2004/11/27
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 面白いなあ、好きだよ宗久。何かしらの宗教のバックボーンがあり、それでいて悟り切れてない人の書くものが好きなのかな。森内俊雄しかり。芥なんちゃら賞受賞作『中陰の花』は全然面白くなかったのに。やっぱ一作で判断するのはいけない。巧いとは言えないが、読める、引き込まれる、楽しめる。小川洋子はもういい。
 六十年に一度御開帳する本尊、それは三年前から十二年に一度に変更された。どちらにしても滅多に見れない貴重な仏像ではある。それを戦後間もない頃、別の仏像と取り替えたという男が住職の前に現れ・・・・・・。
 現役僧侶らしい話。しかし坊さん稼業に全く関係のない、併録作『ピュア・スキャット』も、人工透析を受ける身でありながら神輿を担ぐ決意をする女性主人公をよく描けている。感傷的に音楽に相対する男は『アブラクサスの祭』の主人公に共通する点がある。若き日の作者の面影か。現役僧侶は俗な事に詳しくないと思う、これは偏見。





 記憶の変質、が大きなテーマ。四人の一人が憶え違いをしているのではなく、残りの三人が間違っていることもあるのだ、というようなことなど。強引な展開は多いが非難する気にはならない。
 法事が近づいてきたからと、おかしな理由で手に取った玄侑宗久だが、予想に反して好きな作家の一人(その末端にだけれど)に加えられそうで、なんだかすごく嬉しい。吉田修一や小川洋子を読んでいた時にはなかった感覚が、湧いてきた。


文芸春秋社 2002年





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Last updated  2004/11/28 01:55:37 AM
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