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久々に読書の話。基本毎日読んでいるけど何せ遅い。今回は今年入ってから読んだいくつかの本のことを。まずは太宰治の『斜陽』。素晴らしかったです。太宰はベタに『人間失格』を読んで結構好きで以来2冊目の太宰作品だったのだけど鳥肌ものの出来。素晴らしい以外の感想がでないのが悔しいのだが本当にいい作品に出会えたな、と心から思えた1冊。読書ってやっぱりいいな、と心から思えた。自分の中で本は1度読んだらそれきりという感じだけどこの作品は残りどれだけあるか皆目見当もつかない余生で何度か開く1冊だろうな。間違いなく。大名作。宮部みゆきの『理由』は微妙だったかな。宮部作品は本作と『模倣犯』を読んだだけだけど現時点では自分の感性に合う作家ではないのかも、と思う。最初は相当興味深くてどんどんページを捲るのだが残り30ページくらいから「え?このままで大丈夫?」と思い、結局何か釈然としないで終わってしまう。僕の読んだ『理由』『模倣犯』共に結構なボリュームだけどもっと長くていいからしっかりとした形で終わらせてよと僕は思ってしまった。2作品に関しては、だけどね。社会派ミステリーの作家だから、社会の考察はリアルだがエンターテインメントの部分がちょっと弱い気がする。ちなみに『理由』は直木賞受賞作。当たり前だけど、直木賞作品=面白い本ではないよね。芥川賞なんてもっとそうだよね。それはアカデミー賞作品=いい映画という勘違いくらい偏った考え方なのだろう。あんなのただの米国映画賞だ。正直、僕はちょっと前までそう信じ込んでいた愚か者。賞を取った映画が必ずしも良いわけではないんだよね。それにしても日本人は賞とか好きだな。最近よく分かった。賞なんてものは作品を手に取るツールの1つでいいのだ。感想は人それぞれでいい。評論家がそんなに偉いかい?金城一紀の『対話篇』についてはそのうち書きます。個人的な思い入れがありすぎるので、結構濃い目で。つまり好きすぎるんです。今年中には書きます、絶対。(続)
2008.10.11
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かなり久方ぶりの更新。おまっとさんです。特に何かあったわけではなく仕事に仕事に仕事。好きなものに囲まれているので苦は「ほぼ」皆無。実際問題、相当疲れるけど文句や愚痴はダメだ。誰かに強制されたわけではなく自分で選んだのだから。そんな時期を過ごしているのでやっていることは何も変化がない。音楽を聴いて本を読んで映画観て。ただ、テレビをあまり見なくなったような気がする。多くない好きな番組だけは毎週見逃さず、それ以外は上の3つに費やしています。単調ながら素敵ライフ。世の中の流れもそんなに感じずに生きています。オリンピックもトータルで15分位しか見ていない。話題の汚染米についても正直よく分かってないです。でもYOSHIKIと大相撲協会の諍いはよく知っています。偏っているな~、ダメになりそうでちょっと怖いです。でも世の中の報道の仕方を俯瞰しているとテレビは見すぎているほうがダメになりそうな気配も。情報の伝え方が偏りすぎているような気がするんです。話題は確実に作っている人がいるわけですから。火はなくても煙はちょっと頑張れば作れるわけですから。僕は音楽と本と映画から世の中を知っています。触れている最中は特にそういう意識はなく楽しんでいるだけなのだけど、結果としてはそうなっている。確実に。たぶん、これらはそれほど汚れていないからだと思う。世に溢れる、色んなもので汚染されたものに比べれば。いい音楽、いい本、いい映画。そしていい人間。僕の世の中は驚くほど狭いのかもしれない。でも広げることはできる、ならば嘆くこともないのかも。最終的に何が書きたいかというと特になくて僕は元気です、ということ、ただそれだけで。生きています。(続)
2008.10.01
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そんなこんなで音楽の話。UNCHAINの『the space of the sense』を聴く。このバンドを語るということはつまりthe band apart(バンアパ)を避けて通ってはいけない。僕は別にバンアパのこと特別どうとは思ってないが彼らの存在なくして今の音楽シーンは語れないことくらいは分かっている。それくらいの存在です。パンク、ハードコアを出自としながらそこにボサノバポストロック、ジャズ、フュージョンなどの要素を入れた新しい形のミクスチャーミュージックを提示したバンアパ。それまでメロコアとエモと青春パンクばかりだったインディーズ界の流れを変えたのも僕が思うにバンアパです。今回紹介するUNCHAINもそんなバンアパ系のバンドです。he、ala、個人的にごり押しなlego big morl『ファンクラブ』期のASIAN KUNG-FU GENERATIONこれらのバンドもバンアパの洗礼を受けていると書いてもあながち間違いではないでしょう。というか正解。もう1度書いておこう。バンアパって本当にすごいんですよ。でも僕はバンアパよりもUNCHAINが好きです。理由はUNCHAINのサウンドはとってもポップだから。ヴォーカルがスティービー・ワンダーに影響されているなどベース(楽器のそれではない)がポップであるから小室サウンドと小林サウンドで育った僕の耳には馴染みが良い。凄腕の職人演奏者が集まった印象のあるバンアパよりも風通しが良く聴きやすい、そんな印象がします。バンアパはほんのちょっとだけ僕には敷居が未だ高い。かっこういいけど、同時に少し難しいのだ、バンアパは。その点、UNCHAINはポップ感が強いのでそういうジャンルに詳しくない人(僕を含め)の入り口としてもってこいだと思う。heはエモの要素が強く、alaはスカコアの要素が強いなど同じバンアパ系でも住み分けはされているわけです。(もちろん素晴らしいバンドは、ですが・・・)その中UNCHAINは上でも書いたけどポップ感がとても強い。どの曲もシンガロングできるようなポップ感が満載。もちろんサウンドはかっこういいけど、それよりも音楽として気持ちいいのほうが勝っているような気がする。ヴォーカルの谷川氏の歌声も素晴らしいの一言に尽きる。このソウルフルな歌こそがUNCHAINの一番の個性なのかも。スティービー・ワンダーに影響されているのも納得!サウンドのポップ感も彼の歌声を生かすためだろう。普通に洋楽のポップス好きな人とかもいけると思います。アルバム『the space of the sense』は彼らの初音源。クオリティ高すぎです。ありえないレベル。良すぎます。よく晴れた朝に聴くと最高です。爽やかな風が吹きそうな。ちょっと前にライブも観ましたが、やはり素晴らしい!演奏上手過ぎ。音源と何ら遜色なかったです。鳥肌モノです。老若男女問わず、しっかりとした耳を持った人には必ず伝わる音楽ですので、是非聴いてみてください。(続)
2008.09.07
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やっぱり音楽の話。BIGMAMAの『short films』を聴く。人気と注目を浴びているパンク(というかエモ?)バンドの初音源です。国内外問わず、腐るほどいるこのジャンルで彼らの最大の個性であり武器はヴァイオリン。そうなんです、ヴァイオリンがいるんです。なので、そこらへんのパンクバンドに比べてメロディがものすごく美しいのです。この美しさはメロディじゃないね、もはや旋律。このバンドはどこか牧歌的な感じがあって好き。1曲目の前半とかパンクっていうかアイリッシュ。サウンドはいわゆるメロコアと呼ばれるもの。でも彼らにはパンクにありがちな攻撃的な感じは無い。メンバーの佇まいも全然パンクバンドっぽくないしどちらかと言えば下北系のギターロックという感じ。でも、めっちゃくちゃ格好いいです。お勧めです。BIGMAMAの音楽は「劇」的である。劇的ではなく「劇」的ね。ここ結構重要。普通に曲展開の巧さとかはあるんだろうけどヴァイオリンがある分、その「劇」的度は圧倒的。世界観もグリム童話みたいなおとぎ話の雰囲気があるし少年性の強い甲高いヴォーカルもその雰囲気を高めている。ただパンクバンドにヴァイオリン入れました的なバンドではなく、ヴァイオリンがあって初めてBIGMAMAなのだ。このアルバム、すごくいいですよ。まずこれが初音源?っていうくらいの完成度。代表曲「CPX」「We have no doubt」はまず必聴。特に「CPX」はYOUTUBEでPVが見ることができるので是非見ましょう。他の曲もかなりいいですよ。演奏とか録音とかが荒いと感じるところもあれどそれがどうした!というくらいの勢いがこの音にはある。メンバー全員が僕とほぼ同世代(20代前半)というのも納得。スタイルがどうとかではなくて良ければいいじゃん!そんな雰囲気がこのバンドの音源を聴くと伝わる。BIGMAMAに限ったことではなくいわゆる「新世代ロック」と呼ばれる若いバンドが俄然注目を浴びているのはそれまでの歴史で作られたロックの柵に縛られぬ自由な空気が伝わるからではなかろうか。パンクというジャンルにどうも変な先入観がある人。パンクが好きだけどもっと色んなバンドを聴いてみたい人。クラシックもロックもとにかく音楽なら何でも好きな人。BIGMAMAの音楽はそんな人たちの心を虜にする力があると思う。最高に格好良く、最高に美しく、最高にドリーミー。言いたいことは分かりますよね?つまり最高なんです。(続)
2008.08.17
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音楽の話。凛として時雨の『♯4』を聴く。とても格好いいですね。そしてとても気持ちがいい。男女2ヴォーカルのハイトーンボイスの火花を散らすが如くの応酬にゾクッとします。サウンドの根底はヘビメタやハードロックっぽくソリッドでサディスティック。だけどメロはもろ歌謡曲。曲展開は性急で劇的。そして何より美しき。こりゃつまりはX-JAPANですよね。そしてLUNA SEAですよね。そしてこのオルタナ感はどこかNUMBER GIRLの匂いが。放課後っぽい。9mm Parabellum Bulletやミドリと同系統っぽく括られているけど違う。9mmはもっと激しいしハードコアあるしミドリは色んな意味でそれ以上だしジャズあるし。一方、凛として時雨はギターロックです。しかも結構オーソドックスな。サウンドが他のギターロックバンドより過剰であること以外は特に何か突出した個性は外にない。あるのは内。このバンドの魅力だと思う。何か普段おとなしい人がナイフで無差別殺人をしでかすような危うい感じがある、このバンドには。そんな世も末な狂ってごく健全な世界観で鳴らしている音やそのアレンジが非常に若いというか無邪気。だから余計怖いんです。歌詞も何か不穏でよく分からないし。異才と呼ばれる所以は多分そこにもあると思う。9mmやミドリは爆弾や重火器でドーン!という具合だけど凛として時雨は鋭く研ぎ澄まされたナイフで急所以外をめった刺しという感じ。どの道殺してます。アルバムは抜群に素晴らしいですね。どの曲も単純に良くてこのバンドの幅の広さを感じました。本当にいい!変にアレンジに凝っていないバラードもすこぶる良い。僕はこのあとに出たミニアルバム(『Feeling your UFO』)持っていますけどそっちに比べて統一感がありますね。起承転結がしっかりしているというか。こっちのほうが長く聴くことができそう。45分で彼らの世界にどっぷりと浸かることができます。もっとたくさん曲が聴きたいです、このバンドの。外側(つまりはサウンドやバンドの形態やアプローチ)だけ似たようなバンドが今後腐るほど現れるでしょう。でも勝つでしょうね。完勝でしょうね。僕は日本の音楽史に残る1枚だと思う。だって本当にいいアルバムですもの。名盤。(続)
2008.08.10
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映画の話。是枝裕和監督の『歩いても歩いても』を観る。最初に断っておくと、僕は是枝監督のファンです。映画の監督作品は全部観て、1番好きなのは『ワンダフルライフ』です。『ワンダフルライフ』は僕の今を作った作品といっても過言ではないです。そんな監督への愛が強すぎる僕ですが、一般的にも俯瞰にもそれまでの最高傑作はやはり『誰も知らない』だろう。どこをどう観ても名作です。で、今作『歩いても歩いても』。僕は現時点で監督の最高傑作だと思います。何気ないちょっとした言動でその人の人柄が観ているものにしっかりと伝わり、自然と映画の世界に自分も溶け込んでいるような感覚にさえ陥る。そこは是枝作品の魅力の一端だけど、僕はそこをこよなく愛している。監督の目線が上でもなく下でもなく、登場人物の目線と同じである所も好きだ。きっと人間へ対しての惜しみない愛に溢れた人なのだろう。作品を観るとそう思う。ドキュメンタリータッチで撮られた非常にリアルな作品とよく言われている是枝作品だが、実はフィクション性が強い。『ワンダフルライフ』は死後の世界、『DISTANCE』はカルト教団の遺族『誰も知らない』は親による子供の置き去り。はっきり言ってかなり非日常。是枝監督はそれらのいわゆる非日常の世界に生きる人たちをいわゆる普通の世界に生きる人たちと同じ接し方で描いている。そこが是枝作品らしいところの1つだ。しかし『歩いても歩いても』は違う。描いているのはごくごく普通の家族の1日。もちろん映画ならではの味付けもあるけどそれはメインではない。映画としてかなり地味ではあるが、余分なものを極力削ぎ落としている分濃い。無意味なほど装飾だけ派手な作品を10本観るよりも今作を1本観るほうを薦める。手法が手法だから是枝作品で演技を評価するのはちょっと変だけど樹木希林を筆頭に女性陣が圧巻。特に冒頭の樹木希林とYOUのやりとり。映画自体、ごく普通の家族の生活を見ているような感覚を覚えるがこの2人のやりとりはまるで本当の親子のそれ。自然すぎてちょっと怖い。決して多くは無い俳優の演技はうまいではなく、自然である。違和感が無い。そこがすごいとか思っている時点で僕の映画の見方はダメなんだろうけどね。物語はかなり残酷です。正直観ていてきつくなる場面もいくつかあった。血なまぐさいという類のそれではなく精神的な意味でグロテスク。まあ、同時にそれこそが映画の肝であることは観ていれば明らかだけど。しかも、それがよぎる程度にしか描かれていないからより印象深い。基本はのどかなとある夏の1日を丁寧に描いているのだが、たまに挿入される登場人物の素顔が怖い。そう感じるのはきっと自分にもあるからに他ならない。こう書くと相当重い映画に捉えられるかもしれないけど、笑えるところも随所にある単純に珠玉の逸品と呼べる映画であることは間違いないので。観終わって残る余韻の濃さも相変わらずで同世代の他の監督を遥かに凌駕する。もう一度書くけど、あらゆる面で確実に是枝監督の最高傑作です。素晴らしい!そんな素晴らしい映画を映画館で観れたこともとてつもない喜びだ。やはり映画は映画館で観るのが1番だな、と思えた。映画の良さを更に痛感した。当たり前だけど映画は映画館で観ることを大前提に作られている代物。だから観る側はそんな作り手の思いを大切にしなければならないのではなかろうか。日本は映画料金が高いけど、本当に映画が好きな人は映画館も行ったほうがいい。社会人になってから月1映画館に行くことを目標にしているのでこれからもそうしたい。今観たいのは邦画なら『ぐるりのこと』『ジャージの二人』『片腕マシンガール』洋画なら『シークレット・サンシャイン』『TOKYO!』(特にポン・ジュノ監督の!)。故・水野晴郎氏が言っていたけどまさにそうだと思う。映画は素晴らしい。(続)
2008.07.30
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またまた音楽の話。いきなりですけどやばいです。マジで。何がってlego big morlというバンドが、です。きっかけは愛読雑誌『MUSICA』の新人バンド特集。何組かいた中で彼らは何か光っていました。何がというかね、単純にアーティスト写真が良かったのです。佇まいというかオーラというか・・・そんな類のものです。何か「すごいバンドになりそうだな~」と思わせる写真でした。それから1ヵ月後くらいにリリースされたデビューミニアルバム『Tuesday and Thursday』を購入。そこからもう、ただひたすらにぞっこんです。素晴らしい!アルバム全体の素晴らしさはもちろんなのだけどとにかく1曲目から2曲目に入る瞬間を聴いてほしい。この何かが始まる鮮やかで眩い音は感動以外の何者も無い。扉が開かれたような、夜が明けたような、そんな眩さです。聴いた瞬間、実際に鳥肌が立ったのだけど鳥肌が立つという表現ではあまりに陳腐すぎる。この感動は―。そして2曲目の「dim」。これがいきなりの大名曲です。ネタ晴らしをすると1曲目の「Tuesday and Thursday」はイントロのようなものなので実質的な1曲目は「dim」といっても過言ではないだろう。そしてこの曲が本っ当に素晴らしい1曲で。BUMP OF CHICKENが「ガラスのブルース」であったようにスーパーカーが「creamsoda」であったようにOASISが「Rock 'N' Roll Star」であったようにデビュー作の1曲目はそのバンドの本質を端的に示していると思う。でも、↑はただの僕の持論。なので、正解かそうでないかは微妙。しかし、もしこの持論が当たっているのだとすればlego big morlはシーンにその名を深く刻まれるバンドになるはずだ。サウンドはthe band apartのようなポストロック的タイトなアンサンブルが主体なのだけどBUMP OF CHICKENのようないわゆるギターロックの王道感もある。そして00年代のUKロックのささくれたったような危うい香りもある。オリジナリティはこの作品を聴く限りはあるようでないような。まあ、つまりはまだまだ未知数ということなのだ。1枚目だしね。世界観は00代のギターロックらしく(?)冷めたというか冷静。しかし、決して諦めてはいなく、そこには希望をしっかりと描いている。過剰なネガやポジではなく、その中間、つまりグレイゾーンを奏でている。lego big morlの魅力の一端はそこかも、書きながらそんなことを思った。書き忘れていましたけど、4ピースバンドです。ドラム以外のメンバーは普通に男前です。特にギターは。ドラムは重戦車のようなガタイの良さで3人とは違う意味で男前です。楽曲抜群に良し、ルックス抜群に良し。その上実力はまだまだ未知数。これ以上何が必要なんでしょうか?正直無敵なのではないでしょうか?各音楽メディアがこぞって絶賛している理由は聴けば必ず分かるはず。大袈裟ではなくシーンを変える力を秘めている、というか持っています。この4人。このバンドについてはまだまだ書きたいことがあるのでまた書きます。(続)
2008.07.24
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また音楽の話。BEAT CRUSADERS(ビークル)の『popdod』を聴く。良すぎます。とてつもなく良い。素晴らしいというか良いという表現がしっくりくる。とにかくメロディがとんでもなく美しい。ビークルのメロディがいいことくらい百も承知だったつもりだったが今作を聴いていると改めてそこに気づく。1曲1曲のクオリティの高さはもはや書く必要もない。高品質も高品質。珠玉も珠玉。賞賛の言葉しか並べられない。シングル曲は「WINTERLOMG」のみなのだが何の予備知識もなく聴いたらそんなことには絶対に気がつかない。メロディが良いというかすっごく切ない。単に美メロという低次元ではなく哀愁や郷愁がある。涙腺を直撃するこの美しさは本当に日本屈指のレベルだと思う。今作には沖縄民謡的やテクノの要素も入っている。そこらへんが半端ではない音楽知識を持つビークルらしい。前作『EPopMAKING』はシングルもゲストを迎えたコラボ曲もいっぱいなお祭的でありベスト的要素が強い名盤だったけど今回はビークルがビークルらしさをとことん突き詰めたこれまた名盤だと思う。全てのジャンルの音楽が「ビークルの音」として昇華されている。そういう意味ではファースト(『P.O.A』)に近いかもしれない。似たような曲も多いと思うこともあるがとにかく良い。ジャンルは一応パンクとかエモに括られるんだろうけど今作はロックの視点からもポップスの視点から見ても単純に優れたアルバムだと思う。それにしてもずるいバンドである。ライブやメディアでの発言は下ネタと笑いばかり。お面バンドという佇まいからして奇天烈というかおふざけ的。なのに作られる楽曲の数々は珠玉の一言。本当にずるいよな。ちなみに今作の裏テーマ(?)はバンドの首謀者ヒダカトオルの生誕40周年記念(?)アルバムである。40のいわゆるオッサンがこんなアルバムをつくるなんて。それまでで培った技術や知識を史上最高にポップな形で封じ込め、なおかつキッズにもきちんと響く音になっている。改めて書くけど、本っ当にすごいです。いやマジで。このバンドを賞賛するのはちょっと恥ずかしいのだけど賞賛の言葉以外見つからないのだから仕方ない。素晴らしすぎる!(続)
2008.07.10
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音楽の話。ランクヘッドの『孵化』を聴く。前作『FORCE』から10ヶ月ぶりベスト盤からは1ヶ月という驚異的ペースでリリースされた5枚目。ランクヘッドに関しては正直ちょっと嫌いだったというか興味がすごく薄れていた時期があった。アルバムを聴けば全然素晴らしいと感じるのだけどいかんせんシングルが微妙なことが多いバンドである。なので、定期的にシングルを届けられても常に「次のアルバム大丈夫かね?」と思ってしまう。今作の先行シングル「素晴らしい世界」に関してもそう。「白い声」「体温」に並ぶ楽曲、という結構な煽り文句はあったけど正直全然並んでないし。普通じゃん、と思っていた。しかもアルバムに収録されているシングルはそれのみ。僕の「次のアルバム大丈夫かね?」という思いは更に募る。で、そのアルバムはどうなの?と問われればやはり素晴らしいんです!抜群にいい!それまでのアルバムに比べれば特にコンセプトもなくただいい曲を詰め込んだという印象。それまでの作品と圧倒的に違う点はラブソングがすごく多いというぐらい。たださっきも書いたけど、どの曲も本当に素晴らしい!1曲1曲の精度が尋常ではない。磨きぬかれた宝石のようだ。ランクヘッドはアルバムを出すごとに大きくは無いけど確実にいい方向に進化しているバンドという印象で僕はそこがたまらなく彼らを信用している大きな要因なのだけど、今回もそこは裏切っていない。やっぱり僕はこのバンドが好きだ。そして好きでよかった。この作品、サウンド自体は過去最高に重いのだけど聴き終わった感覚はなぜかすごくさっぱりとしている。ヘビーではあるが、それと同じくらいポップでもある。その加減は絶妙ではないが、それが心地よいアルバムです。さっきも書いたけど本当にいい曲ばかりである。まず「id」で最高の幕開け。ファンなら歓喜するだろう。2曲目「素晴らしい世界」もこの流れで聴くと格別である。僕がアルバムという媒体が好きなのはそういう流れがあるところ。「誰かじゃなくて」「こころ」あたりは確実に今後代表曲にあるであろうクオリティ。ランクヘッドらしい名曲だ。その他には「羽」「教室」という曲がとても好き。そして「ぐるぐる」という曲。これがすごい。前作『FORCE』に「僕らは生きる」という歴史的超名曲があるのだが、そのエッセンスをこういう形にするとは―。見事な裏切りである。うん、これは見事な裏切りだよね。良い悪いではなくすごい曲という表現がしっくり来る。最後は「BRAVE SONG」でしっかりと閉じてやはり傑作であると確信できる1枚になっていた。全体的にライブ栄えしそうな曲が多かったので先日のツアーに参加できなかったのはかなり残念であった。次は有給を取ってでも参加したいな。そう思う社会人1年目。ただ、これはランクヘッドのアルバムを全部持っている僕の意見。なので、新規のファンが聴くにはちょっと敷居が高いかもしれない。やっぱりランクヘッドは名作『地図』から聴くのが1番いいと思う。そこから時系列に小さいながらも確実な変化を耳で楽しむのがいい。今作は最高傑作ではないと思う。何というかそういう雰囲気を醸し出してはいない。さっきも書いたけど、ただすこぶるいい曲をいい順番で並べたアルバムという印象が強い。それ以上でもそれ以下でもない感じ。やはり最高傑作は『FORCE』ではないだろうか?僕はそう思っている。あの作品に漲っているエネルギーに比べると肩の力を抜いたような印象を受ける。今のランクヘッドはきっと好調なのだろうな、と思う。下手したら『孵化』という1枚は今後のランクヘッド史においてもそれほど光の当たる作品では無いかもしれない。ただ、相変わらず歌詞の伝達スピードはものすごいし、メロディもグルーヴも研ぎ澄まされている。バンドとしての一体感も申し分ない。前のめり気味に迸る熱さもインディーズから一切損なわれていない。全体的に地味ながらもやはりランクヘッドにしか鳴らせない熱い思いの曲が詰まったやはり傑作としか思えない非常に感動的な1枚。(続)
2008.07.02
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またまた読書の話。今回は漫画です。今更ながら「DEATH NOTE」を読み終えました。単行本は出た当時から買っていたのだけど単に2・3年間ほとんど漫画を買ってなかったのと社会現象ほどになったの本作のブームに何となく乗っかりたくないというひねくれた思いがあったため長い歳月を経て今更になった。う~ん、どうなんだろう。これが僕の読み終わった後の率直な感想。まあ、面白かったですよ。手に汗握り最後まで退屈なく読めたのは紛れもない事実。でも、やっぱり前半のほうが圧倒的に面白かった。このことについてはインターネットで至るところに書かれているけど僕もやっぱりそう思う1人です。決して後半がつまらなかったわけではない。ただ、前半が面白すぎた。神がかってましたものね。もともとの設定自体かなり奇異なものだったけどそれでも前半のほうはすんなりと受け入れることができた。が、後半はちょっと無理があったような気もする。話のスケールがでかくなりすぎて収集が付かなくなった感もある。止め時を失っていたみたい。最後も想像の範疇だったからね。そこはちょっと残念だった。でも誉めるところも多々ある作品です。まず、これを少年ジャンプで連載したということ。青少年がメインターゲットであろうジャンプ誌上において今作は様々な面で連載自体が相当な冒険だったはず。しかし、結果は周知のとおり社会現象クラスの大ヒット。これは単純にすごいことだと思う。映画・ドラマ問わず今日の映像界は原作ものが氾濫しているけれど、何だかんだで漫画原作の実写化ブームも本作が火付け役だったように思える。作画担当の小畑健さんは「ヒカルの碁」で日本はおろか海外でも爆発的に囲碁ブームを作り上げた方だが、彼の描く美しい絵にはそんな人を虜にする不思議な力が宿っているのかもしれない。というか週刊連載漫画の絵としては異常なほど綺麗過ぎる。作品の構成力も見事に尽きると思う。バトルものという点では少年ジャンプの王道パターンなのだけど、それが肉体ではなく頭脳のそれになっただけでこれほど新鮮だったとは。知らず知らずのうちに読んでいる側も騙されている感覚も並みのメディアではなかなか味わえないものだと思う。字数の多さも含めて小説に近い漫画だったように思える。そしてキャラクターの魅力。これは小畑作品の魅力の1つだけど今回も遺憾なく発揮されていたんじゃないかな。僕はやっぱりLがその最たるものだと思う。何せスピンオフ作品が公開されるくらいですからね。我が兄が「Lを演じるって相当おいしいよね」と言ったことがあるがまさにその通りだと思う。今日の松山ケンイチの位置はL無しに語れない。僕は今作の映画版にはほとんど興味ないけど松山ケンイチがどのようにLを演じているかだけは興味あります。その他、死神の造形とか人間の愚かさや浅はかさなどいいところをあげればたくさんある作品であるけど何より感心したのは最後まで完全な善悪をつけていないところ。いい意味で投げっぱなし。そこが良かった。僕が今作を読み終わった感想が↑に書いた感じになったのはたぶんそこなんだろうな。だって少年漫画の終わりじゃないもの。一方的なメッセージを発してはいない読んだ人の数だけ感想がある作品だと思う。読んだ人同士で討論してみたい。何度も読み返す類の作品だとはあまり思わないけど一読の価値は確実にある。やっぱり何だかんだで良作です。(続)
2008.06.22
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また読書の話。フランツ・カフカの「変身」を読んだ。読書サイクルがちょうど海外文学に入っていたのと大学時代の後輩が面白いと薦めてくれたのを本屋でふと思い出したので。確かに面白かった。すごく面白かった。独特の文体というか節回しで読むのが多少難儀だったが、とにかく面白い話だったので全然OK。まあ、相当重い読後感だけどね。読む前は何となくポップというか滑稽な作品かなと思っていたが全然違った。重い。ドッロドロ。最初の1行からは想像も出来ないラストだった。登場人物それぞれの内面の変化描写がとにかく圧巻で20世紀文学の名作と呼ばれる所以も大いに納得。が、僕の買った1冊には「変身」以外に「ある戦いの描写」という作品も入っていた。こっちはね・・・・・無理だった。理解が。難しいというか。ストーリーあるの?という具合。最初から読みにくかったけど「変身」でそういう作家であることは分かったからそこは大丈夫だった。しかし、途中から急に分からなくなり最後まで自分の中で一切の収拾がつかぬまま物語は閉じた。裏にはカフカ的エッセンスが凝縮された名作と書かれてあったが、僕には全くの理解不能。自分は特別頭が悪いわけじゃないと思っていたが今作が世で名作と言われ、それを理解できないならどうやら僕は頭が悪いらしい。人22年目にしてそう思った。話の内容はもちろん、良さも理解できなかった。J・D・サリンジャーの作品は話の肝は理解できなかったが世界観や登場人物が好きでとても楽しめた。だけど、こいつは無理。表現が僕には高等すぎる。要所要所で好きなとこはあったがつまる結果はよくわからん、でしたよ。名作だとはとても思えなかったね。(続)
2008.06.18
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読書の話。吉本ばななさん著の「体は全部知っている」を読んだ。何がいいかは分からないけどすごく好きな作品だった。20ページちょい(というか1編を除いて全て20ページ以内)のショートショートな物語が13入った作品なのだけどどれも余韻、つまり読後感がすごくいい。どれにも何か特別な事は起こるわけではない。だけど、不思議と素敵と思える。何か特別なことが起こらない日常も案外素敵ということかもしれない。僕は本を読むのが遅い。ページ数にもよるけど大体月に1冊。うまくいって2冊。ちなみに今作は4日くらいで読めました。普段の読書は音楽を聴きながら。それが終わるまでの間が僕の読書時間だ。でも今回は1つが20ページちょいなので時間が空いたら読む感じだった。スナック感覚というかエッセイを読むような感覚。僕は特定の作家を読むことはあまり無いのだけど吉本ばななさんは3冊持っている。特別意識はせぬともきっと好きな作家なのだろう。何がいいとかはうまく表現できないのがもどかしいが作品全体から醸し出される空気感や雰囲気がそれだと思われる。同じく好きな吉田修一さんの作品もそんな感じなんだけど。唯一引っかかったのは全登場人物が適度に金持ちなところ。同じく吉田修一さんの作品もそんな感じなんだけど。特別裕福ではないフリーターには憧れでありつつもそこはちょっとした違和感だった。でも温かくていい作品です。(続)
2008.06.16
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ようこそ。そしてはじめまして。ここは「goku goku average」という名の部屋です。僕はここで文章を紡ぐmiyamoto-02という者です。22歳のフリーターです。一応社会人です。趣味は音楽鑑賞、読書、映画(というかDVD)鑑賞です。プロフィール欄に書かれているのはこのくらいですね。詳しいことはこれから書かれていくことで分かると思います。というか例え一方的でも教えていきますよ。まずはこの部屋の簡単な説明を。と、書いてもただ僕が日記を書くだけなんですけどね。本当にそれだけのシンプルなものです。ここでは自分の好きなものを紹介していこうと思います。タイトルは「ごくごく平均的」という意味です。インターネットの特徴の1つである匿名性を生かした誇張や謙遜、感情な比喩表現は可能な限りしたくないという意味を込めてこういう名前にしました。あと単純に格好よくない名前にしたかったからですね。という具合です。それではこれからよろしくお願いします。(続)
2008.06.15
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