごろまでに着陸地点を選定しなければなりません。そのため探査チームは、リュウグウの形状、自転軸の向きや周期、重力などを仮定し、カメラ画像をもとに安全性をチェックして着陸地点を選定する訓練を行ってきました。参加した科学者・技術者は約100人。訓練時間・人数は初代はやぶさの10倍規模です。
訓練の眼目は、到着後に予定通り正しく処理できるかだと、はやぶさ2の科学観測の責任者を務める渡邊誠一郎・名古屋大学教授は強調します。「1カ月間という短期間の運用で、観測してデータを地球に送り、解析・分析する。時間とのたたかいだ」
訓練の結果、リュウグウの形状を復元する作業に問題があることが分かって修正したり、探査機の位置を推定する手法を改善するなど、本番につながる大きな成果が得られたといいます。
リュウグウの衛星を発見したり、着陸に失敗した場合の方針なども検討しています。
渡邊さんは「自転軸がどういう向きでも対応する戦略を立てられる。本当の姿を見て、これだったらこうしてやろうということを見つけて挑戦したい」と意気込みます。

●太陽系の化石
小惑星は、形成の過程で衝突・合体によりドロドロに溶けた惑星や月と違って、太陽系が誕生した初期の環境をタイムカプセルのようにとどめる“太陽系の化石”です。
初代はやぶさがイトカワから持ち帰った小惑星物質は、それまでは地球に落下した隕石から推測するしかなかった小惑星の誕生や進化の様子を明らかにしました。
リュウグウは、イトカワとは別タイプの小惑星で、水や有機物を含む鉱物があると期待されています。近傍からの観測や採取した物質を地球に持ち帰って分析することにより、地球・海・生命の材料物質である鉱物・水・有機物が、太陽系の初期にどのような相互作用で進化したのかという謎に迫ります。
米国の探査機「オシリス・レックス」もリュウグウに似たタイプの小惑星ベンヌ(ベヌー)をめざして飛行中。8月にも現地に到着し、23年に地球帰還する計画です。
今後、太陽系初期の解明が急速に進むことが期待されています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月15日付掲載


「イトカワ」と違って小惑星「リュウグウ」は有機物も含まれている可能性も…
初代「はやぶさ」のように一時行方不明にならなくって、順調に飛行中。
期待しています。





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最終更新日  2018年01月15日 22時21分53秒
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