■ ドラマ 永久の彼方へ

■ ドラマ 永久の彼方へ

2006年01月23日
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カテゴリ: 第一章 001 ~ 060 話
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 大きな夕日が地平線に隠れ、辺りが赤い照明に照らされている。
 その横にそびえ立つ 浦羽高校 柔道部道場体育館。
 その中では、いつものように柔道部員が練習で汗を流していた。
 その一方では、椿の練習に付き合わされていたゆうすけの姿があった。

ゆうすけ
  「本当に私でいいんですか?」
椿
  「あぁ、ボクがきみを真似るし、私がバックするから。」
ゆうすけ
  「たまには運動するか(^ ^;」
椿
  「一つだけお願いがある。
   左右前後に動く時に一歩だけの踏み込みだけではなく、
   たまに2~3歩まで動く事を含めて欲しいんだ。」
ゆうすけ
  「わかりました。」

利江
  「ゆうすけ君、がんばってね~♪」

 二人を見つめる利江。

 ぎこちないと思われたゆうすけであったが、そこそこ機敏な動きを見せ、
 椿に汗をかかせている。
 大きな体育館を一周しては一休み、また一周しては一休みを繰り返していた。

ゆうすけ
  「練習になってますか・・・? 不安だな・・・・。」
椿
  「大丈夫だ。 こういち君の動きをずっと見て来たキミだから、慣れている感じがするよ。
   それに、人が変わると癖も変わるから新鮮な感じがしてとてもいいよ♪」
ゆうすけ
  「そんなもんですかね・・・・。」

利江
  「来たわよ♪」

 体育館の入り口に、武藤と姿を見せるこういち。
 二人は岩垣顧問の元へ歩み寄る。

武藤
  「岩垣顧問、御厄介になます。」
岩垣顧問
  「うむ、青蘭中学の校長先生から打診があるとは思わなかったが、
   椿君も重量のある選手とも段取りさせんといかんらしいからな。こちらも助かるよ。
   よろしく頼む。」
武藤
  「はい、こちらこそよろしくお願い致します。」
岩垣顧問
  「こういち君、お待ちかねのようだよ。」
こういち
  「はい。」

ゆうすけ
  「おそいぞ~~~っ!」

こういち
  「わりわり ^ ^; 」
ゆうすけ
  「む、武藤さん !?
武藤
  「今日からこちらに合流らしい・・・・。 椿さん、よろしくお願いします。」
椿
  「こちらこそよろしく頼む。」

こういち
  「あいさつも終わったところで、みんな体もほぐれているようだね。
   早速ですが椿さん、おいらと対じしての練習に入りましょう♪
   その間 武藤さんは、着替えて準備しておいて下さい。」
武藤
  「わかった。」

 こういちと椿は、2つある会場の空っぽの方に歩みより中央に立った。

こういち
  「では、椿さんが仕掛ける側で。」
椿
  「よし、行くぞっ」

 掛け声と共に、椿は素早いスリ足でこういちに二~三歩近づいて、右に一歩体を移しこういち
 の襟(えり)を右手で掴みに行く動作を行い、再びスリ足で二~三歩下がる。
 更に次ぎは左右に体をゆするようなフットワークでこういちに近づき、
 引き手を掴む動作と共に出足払いの動きを行い、続けざま、内股の動作に入った。
 こういちは、一~二歩スリ足で下がり、
 襟を掴む動作に対し、左手の甲をそれに宛う動きの後、一~二歩前に出る。
 次に椿の左右の動きとは逆側に左右に体を逃がし、
 引き手を掴む動作の時には右手を横に避け、出足払いの時には狙われた足を引き、
 続けて繰り出された内股には、左足を横に出して避ける。

 こんな攻防が5分近く繰り出されて、

こういち
  「おっけ~。」

利江
  「椿さん、あの練習試合の時よりも、数段スピードアップしているみたい。」
ゆうすけ
  「だね。 仕掛ける時に余分な力が入ってないから、その分スピードが増している。
   そして2つ先ぐらいまで連続の技のイメージも出来ている。
   元々連続技は持っていても、交わされたことを考えたものではなかったから。
   ことごとく避けるこういちのお陰で、交わされた後まで考えることが出来るように
   なったみたいだね。」

こういち
  「椿さん、次ぎは武藤さんを相手にやってみましょう。」

武藤
  「わしのスピードで・・・・いいのか?」
こういち
  「うん、いいの。
   今 椿さんの筋肉は乳酸が溜まってるので少し動き辛くなっているから。
   それに椿さんの目がどのくらい、そして反射神経がどれくらい進歩したかも計れる
   からね。 無論、武藤さんもだよ。
                   武藤さん攻撃で続けて下さい。」
椿
  「わかった。」

 椿と武藤が、中央に進む。

武藤
  「では参るっ」
椿
  「うむ。」

 武藤が数回フェイントのモーションを起こすが、それをしっかりと見定める椿。
 そして仕掛ける武藤、交わす椿の攻防が続く。

こういち
  「武藤さんもスピード付いてきてるね。」
利江
  「そっかなぁ・・・・、
   私には椿さんが余裕すぎる程たっぷりとした時間で交わしているようにしか見えない。」
ゆうすけ
  「それはね、
   利江ちゃんの目がこういちと椿さんの動きに慣れてきているからそう見えるんだよ。
   おれも武藤さんのスピード感は感じたよ。」

こういち
  「上手の相手とたくさん組んで、辛いそれに慣れることが上達の近道さ。
   椿さんは今、自分の進歩の手応えを感じているはずさ。」

 こういちの言うとおり、椿は感じていた。

椿
  『技への筋道が読めるっ! そして疲れているはずの体でもそれに付いてくるっ!』

こういち
  「はいっ、そこまで。。。」

武藤
  「ふぅ~。。。」
こういち
  「筋肉が疲れているうちに、次ぎ行きま~す♪
   今度は、武藤さんが椿さんをバンバン投げて下さい。」
武藤
  「ほぅ~、もしかして・・・・」
椿
  「もしかして??」

こういち
  「うん、当たり~☆

   椿さん、たくさん投げられて下さい。
   この役、私より武藤さんの方が格段に適してますから♪
   んでね、武藤さんにお願い♪ 3~4回は同じ技を・・・」
武藤
  「続けるんじゃな♪」
こういち
  「その通り。
   で、椿さんにお願い♪ 投げられて受け身を取るまでの時間を感じて下さい。」
椿
  「時間・・・・をか?」
こういち
  「そうです、時間をです。 ではお願いしま~す♪」


  「 そぉ~りゃっ! 」   スパーン★
  「 とぉりゃっ! 」    スパーン★
  「 おぉ~りゃっ! 」   スパーン★

 道場の真ん中で、椿が次々と武藤に投げられ続けた。





                           -つづく-




第41話 こういちの秘密 (その一)へ
 (大丈夫って?)






  ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。

    また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。





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最終更新日  2020年12月21日 11時27分13秒
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