September 9, 2009
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K島先輩が、ギリギリ一杯で単位を取り終わり、某N大学B理学部体育学科の卒業が決まった日は、冬の寒い日でありました。

その日、K島先輩はダウンジャケットを着て、忙しい時間が終わった「とん吉」に、1人で現れました。

カウンターに座って、ビールを呑みながら、

「今日から俺のことを“学士様”と呼べ、熊、N山、お前達今日はもうバイトを上がっていいぞ、お祝いに呑みに行くからな」と、わたくし達の都合も、店の都合もまったく無視して、スケジュールを組んでおりました。

一次会は「とん吉」のカウンターでした。
お客様には出さない鉄板焼きメニューと、ビールで乾杯して、店にいる従業員、バイト達1人1人にお祝いの言葉を言わせて、一人悦に入っているK島先輩の嬉しそうな顔は、今日は無理難題を言ったりしないだろうなぁ~と、わたくし達を安心させておりました。

しかし、裏メニューを食べ終わった時の一言で、わたくし達はいつもの奴隷と大差がない”しもべ”に戻るのでした。

「もう俺は、先月でバイト辞めたから、店に“つけ”が利かないから、熊とN山士別組のお前達二人で、お祝いにご馳走してくれるよな?お前達はバイト料から引いてもらえばよいからな、大丈夫明日からびっしり働け、ご馳走さん。さあ、二次会に行くぞ!」

しょうがなく、新宿西口京王モールを、とぼとぼと付いて行ったのですが、しばらく歩くと、振り返って「二人とももっと嬉しそうにしろよ!そうだ、でかい声で“学士様”と叫びながら歩け、どうだ嬉しいだろう、俺が“学士様”になったのだから、ほら!早くしろ」

わたくし達二人は、混み合った通路を、周囲のアホをさげしむ視線に晒されながら「学士様、バンザイ~」「K島先生おめでとうございます~」と、いつ、職員の方や警察の方に騒乱罪で連行されるかと脅えながら、半べそをかきながら叫んでいたのでした。

幡ヶ谷で降りて、なじみの店に行ったのですが、その店でも暴挙は止まりません。
カウンターのかごの中に入っていた野菜を見て、周囲のお客様に、「私達は北海道出身です。これから、北海道のジャガイモの食べ方をお教えいたします。学士様の私が言うのですから、本当です。まず、この泥の着いたジャガイモを…」
と言って、わたくしに手渡しました。

K島先輩「はい、そのまま、新鮮なそのままを、丸かじりにします。はい、どうぞ~」

わたくし「…えっ…うそですよね?」

K島先輩「聞こえなかったか?はいどうぞ~、さぁ北海道の根性を見せろ熊!バックドロップくらうのと、どっちを選ぶ?」

昨年の帰省時に、酔っぱらって友人にからみ、怒った友人がヘッドロックをかけた瞬間にその大技をくり出し、雪の降り積もった道路に頭から叩き落として、一発で仕留めた光景を、目の当たりにしていたわたくしに、もちろん選択肢はありませんでした。

しばらく、泥の着いたジャガイモを握りしめ、覚悟を決めて、泥で歯をジャリジャリ言わせながら、毒だと言われている芽も一緒に、食べたのでした。

K島先輩が、感想を言え、美味いとか不味いとかじゃないぞ!と、もんどり打って苦しんでいるわたくしに容赦なく言い放ちましたので、咳き込みながらも

半分ほど残っていたジャガイモを顔の横に持ち、口の周囲に泥を着けて「ジャガイモを食べると歯茎から血が出ませんか?」と、飛びっきりの笑顔で言うと…

店内は大爆笑になりました。

すっかり上機嫌になったK島先輩は、「面白かったぞ、ここは俺が払う」と、ご馳走してくれました。

ありがとうございました。あの時のご恩は一生忘れません。

まさか、“体育のご教師様”に、おなりになれれてからは、そんな事はしておられませよね? 

あぁ!思い出した新任の頃、伊達におじゃました時の事を…今日はやめておきます。





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Last updated  September 9, 2009 12:38:14 PM


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