■ ドラマ 永久の彼方へ

■ ドラマ 永久の彼方へ

2007年07月11日
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カテゴリ: 第三章 188 ~ 240 話
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 ここは中華皇国のとある町。
 とてものどかで、行き来する人も互いに笑顔で往来している。
 そんな町民が静かに暮らす平穏な町・・・・だった。
 そう、やつらが来るまでは・・・・


 宿場町、背中に野菜を背負ったおばさん、山積みの荷物を荷車に載せて
 運ぶ青年など、活気付く人が道路をにぎやかにしている。

 『ごめんよ、ごめんよ~、ちょいと通しておくれ~。』

 荷車を引く青年が前を行く人に、ぶつからないように注意を促す。

 『危ないよ~、ごめんよ、ごめんよ~。』

 その荷車を、横にひょいと避けた一人の商人、
ドン
  道歩く人にぶつかってしまう。

商人
  「す、すまん。」

 すぐにわびた商人。 だが・・・・

ぶつかられた人
  「よぉ、ぶつかっといて すまん だけはないだろう。」
商人
  「すまんかった、ゆるしておくれ。」
ぶつかられた人
  「おぃ見ろよ、あんたがぶつかったお陰で踏まれたこの靴、破けて
   しまったじゃないか。 弁償してくれないかな。」

 横に膨れたおじさんが、ぶつかられて文句を言い出した。
 その指差す靴を見ると、確かに破れていた。
 だが、かなり使い古している様子で、ぶつかる以前から破れていたように
 しか見えなかった。

商人
  「ぶつかったことはすまんが、その靴は今破けた感じではなさそうだ。
   言い掛かりはよしてくれ。」
ぶつかられた人
  「言い掛かりとはなんだ、今破けたんだよっ
   弁償だ弁償! 周りにはこんなに目撃者がいるんだからな。

   なぁみんな、ちゃんと見とったろ。」

 道行く人も立ち止まり、その横に膨れた男をじろじろと見つめている。
 真ん前の商店のおばちゃんはそのお客と、

商店のおばちゃん
  「あの靴、今破けた訳じゃないよね・・・・」
商店の客
  「ぶつかったのは見てたけど、肩と肩がちょこって感じだっわよ。」

 そこへ、荷車を引いていた青年が荷車を置いて、こちらに歩いて来た。

荷車の青年
  「おらの性で悪かったね、ゆるしてくんな。」
ぶつかられた人
  「ゆるすも何も、この靴を弁償してもらわなよ。」
荷車の青年
  「ダメだよ、嘘ついちゃ。
   今破れたわけじゃないよね。 ダメダメ。」
ぶつかられた人
  「よぉにいちゃん、こっちは被害者なんだよ!
   なんだ、おまえが弁償してくれるってのか?」
荷車の青年
  「おいちゃん、先急ぎなよ。 あとはおらが。」
商人
  「あ、あぁ。 すまん、」

 商人は、荷車の青年に会釈すると、そのまま歩を進めてその場を立ち去った。

ぶつかられた人
  「なんだ~? おまえが片を付けるってことかぁ~? 勝手なことしやがって!」

 そう言いながら、ぶつかられた横に膨れた男は青年の置いてきた荷車に近寄り、

ぶつかられた人
  「にいちゃん、出しゃばるとこんなことになるんだぞっ!」

 と、荷車の車輪を蹴り抜いたっ!

バキっ !! ガシャーーン

 片側の車輪が割れ外れ、荷台が崩れ落ちるように斜めに落下し、積んであった
 荷物が路上にばら撒かれたのだった。

荷車の青年
  「なんちゅうことしてくれのっ! 今のあんたのは行為ってやつだ。」
ぶつかられた人
  「ちがうわ、車輪がオレの足に引っかかってきたんだぜ。」
荷車の青年
  「なんやあんた、ゴロ撒きたいんか。  なら、相手してやってもええよ。」

 荷車の青年は、羽織っていた上着を脱ぎ捨てて拳套の姿勢で構えた。

ぶつかられた人
  「ほぅ、拳法かよ。 別に珍しくもなんともないし驚きもせんが、
   にいちゃんの出しゃばりの裏づけ、もろく崩れさせてやるよっ!」
荷車の青年
  「強がりもそこまでなんよね。 おら、とある青年の部の大会のいっちばん上なんよ。
   ケガせんうちにワビいれといた方がええで。」
ぶつかられた人
  「オレをただの太っちょと思うなよ、痛い目見てワビ入れるのはそっちだぜっ!」

 そう吐き捨てると、両手を高く上げて荷車の青年に向かって走り出したっ!

 それを見た荷車の青年、目付きが変わり低く腰を据えた。
 そして近寄り組みかかろうとするぶつかられた横に膨れた男のスキを突き、
 素早い手套、肘の連打、最後には、強烈な蹴りを腹に見事に決めてから、
 さっと後ろに後退した。

バシ、バシバシ、ズゴズゴ、 ズコーーンっ!

 『おぉぉっ』


 その状況を見ていた道端の立ち止まる人達から、驚きの声が上がった。
 両手を広げたままの姿勢で口をあんぐりと開けたまま、微動だにしないぶつかられた男・・・。

荷車の青年
  「彼は脂肪が厚いから少し強めに入れてしまったよ。」

 余裕の笑みを浮かべる荷車の青年、手ごたえは十分だったようだ。
 だが・・・・

 両手を広げたままの姿勢のぶつかられた男の眼球が、荷車の青年をジロっと見たっ!
 そして、

ぶつかられた人
  「にいちゃん、こんなもんかいな・・・・」

 その声に、驚いた荷車の青年、そして道端の立ち止まる人達の視線が、
 ぶつかられた男に一斉に注がれた。

荷車の青年
  「なんやとっ!」

 両手を上に広げていた姿勢から、ゆっくりと手を下ろす ぶつかられた男。

ぶつかられた人
  「残念だが、にいちゃんのは一つも効いてないぜ。
   大会の一番だが何だか知らないが、おこちゃまの大会じゃこんなもんだろうぜ。」
荷車の青年
  「く、くそぉーっ」

 再び飛び掛る荷車の青年っ!

 『ハイっ ハイハイハイっ ハイっ ハイハイハイハイハイっ  ハーーーイっ!

 ぶつかられた男に連打を浴びせ、最後は飛びっきりの回し蹴りを相手の
 顎(アゴ)にヒットさせたっ!

ズゴーーン★

荷車の青年
  「これで、どないやっ!」

 蹴りの勢いで顔が横を向いている ぶつかられた男だった。
 しかし、

ぶつかられた人
  「にいちゃん、今なにかしたんか?」

 にやけながらそうつぶやいた。

荷車の青年
  「う、嘘や・・・・」

 徐々に青ざめていく青年の顔。

ぶつかられた人
  「出しゃばると、痛い目に遭うってことよっ!」

 横に向いていた顔を戻しながらそう吐き捨てると、
 今までに見せなかった素早い動きで 荷車の青年の みぞ打ちめがけて拳を入れたっ!

ズボッ!

 目の力を失い、そのまま気を失った青年、
 一発の拳で体ごとそのまま体が宙に浮きあがり、山成りに放物線を描いて
 民家の屋根にまで飛ばされてしまったっ!




第189話 異人 2 へ
(酒がまずくなった。 帰る。)


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  ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。

    また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。





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最終更新日  2020年09月17日 16時10分50秒
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