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以下の記事は前後編に分かれています。まず前編からお読みください。→ 前編高級品というよりは日常品を作りたい。大衆が日常で使うからこそ文化となります。--------そこまでして、日本製にこだわられるのはどうしてでしょうか。「日本製にこだわっているというより、『本物』を作りたいと思っているんです。洋服やその他の西洋文化のものならまだしも、着物や足袋、扇子等、そのルーツに日本の暮らしや文化的な背景があるものに関しては、日本の職人が作るのが本質だと思っています。そして高級品というよりは日常品を作りたい。大衆が日常で使うからこそ文化となります。伝統技術を使いながら今の時代に合う日常品を作ることで今の日本文化を作ることが出来ると思うのです。戦後60年はアメリカに支配され、日本は効率化の時代だった。いかに安く簡単に作って大量に売るか。そればかりを時代が考えてきた。結果、今、安いものはあふれています。けれど、質がいいかというと、必ずしもそうは言えない。安ものは安いなりに、ですよね。技術継承や文化を無視して安物を作れば、日本の技術は衰退するだけでなく、良いものを長く大切に使うという意識が育ちません。それを助長する会社にはなりたくない。和の本質を捉えたもの。それは使い込まれ、いい感じに朽ちていってさらに愛着がわくような…そんなものを作るメーカーになりたいと思っています。」--------朽ちていく。いい言葉ですね。伊勢木綿も洗えば洗うほどやわらかさが増し、光沢が出て、磨かれていく……。使うほどに風合いが出て、やがて使い尽くされて、枯れるようにモノとしての生命をまっとうできれば、すばらしい。若林氏のものづくりを「人」「和」そして「本質」というキーワードを抜きにして語ることはできない。先般、京都産業会館で行われた「有松鳴海絞り inKyoto」は『SOU・SOU』がプロデュースした。→ 有松鳴海絞×SOU・SOU若林氏の思いを建築家の辻村久信氏が、特大パネルなどで力強く構成した会場。その中央に、『SOU・SOU×有松鳴海絞』のブースがあった。脇阪克二氏による「絞りと注染」のテキスタイル群は、従来の絞り製品の概念をくつがえす。昨今の「いかに凝った絞りで高く売ろう」という着る側の立場を考えていなかった絞りの業界。しかし、本質を捉えるなら、これでも十分に絞りの世界の卓越性を伝えることはできるのだ。例えば豆絞りの工程をご存知だろうか?ここに短い動画がある。(→『SOU・SOU』有松鳴海絞りの伝統柄~豆絞り)。→ ページ中の動画をクリック私たちが現代で豆絞りと呼ぶ多くの品は、「豆絞りに見えるようにプリントされた柄』を示す。しかし、実際はこのような工程を得て、ファンタスティックな柄ゆきになるのだ。どのドットも同じに見えて同じではない究極の手仕事の結晶。なるほど、絞りで見せる平面にこだわり、注染で柄の可能性を広げれば、和の本質、絞りの進化というものが見えてくる気がする。実際この「本質」というものをとらえるために、若林氏は外からは見えにくい多くの努力をしておられる方だと察した。話の端々に出てくる時代考証やエピソードは、専門分野とはいえ生半可ではない知の蓄積を物語る。--------『SOU・SOU』さんは、日本から消え行こうとする貴重なものの生命をつないでこられました。そこには和の本質を捉えた、揺るぎない視点を感じます。洞察力と判断力。しかし、これだけのプロジェクトです。ささいな疑問や不安がよぎることはないのでしょうか。「もちろんあります。ガーッと一人で盛り上がっている時、ふとかたわらにいる妻に聞くんです。彼女は鏡のような立場で、それはこうだ、ああだと、実に的確な示唆をくれる。そこで『じゃあ、これでいこう』とか『もうすこし、こうしようか』と、冷静になって考え直すことが出来るんです」なるほど。生まれ育った京都の下鴨に位置する、二世帯住宅。若林氏が平成という時代に提示し続ける和は、そうした家族や周りにいる人々の中で育まれる。だから、モダンでポップ、それでいて奥行きが深い本物の輝きを放ってやまない。最後に、SOU・SOU流の和服を楽しむコツをうかがってみた。「清潔感、季節感、そして他人から見て見苦しくないこと。この3つを大事にしてもらえたら、あとは自由に楽しんでほしいと思います。安土桃山時代には着付けというルールはなかった。襟にフリルの様なものが付いた着物もありましたし、男性が水玉の着物も着ていた。語弊を恐れずに言うと、周りに不快感を与えなければ、あとは自由に。」冒頭で、『SOU・SOU』の存在を「口笛でも吹くかのように」と書いた。その通り、軽やかなメロディはモダンでポップな響きをまといながらも、決して本質が失われることのない本物の和の詩である。2007年。若林氏にとっては「不惑」の年。新年からは社名を若林株式会社と改めて、一層の内部充実を期す。ますます、目が離せない『SOU・SOU』である。
2006年12月26日
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形だけや、見た目の和には興味ないんです。日本には四季があり伝統文化がある。そこに和がある新京極から四条通りへと抜ける花遊小路。いかにも京都的な名前のこの路地に、『SOU・SOU』は口笛でも吹くかのように軽やかに存在している。京都市内の店舗は、花遊小路に『SOU・SOU足袋』『SOU・SOU作務衣』『SOU・SOU伊勢木綿』の3店、御幸町御池通に『SOU・SOUしつらい』と計4店を構える。東京にも2店がある。→ SOU・SOU店舗情報『SOU・SOU』とは、そもそも日本的な相づちの言葉に想を得ている。自己主張よりも先ず、「そうそう」と相手を認めようとする。そこにディレクターの若林氏は“日本人らしさ”を見たという。実際、様々な職人とコラボレーションして作られているSOU・SOUの商品は、お互いの良さを認め合いながら生まれたもののように感じられる。私は「そうそう。こういうのが欲しかった」と思わず首を縦に振っていた。商品のユニークさはもちろんだが、私が若林氏にお話をうかがいたいと思ったのは、実は『SOU・SOU伊勢木綿』でベビーベッドに入った可愛い赤ちゃんを見たことも大きく手伝っている。「ベビーベッドが置いてある。へえ、赤ちゃん連れのお客さんもこれなら安心して買い物が」と思っていた。赤ちゃんに思わず微笑んでしまった私に、レジのスタッフさんが「可愛いでしょう。スタッフの赤ちゃんなんですよ」と。すごい。今、大企業では子どもを持つ女性がなんとか働き続けることができるようにと、やっきになってシステムを構築している。それを、この『SOU・SOU』ではあっさりとやってのけている。こんなに魅力的な商品の数々を、しかも6店舗という展開で、どれひとつちぐはぐな印象など感じさせずに、モダンでポップな和の詩を奏でている。商品の質の高さも、見せ方もさることながら、さらにそのうえに人材に対する考え方までが確立され、『SOU・SOU』をつくりあげている。しかも脇を固めるのは、テキスタイルデザイナーの脇阪克二氏、建築家の辻村久信氏という、そうそうたる顔ぶれ。若林剛之氏とはどんな方なのだろう。力量と揺るぎないセンス、パートナーの信頼を集め、人・もの・ことを寸分なくオーガナイズされている様子を見て、私はややご年配の方なのかと勝手に想像していた。しかし、サイトのプロフィールで拝見した若林氏は、39歳。繊細で優しいいでたち。この方のどこに、これほどのエネルギッシュな創造力がひそんでいるのだろう。お会いしてみれば、やはり繊細。自然でニュートラル。けれど、まなざしは熱く、尖鋭的で力強い方だ。-----------------------------------------------------------------私は最も気になっていたことをうかがった。---------『SOU・SOU伊勢木綿』の赤ちゃんがスタッフさんのお子さんとうかがい、驚きました。大企業が躍起になって構築しようとしていることを、『SOU・SOU』さんではすでに実践されている、そのことに。「『赤ちゃんが生まれるからどうしよう』と最初にスタッフから相談を受けた時に『昔の人みたいに赤ちゃんをおんぶして働けばいいよ』と言ったんです。そしてベビーベッドも買って店に置きました。最初は少し心配もしましたが、今ではこのスタイルがうちらしくていいなと思っています」--------今ではお客さんのアイドルですね。地域で子どもを育てることがなくなった日本ですが、この「SOU・SOU」の中にひとつの小さな地域が生まれているようにも見えます。「若い人も年配の人にも愛される『SOU・SOU』でありたいと思っています。そのためには、若いスタッフだけが働くのではなくて、母親も、中高年の方も働ける環境をつくりたいと。実際にうちには20代・30代・40代・50代のスタッフがいます。幅広い年代の店員さんがいるほうが、いろいろな層のお客さんに安心してお買い物をしてもらえますし、会社の信用にもなると思っています」---------なるほど。カラフルな地下足袋のお店に若い店員さんだけなら「ああ、やっぱり若い方の履物?」と思われがちですが、様々な年代の店員さんが素敵に履きこなしておられたら、「私にも履けるかな」とお客さんは思いますよね。「そう。今まで地下足袋は、ファッションで履かれた事はなかったわけですし、特に年配の人には当然ながら抵抗があると思います。しかし『本当はこんなにポップでおしゃれな履物だったんですよ!年齢に関係なく履けて、外国人にも人気があるんです。本来、地下足袋はそういうものですよ』という事を啓蒙したいと思っていますし、それが我々の使命だとも考えています。次世代への技術継承も考えて。形だけや、見た目の和には興味ないんです。日本には四季があり伝統文化がある。そこに和がある。江戸には江戸の、明治には明治の和があったように、平成には平成の和があると思います。それをつくっていきたい。そのためには、やはり『人』です。今はやりの派遣社員というのは『SOU・SOU』では考えられません。その道何十年の職人さんにお願いして、本物のプロダクトを作り、信用を売って行くお店で、1日限りの社員なんてあり得ませんからね。一人一人に、できるだけ長く働いてもらいたい」---------作り手だけでなく売り手も一体となっての『SOU・SOU』。人に対する考え方が徹底していますね。『SOU・SOU』さんの商品は、すべて職人さんのこだわりが息づいていて、それが単なる和風モダンに終わらない、奥行きの深さを醸し出していると感じます。「職人さんとの付き合いは、根気の一言です。特に最初のうちは大変です。けれど、良いものを作ろうと思えば仕方がない。例えば“伊勢木綿”は数ある木綿の中の一種と思うでしょう?違うんです。」--------違うんですか。「ええ、伊勢木綿は綿布の中でも別格なんです。普通は強撚糸で作るものを、伊勢木綿の場合は弱撚糸で織り上げます。強撚糸で織ったものは、洗うたびに堅くなっていきますが、2、3回しか撚っていない糸を天然のでんぷんのりで固めて織り上げている伊勢木綿は洗うたびに柔らかく、優しくなっていくんです。そこに魅力を感じました。しかもこれを織っている工場はもう一社だけ。豊田式織機という昔ながらの機械で織り上げるのですが、全部で40台ある機械も、稼働しているのはその半分です。機械の調子が悪くなれば、稼働していないものから部品を取って、修理する。そんな貴重な機械で織れる量は1日に1反が限界です」--------得難い木綿なのですね。何か製作するにあたってすんなりといかなかった点等ありますか?「もともと柔らかさが売りの木綿です。着物ならいいんですが、かばんにも使えるようなものをと考えれば、もう少し肉厚なざっくりしたものが良い。そこで『もう少し太い糸で織ってもらえませんか』とお願いする。10m織って『無理だ』と言われるわけです。何度も頼んで、お願いして、トライして、また『無理だ』と言われて、それでも半年後にようやく作ってもらえるような世界なんです」」--------大変な根気ですね。地下足袋もそうでしたか。「ええ。普通に労働のための地下足袋をつくっておられるところに持ち込みましたからね。最初から受け入れてはもらえませんでした。まず、柄合わせなんてする必要がなかったところへ、いろんな要請をしていき、それを具体化していかなくてはいけない。『無理だ。できない』『では、これならできますか』と、柄物の前に無地の色物をお願いしてみる。そんな風に、じわじわと、ちょっとずつ進めていきました」前編ここまで → 後編へ続く
2006年12月26日
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今日は街ナカのお話。街ナカといっても中京区。最近、このあたりにすごく人が流れています。先日,久しぶりに三条通りを烏丸から堺町通りあたりまで歩いていたのですが、「うっわぁ~、何だこの人の流れ」。なんて言うんでしょう、地面が歪曲してこっちに迫ってくるみたいな勢いを感じたのです。 大げさかな。ちょっと前まで河原町や嵐山を楽しんでいた観光の方も街中に注目し始めていると思う。これは、堀川通り以西の西陣で町家にアーティストたちが暮らし始めたことや烏丸通り界隈の北は御池から南は四条あたりまで素敵な店がどんどん増えていることによるでしょう。郊外に足を延ばす前に、街中に興味津々。 そんな感じ。三条烏丸の新風館、三条高倉の京都文化博物館、目立ったスポット以外にもフレンチやイタリアンのお店、和グッズのお店、とにかく増殖中。つい先日は、姉小路堺町東入に『ケーキ・ケーキ・ケーキ』いうケーキ専門店がオープン。これはすぐきで有名ななり田さんがプロデュースされたお店です。でね、ふと気づいたんです。自転車をすいっと止めてケーキを買う方が多い。地元の方かな。お店に入ってみると、このあたりのマダムかな~と思われる上品な女性がケーキを選んでおられました。中京のマダム?お店の方にそっと聞くと自転車で来られる方は多いらしく時には10台くらい並ぶこともあるとか。すごい人気です。 ここのミルクレープロール、うちの子も大好き☆お店を出てみると、ふと姉小路堺町角に『レンタル自転車』屋さんののぼりを発見。何と1時間105円です。「観光に、ビジネスに、要る時要るだけ」うん、うん。この通り、この界隈にこそ要る店です。入り口を見ると、キュートな看板自転車。「こんにちは~。ちょっとおうかがいしたいのですが」といきなりの質問。「自転車よく出てますか?」「全部で20台全て出ることもありますよ」イケメン店長さんの丸山博さんが快く答えてくださいました。へえ、やっぱり。観光に自転車便利ですもんね。「地元の方も自転車で移動する人多いみたいですね」「多いですよ」このbol.cycle shopさんは自転車通勤応援店。「自転車ツーキニスト」を増やそうと、がんばっておられるお店で通勤に乗りやすい自転車を販売しておられます。なるほど、京都の街ナカ探検は自転車。街ナカを颯爽とペダルをこぐ中京マダムは、アシヤレーヌならぬ、「ペダレーゼ」。さて、街ナカ散歩を終えた私は今度はネットの京都を散歩してみました。他にもいろいろあるんだろうなあ。京都を自転車で楽しもうというお店。と思っていたら、ありました!京都サイクリングツアープロジェクトさんというサイトを見つけました、自転車で旅した景色の画像もあって、お~~、感動の充実ぶりです。排気ガスも出ないし、マナーさえ守ればこれほどロハスな乗り物はありませんからね。なんとこちらでは京都市内5カ所にターミナルが。他のターミナルで返してもいいらしいので、これは便利ですね。80年代に京都の嵐山・嵯峨野を席巻した自転車ブームを支えたのは「アンノン族」と言われる女子大生・OL族でしたが >これを知ってるあなたは同世代。平成の京都、街ナカ自転車ブーム」を支えるのは,すいすい優雅に風を切る、中京マダム「ペダレーゼ」。あなたも、京都に来たらぜひ、bol.cycle shopさんや京都サイクリングツアープロジェクトさんで自転車をレンタルして、ペダレーゼになってみてはいかがでしょ。 --------------◆ちょっとおすすめ◆-------------もちろん、紅葉の嵐山もやっぱりこの時期見逃せませんよ。昨日12月9日から始まっています。灯りが照らし出す幻想的な世界、ぜひお出かけを。京都嵐山花灯路
2006年12月10日
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【はじめに】モノではない。サービスでもない。時代は価値を売りはじめた。「バリュー」に興味のある方はこちらもご覧ください→「バリュープロモーション~情報価値を味方につける仕事術」日経を情報ツールとして読みたい方へはこちらもご覧ください →「情報3分クッキング☆女の目線で日経を読み解く」------------------------------------------------------いよいよ紅葉が深まってきました。「亥の子餅」という和菓子を、中村軒さんで見つけました。桂離宮畔のこの和菓子やさんは創業明治16年。朝8時半頃でも店先には数人のお客さんが待っている人気店です。ここで気になるのが、「亥の子餅」なんですね~。黒ごまいりの皮を、ほんのり「きび汁」でお化粧。何を隠そう、体力の衰えを年々感じる私無病息災、という4文字がとても魅惑的にうつるお年頃です。神だのみだろうが、なんだろうが身体が資本☆しかも、おいしいとあればみのがせない。今年は亥の月、初亥の日、亥の刻に、亥(い)の子餅を食べて、子孫繁栄と無病息災を祈ろ~~と誓いました。 (ちなみに実家は寺院。ま、イベントですから、いいさね)このページの「季節のお菓子(一部)」というところからネットでも買うことができます。「旧暦10月の始めの亥の日」は中村軒さんにお尋ねしたら11月30日だそう。日持ちは2日間。つまり、宅配なら着いたその日にいただけるよう30日着でってことですね。 (直前にオーダーしてもむずかしいことがあるかもしれません。)でも、無理な方はさほど11月30日に厳密にこだわらなくてもいいそうですよ。「亥の日であればいいですよ」とのこと。明日18日も亥の日なので、京都の方なら明日でもいいかもしれないですね。「亥の子餅」で無病息災。もちろん、健康管理も忘れずにね。
2006年11月17日
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【はじめに】モノではない。サービスでもない。時代は価値を売りはじめた。「バリュー」に興味のある方はこちらもご覧ください→「バリュープロモーション~情報価値を味方につける仕事術」日経を情報ツールとして読みたい方へはこちらもご覧ください →「情報3分クッキング☆女の目線で日経を読み解く」------------------------------------------------------寒いです。今朝はひときわ寒い。でもこれで紅葉が色づくかしらと思えばがまんがまん。立冬の昨日7日は、千枚漬けの漬け込みが始まりましたよ。伏見区の大安さんでは、カブラを削るシャッシャッという音が響き渡ったそうです。冬到来の音。来ますね、冬。お~、さぶっ。さて、今日は景観のお話です。「この場所から眺めた富士山が最高だよ」「鴨川の右岸から眺める大文字が一番いいよ」どんな地域でも、「ある地点から眺めた名所が素晴らしい」というようなスポットがありますよね。これを「視点場」というそうです。そして、その景色は「借景」と言いますよね。京都にもそうした場所がいくつかあり、今回京都市の「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」(長いね)は特定の場所「視点場」から眺めた景観や借景を保全するように求める案をまとめたそうです。ちなみに、中間報告では市内の「田の字地区」(碁盤の目の地域のことですね)の高さ既成を45メートルから31メートルに抑制する方針が固められています。今回の、景観や借景を保全しようというのは京都の町が、視界にいるすべての景観が重層的に折り重なっているからという理由のようですね。こんな場所です。-------------------------◎境内の眺め・上賀茂神社 ・金閣寺 ・京都御苑 ・下鴨神社・銀閣寺 ・修学院離宮 ・二条城 ・清水寺・西本願寺 ・東本願寺 ・仁和寺 ・高山寺・天龍寺 ・竜安寺 ・西芳寺 ・桂離宮 ・醍醐寺◎通りの眺め・御池通 ・四条通 ・五条通 ・産寧坂付近の通り◎庭園からの眺め・円通寺 ・渉成園◎水辺の眺め・琵琶湖疎水 ・濠川・宇治川派流◎山並みへの眺め・鴨川から東山 ・鴨川から北山・桂川から西山◎しるしへの眺め・御薗橋、鴨川左岸から「舟形」・西大路通りから「左大文字」・鴨川右岸から「大文字」・高野橋、高野川左岸から「法」・北山通りから「妙法」・松尾橋、罧原堤から「鳥居形」◎見晴らしの眺め・賀茂大橋から北方・桂川両岸から嵐山一帯◎見おろしの眺め・大文字山から市街地-----------------全部で38カ所。「あ、あの場所が入ってない!」見下ろしなら高尾のあの場所が--水辺なら5月の平安神宮の--といろいろ個人的に頭に浮かぶ物がありますがそれらを全部保全するのではきりがないでしょうからまあ、38カ所は妥当なところかもしれませんね。で、鴨川から見た大文字の景観が損なわれるような事態例えば、その景観を遮るビルは建てられない、というのが今回の案だと思うのですがここでちょっと問題が。「眺望」という区域の境界があいまいな範囲を規制するのはむずかしい!ということらしいのです。歴史的景観が多い金沢市でも同様に8カ所の景観を指定しているものの「指導以上はなかなかむずかしい」のが実状だそうです。何をやるにしても、「市民の理解」ってのは不可欠ですねえ。38カ所も保全されるとあちこちで新たな建築には「待った」がかかるでしょうし「産業の進展」と「歴史の保全」両方を望むのはむずかしい。企業にも理解を求めて、全体で意識を高めていかなくちゃいけません。個人的には、と~っっても賛成です。時代がどんなに進もうと「ここに来ればほっとするよ」っていう景色は守っていくほうがいいですからね。ヨーロッパの街並みを映像で見ると「古いものがほんとよく残ってるね。日本はぐちゃぐちゃだけどこんな風にもっとしなきゃいけなかったね」感じます。だから、今回の景観保全案はよりよい理解が得られるといいと思います。一時的に企業活動のネックになることがあっても京都という街は、1000年というスパンで物を考えなきゃいけない。それはその地域で恩恵を受けてきた企業も共に担うべき使命だと思うんです。企業も「自社だけで考える5年先10年先」より「1000年スパンで考える京都の企業」として地域と密着したプロモーションをしていく必要があると思うのです。京都の社長さん、いかがでしょ。ブログランキングに参加しています。温かい応援をいただけるとうれしいです☆--------------◆ちょっとおすすめ◆-------------◎永観堂のライトアップが11月8日から始まりました。今回は「みかえり阿弥陀様」の像は修復中で見られませんが、ここのライトアップは、ほんっっときれいです。http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006110700192&genre=J1&area=K1D◎11月12日は「長岡京ガラシャ祭」細川玉(ガラシャ)と細川忠興との婚礼を再現した行列が市内を巡行します。http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006110700113&genre=I1&area=K30
2006年11月08日
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【はじめに】モノではない。サービスでもない。時代は価値を売りはじめた。「バリュー」に興味のある方はこちらもご覧ください→「バリュープロモーション~情報価値を味方につける仕事術」日経を情報ツールとして読みたい方へはこちらもご覧ください →「情報3分クッキング☆女の目線で日経を読み解く」------------------------------------------------------さて「取材はまだか」というお声が聞こえてきそうですが11月はクライアントさんのPR戦略でタイトな案件があり身動きがまだとれません。「ここを取材してはどうか」「次はどこ?」というお声もいただいています。ありがとうございます。「え?【今ドキ京バリュ】に取り上げられたの~~?」と言っていただけるようなブログにしたいと思っていますのでそのためには、コツコツ、ていねいに♪しばし、ご猶予を。さて、今日は「山紫水明」がキーワード。風光明媚な美しい景色をこう呼びますがそもそも江戸後期の儒学者・頼山陽(1780-1832)が夕ぐれ時の東山と、鴨の流れを形容したものだということをご存知でしたか? 知りませんでした。私も。その頼山陽が晩年を過ごし、「日本外史」を書き上げたとされる書斎「山紫水明処(さんしすいめいしょ)」なるものが上京区にあるのです。そして、昨年からの屋根吹き替えが完了し、(琵琶湖のヨシで吹き替え)、傾きを修正しお披露目できる状態になったとか。見学は有料で申し込みが必要です。往復ハガキで--------------------〒606-0063京都市東山区新門前松原町289頼山陽旧跡保存会--------------------行ってみたいな~。でも11月末から休業かぁ。 とほ。詳細はこちら。見学してみたい方は、どうかお早めにお問い合せを☆http://domestic.travel.yahoo.co.jp/bin/tifdetail?no=jtba3700680ブログランキングに参加しています。温かい応援をいただけるとうれしいです☆
2006年11月03日
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「検証~京都につてのうわさ、ウソ・ホント」(by「リビング京都」)はあの有名なぶぶ漬けについてです。「ウワサその3☆京都の人に『ぶぶ漬け』を勧められたら断って早々に帰らなければいけない」について--・本当・・・・・・・・5%・ある程度本当・・・・39%・何とも言えない・・・28%・かなりうそ・・・・・17%・大うそ・・・・・・・8%という結果。「いただきます」とそのまま鵜呑みにしてごちそうになるのは厚かましく常識がないとされる---京都人の本音と建て前の違いを示すエピソードとしてこれはもうかなり伝説化しているけれど実際のところ、どうなんでしょう。私は一度も、「ぶぶ漬けでもどうどす」なんて勧められたことはありません。よそさん的視点で勝手に推測すれば、これは招いた側よりも招かれた側の心情を示すように思えてなりません。つまり、相手の言葉の裏の裏まで読んでしまうのが京都人ということじゃないかと思うわけです。「あ、いや、こんなん言うたはるけどほんまに『ほな、ちょっとだけ』て言うたら『厚かましい人やわ』って思わはるん違うやろか。でもそんなお人には見えへんし断ったらかえって気い悪うしはらへんやろか」という揺れる心---。なんとまあしちめんどくさい 京都人でしょか。少しはお役にたちましたか☆よろしければ応援クリックをお願いします。-----------------◆お知らせ◆-----------------↓こちらのブログでは、私(前田めぐる)の有縁の方がたから↓いただいたニュースを掲載しています。↓セミナーや出版のお役立ちニュース満載です☆情報3分クッキング
2006年10月29日
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10/28の「リビング京都」という地方紙で京都に暮らす61人にアンケートした結果が「検証~京都につてのうわさ、ウソ・ホント」として掲載されていました。そのうちの、今日は2つ目です。「ウワサその2☆京都の人は『京都は地方都市ではない』と思っている」について--・本当・・・・・・・・23%・ある程度本当・・・・46%・何とも言えない・・・23%・かなりうそ・・・・・5%・大うそ・・・・・・・1%という結果。経済や人口では地方都市ながらも「世界に誇る文化遺産を有する」「精神的な都」という意見多数だったようです。えっ・・・・・ひょっとして京都以外の方はひいちゃいましたか?でも、京都に限らず皆さん、どの都市もそれくらいの心意気で行きましょ~~。都のスピリットを持っているから東京や大阪がどんなに先進性を打ち出そうとあわてないのが京都人。なんたって日本の首都は京都 だと思ってるんですから。というより、そんなんどうでもよろし。都は都どっしゃろ。 って感じかな。一種オブザーバー的な感覚でけれど、昔っから実は新しもん好き。そんな気風もトレンドを横目で眺めつつ我が道を行く!街だからこそなのでしょう。少しはお役にたちましたか☆よろしければ応援クリックをお願いします。-----------------◆お知らせ◆-----------------↓こちらのブログでは、私(前田めぐる)の有縁の方がたから↓いただいたニュースを掲載しています。↓セミナーや出版のお役立ちニュース満載です☆情報3分クッキング
2006年10月28日
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皆様こんにちは。主宰者の前田めぐるです。取材記事の方はちょっと骨太に、そして活躍される方々のパワーと華やぎをどこかに感じていただけるようにと真剣に書いています。肩が凝ってはいけないので、時々取材ネタ以外もup☆「知っ得バリュー☆取材ネタ以外」では京都について知っておくといいかも?ということをご披露します。10/28の「リビング京都」という地方紙で京都に暮らす61人にアンケートした結果が「検証~京都につてのうわさ、ウソ・ホント」として掲載されていました。そのうちの1つ。「ウワサ1☆創業100年以上のお店でないと 老舗とは呼ばない」について--・本当・・・・・・・・25%・ある程度本当・・・・35%・何とも言えない・・・28%・かなりうそ・・・・・8%・大うそ・・・・・・・3%という結果。ただし「創業100年はギリギリ老舗」という年数にこだわる回答者以外にも「地域の誇りとされる」「家族ぐるみで長年通う常連客がいる」「看板商品が長く続いている」などの条件を満たせばよいという声も。何せ「この間の戦争」と言えば第二次世界大戦ではなく、応仁の乱のこと、と聞かされて育った京都人は100年では驚かない、ってことでしょうね。私の勘では、このアンケートはかなり的を得ているという気がします。このブログで取り上げていきたいのはどちらかといえば年数にこだわらず「地域の誇りとされる」「家族ぐるみで長年通う常連客がいる」「看板商品が長く続いている」そんなバリューなお店や企業。そして次代を担うスピリットを感じる方々。取材ネタの方は、仕事の合間を見つけて書いていきますので時タマ更新、いえ、極マレ更新になるかもしれませんがどうぞ、また「ぶぶ漬けでもおあがりやす~」。少しはお役にたちましたか☆よろしければ応援クリックをお願いします。-----------------◆お知らせ◆-----------------↓こちらのブログでは、私(前田めぐる)の有縁の方がたから↓いただいたニュースを掲載しています。↓セミナーや出版のお役立ちニュース満載です☆情報3分クッキング
2006年10月27日
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もしあなたがCG友禅作家・川邊祐之亮氏の名を知らなくても、彼の作品を目にしたことなら一度や二度はあるはずである。世界的なスイミングの舞台で選手達の躍動的な肢体がまとっているスイミングウェアこそ実は、氏の手によるものだ。http://www.jss-kyoto.jp/home/works1.html広告会社にのグラフィックデザイナーとして勤めた後の1988年。氏は家業(川善)に戻り、京友禅の仕事に携わる。折しもパソコンが一般家庭に普及し出した頃。川邊氏は「これで友禅ができたら面白いのではないか」と考えた。そして、京都市染織デジタルアーカイブ研究会に参加し2000年にJAPAN CREATION 2001(東京ビッグサイト)にCG友禅を出展したことが、大きな転機となる。氏の作品が水の中で美しく舞う様子を世界中が目にするまでそこから時間はかからなかった。2年後にはスポーツウェアのミズノからhttp://www.mizuno.co.jp/「着物の国の水着です」というフレーズで「SPEED YUZEN STYLE」が発表される。なぜ、友禅なのか--------「京友禅は、300年間のセレクトカラーの集大成。女性を美しく彩りたい--その一心で、先人が色を競い、意匠を練り上げてきた。いわば、究極ともいえる色彩設計の技術。これが京都に点在する友禅工房の個々のスタイルとして受け継がれてきたわけです。ならば、日本人女性の肌に最も美しく映える色彩だと言えるんです。-------------------------------------------なるほど。時代がいかに変わろうと日本人の肌の色は変わっていない。そこに想を得たのがまさにCG友禅である。http://www.jss-kyoto.jp/home/cg-yuzen3.html氏は、その友禅を独自の理論とセンスで因数分解する。友禅キモノの技術、材料、意匠、意味、作法、時代性、美意識---------一つ一つに分解した要素をパソコンという小さな箱の中でデジタルデータに組み直す。絵筆というアナログな画材で絹のキャンバスに描きあげる。その伝統的なジャンルにいた川邊氏がCG友禅と言うスタイルで日本の美を世界に発信したことの意義は大きい。思えば、伝統の始まりは、いつも前衛だった。氏の話を聞きながら私は、琳派の絵師・俵屋宗達を想起していた。宗達の作品はどうだろう。金一色の背景、大胆な構図---初めて見るダイナミズムは当時の人々を驚嘆させたに違いない。宗達は絵師であると同時に偉大なるアートディレクターでもあった。川邊氏もまた、絵筆を握ることだけに固執しない。デザインとは大事にしまっておくものではない。景色の中へ、ステージの上へ、日常の空間へ歩き出して初めて価値を持つのだと私は思う。そう考えれば、かつて扇子や屏風の世界で敏腕を振るった絵師の精神は目の前にいる川邊氏にも流れているように思えてならない。(俵屋宗達というのは私が勝手にイメージを重ねるだけで 誰を最も師事されるかを聞くのは失念した)すでに、その色とデザインはファッションという枠を超えインテリアにも才を発揮する。http://www.jss-kyoto.jp/home/works2.htmlこの先、CG友禅の色とデザインがどういう世界で、何と出会いモダンプロダクトを創造するのか。CG友禅作家・川邊祐之亮氏目が離せない現代の職人の一人である。←写真は弟さん。ともに製作に関わっておられる。横にあるのはプリンター。水着の柄が全身でプリントできるものを求めたらこのサイズになったそうである。 デカイ!「お~、バリューなのれん」と思ってくださったら☆よろしければ応援クリックをお願いします。-----------------◆お知らせ◆-----------------↓こちらのブログでは、私(前田めぐる)の有縁の方がたから↓いただいたニュースを掲載しています。↓セミナーや出版のお役立ちニュース満載です☆情報3分クッキング
2006年10月26日
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モノを買う、という行為でこんなに高揚したのは久しぶりである。それにはもちろん理由がある。モノではないものに出逢えた時だ。この店の引き戸を開け一歩足を踏み入れた瞬間から店をあとにするまで---いつの間にか1時間半が経過していた。しかも驚くほど、あっという間に。その店の名は「京都掛札」さん。四条堀川の大きな交差点から少し南西に入る細い道にひっそりとたたずむ。http://www.kakefuda.co.jp/kakefuda/shop.html数人も入ればいっぱいのこの店には県外からも客が訪れる。日経新聞の小さな紹介記事を読みかねてより、訪ねたいと思っていた。サイトで見た「看板自転車」と狸に出迎えられ「打ち出の小槌」が描かれた白いのれんをくぐる。カウンターのほうからすぐにお声掛けをいただく。「こっちがね、正絹で、 こっから、こっちが綿素材です。 今から包み方をお教えしますから ぜひ聞いてってくださいね」そこから先は言われるがままに手を動かす。ああ、そうか。こうやって、こうやって、あ、ほんとだ。わぁ、バッグになった。一体何だろう、店主と客のこの間合いは。普通、カジュアルに入った店では店員さんが説明に入られる前に必ずといっていいほどこう聞かれる。「今、お時間よろしいですか」そしてあっさりと「いえ、急いでるので」と客は答える。「今、お時間よろしいですか」この言葉はわざわざ客を追い返しているようなものなのだ。当然、この店はそんなNGワードで始まったりはしない。客は「面白い、おしゃれな風呂敷の店があるらしい」「どうやら、おしゃれな人達の間でちょっとしたムーブメントを巻き起こしているらしい」と聞き及んで戸を開けるのだ。ならば、知りたいことは、「自分が出会いたい品はどこにあるか」だ。そう思えば私が受けた最初の説明は実に的を得ている。それにしても何だろう。客と客のあいだの心躍るような連帯感は。私の後にお二人が入ってこられた。名前も知らない、偶然そこに居合わせた客同士まるで生徒にでもなったようにいつの間にか「あ、似合う。こっちもいいかも」と声を掛けあっていた。店に足を踏み入れたとたんそこが劇場になるのだ。確かに、図案、染め、縫製の全てを自家製で売っている「京都掛札」さんという風呂敷のお店ではあるのだが一方で、ここは客も参加する劇場なのだ。大げさに言えば、包む文化を体感する劇場、シアター。「あ!できた。 私にもできた。 包めた! よし、この柄にしよう。 これください」。すぐに売ってもらえると思ったら、これが甘い。「はいできましたね。 でも、まだですよ~。 今のが基本中の基本。 ここで、ひとひねりしたら、 結び目がどっちも表になる 方法をお教えしますから。 これはね、パンフにも書いてないから 絶対マスターして帰っていただきたいんです」どうやら、口答でないと説明できないもうひとひねりの結び方をマスターしてからのようである。掛札さんは、「使ってもらわないと、風呂敷が生きない」ことをご存知なのだ。さすがである。作り手でなければ、こうは売れない。だから、徹底的にその場でマスターしてもらってから商品を手渡す。モノの命とはそういうことだろう。遺産になってはいけない。生かされて、愛されて、徹底的に楽しんでもらってようやく作り手の使命が果たされる、そういうことをよくよくご存知なのに違いない。長い間、本当に長い間-----日本には風呂敷という文化がありながらそれはあまりうまく使われていなかった。結納や、だいじな訪問などの儀礼的な場でしかお目にかかることはなくなっていた。だからこそ、忘れられていた一枚の布を実際の生活の場のなかに蘇らせた「京都掛札」さんの功績は大きい。もしも、風呂敷を慶弔の場に使う和の小物としてだけしか認識していない方がいるとしたら(恐らく日本人の大多数がそうだろうと思うが)この京都掛札さんののれんをくぐられることをおすすめする。激しく、後悔するかもしれない。この素晴らしい、魔法の布地を今まで使わなかったことに。そして、激しく心躍る。一枚の布がハンドバッグにも、ボディバッグにも、大きな大きな箱を包む運搬のための道具としても使える。何と言っても、風呂敷一枚のインパクトは小物としてのアクセント以上の価値がある。書店に行くと、数冊本をまとめ買いしてその重さに手が痛くなる私には「鞄の素材が軽い」というのは大助かりだ。徹底的に軽い。何せ、もとを正せば、一枚の1メートル四方の正方形の布だから。いろんなタイプの鞄を持つことはない。普段使いの鞄に、この店の風呂敷が一枚あればあとは変幻自在だ。店への滞在時間が1時間半にも及んだ理由はまだある。八つの柄の、その謂われに「ほぉ~~」「へぇ」と客一同また、深々と興味が尽きず根掘り葉掘りと追及してしまったから。ただでさえ、話上手な掛札さんは柄に込められた豊かな世界を惜しげもなく展開してくださりついつい、あら、というわけなのだ。1枚、お手ごろ価格の5,460円(税込)。もともと、オーダーメイドでしかつくっていなかった掛札さんが、今のように通販展開されるようになったそのいきさつはこちらにある。http://www.kakefuda.co.jp/cotton/index.htmlどの柄も、和のエッセンスがありながらきものにも、洋服にも似合う。そしてうれしいことに、どの柄にも縁の部分に一つ、ちいさな「打ち出の小槌」が染められているのだ。「お--、ビッグになれそうでいいじゃないですか」うん、絶対にいい。お子さんや、恋人、夢を叶えたい人へあるいは起業した方への贈り物にも良さそうだ。青や紺が好きな私は青の観世水の柄を選ばせていただく。http://www.kakefuda.co.jp/cotton/products_06.htmllこれはもともと能楽の流派、観世家が定紋に使ったことからこの名がついた。流れる水は腐らない。常に新しく変わっていく水は芸事に関わる人間の心意気そのものだったのだろう。モデルになってくださったのは、京都 掛札さんの奥様三代目さんのお母様、掛札香代子さん。掛札さんのパワフルな語り口は温かみがある。客を元気にする不思議な魅力があって、本当に引き込まれる。おしゃれで、チャーミング。ああ、私もこの方のようにいつも新しい水をたたえた自分でありたい。そして、選んだ観世水の風呂敷はレコードジャケット形のパッケージにおさめられる。驚いたことにこの包装もロゴタイプも、のれんももちろん、風呂敷の柄も三代目・掛札英敬氏によるものであるとていねいに包装しながらご本人が話してくださった。家族3人でやっておられる店は今、東京の百貨店に出張個展を依頼されたり益々お忙しい。京都の、日本の、この美しきものが日本中の方の手で現代に結び直される日が私も待ち遠しい。そして、やがて海外にも---とついつい楽しい展開に想像が及ぶ。まるで、魔法でも見るようにけれど誰もが簡単にできる豊かな「包む文化」。文化を持ち運ぶのは簡単。肩ひじ張らない、おしゃれな風呂敷。「モノを創って、売りたい」とお考えの方は京都へ来られたら、ぜひ足を運ばれることをおすすめしたい。もちろん、時間的なゆとりを十分にご用意のうえで、である。忙しい現代。でも、だからこそ「モノを買う、そして使う」という体験を楽しもう。ゆったりとした気持ちで楽しめてこそモノづくりをした人と、使う人がまっすぐ向き合えるこの店を訪ねる意味があるのだから。「お~、バリューなのれん」と思ってくださったら☆よろしければ応援クリックをお願いします。-----------------◆お知らせ◆-----------------↓こちらのブログでは、私(前田めぐる)の有縁の方がたから↓いただいたニュースを掲載しています。↓セミナーや出版のお役立ちニュース満載です☆情報3分クッキング
2006年10月26日
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