政治、現代史、進化生物学、人類学・考古学、旅行、映画、メディアなどのブログ

政治、現代史、進化生物学、人類学・考古学、旅行、映画、メディアなどのブログ

PR

×

Profile

自費出版のリブパブリ2010

自費出版のリブパブリ2010

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

farr@ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
くーる31 @ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
背番号のないエース0829 @ 婿入り 現在井上ひさし「吉里吉里人」を読書中な…
自費出版のリブパブリ2010 @ ありがとうございました。 京都ヒストリカ国際映画祭事務局さん …
2026.04.10
XML
カテゴリ: 生物学
 長年連れ添ったパートナーを失う痛みを感じるのは人間だけではない。約10年前、コヨーテ( Canis latrans )は一生にたった1頭の相手と添い遂げることが明らかになった( 写真 =ロサンゼルスのグリフィス公園で撮影したコヨーテのペア)。最近の研究ではさらに、その生涯にわたる愛のより悲しい側面、つまりパートナーに先立たれた悲しみへと焦点が移っている。



◎コヨーテは、ペアの相手に100%忠誠
 これは喪失で何が起きるのか、そしてそれが悲嘆に暮れる人々の回復にどうつながるのかを理解する機会になる、とアメリカ、ユタ州立大学の生物学准教授を務める神経科学者のサラ・フリーマン博士は語る。博士は、パートナーを失ったコヨーテでは、人の脳にもあるストレスホルモンに関わる受容体が嗅覚系で増えることを発見し、2025年10月に科学誌「Neuroscience」に論文を発表した。
 こうした調査を通じて、誤解されがちなこの肉食動物への思いやりが育まれ、ひいては人間のメンタルヘルスの治療法の開発につながることを科学者たちは望んでいる。
 哺乳類の3~5%は、一生に1頭のパートナーを選ぶ一夫一婦制だ。とはいえ、オオカミをはじめ、多くの種は「浮気」をする。こう語るのは、とアメリカ、オハイオ州立大学の野生生物生態学教授で、長年コヨーテを研究してきたスタン・ガート博士だ。
 ただし、コヨーテは例外のようだ。ガート博士が2012年に学術誌「Journal of Mammalogy」に発表した研究で、コヨーテのペアに100%の忠実性が確認された。つまり、「遺伝的一夫一妻制(genetic monogamy)」と呼ばれるさらにまれな絆を形成していたのだ。

◎浮気の証拠は一切見つからない
 ガート博士らはシカゴ都市圏のコヨーテを対象に、遺伝子の情報を収集した。その結果、18組96頭の子どもから、浮気の証拠は一切見つからなかった。
 「本当に驚くべきことだ」とガート博士はこれを評している。ガート博士らはその後も10年間にわたって未発表データを収集し、当初の結論を裏付ける結果を得ている。
 複数のパートナーを持つことには、生殖の成功率を上げたり、遺伝的な多様性を増したりなど、進化上の利点がある。
 一方、遺伝的一夫一婦制にも利点はある。父親が子育てに積極的に関わるため、コヨーテはより多くの子を産めるからだ。また交尾や子育てに忙しくない時は、ペアで縄張りを守るため、縄張りの確立と維持にも役立つ。

◎生涯連れ添う、唯一の例外はパートナーの死
 ガート博士のチームは、密集した都市環境で新たなパートナーと出会う機会が多いシカゴ周辺のコヨーテでも、生涯同じ相手と連れ添うことを発見した。唯一の例外はパートナーの死だ。
 「本当に驚くべきことだ。コヨーテがパートナーを選ぶ時、その相手が一生を共に過ごす唯一の相手になる可能性があるということだ」とガート博士は語る。コヨーテにとって、だからペアリングはとても重大な決断なのだ。
 人間と同様、コヨーテもパートナーを失った後、悲嘆に似た行動を示す。
 ガート博士は、追跡用の首輪を交換するため、メスを1頭、一時的に捕獲したことがある。その間、オスは常にメスのそばにいた。ガート博士がメスを研究室に連れて行くと、メスが戻ってくるまで、オスは絶え間なく遠ぼえを続けた。明らかに強い感情が働いていたのだ。

◎相手の死には悲嘆にくれる
 コヨーテの悲嘆の兆候には、一部の科学者が「哀悼」と表現する持続的な長い遠ぼえ、無気力、食欲減退、気力の低下などがある。うなだれるようなしぐさが見られることもある。さらに、死別した伴侶や子どもが最後に目撃された場所に戻ることもある。
 悲嘆と解釈できる行動を示す動物はコヨーテだけではない。
 遺伝的一夫一婦制を実践する小型のずんぐりした齧歯類のプレーリーハタネズミ( Microtus ochrogaster 写真 )は、パートナーを失った後、「抑うつ様行動」を示すとフリーマン博士は述べている。



 プレーリーハタネズミのペア形成の研究で知られるラリー・ヤング博士と共同研究を行ったフリーマン氏は、泳ぎのテストをすると通常は泳いで脱出を試みるプレーリーハタネズミが、パートナーを失うと「どうでもいいかのように」、投げ槍に浮かんでいる傾向が強くなると説明する。

◎CRFは悲嘆などのストレスで活性化される
 フリーマン博士は過去6年間、コヨーテの一夫一婦制に関する行動的、ホルモン的、神経学的基盤の研究に力を注いできた。2025年10月の論文では、パートナーを失ったコヨーテの脳内で、コルチコトロピン放出因子(CRF)というホルモンの受容体がどのように変化するかを評価した。
 CRFは人とコヨーテ両方の脳にあり、悲嘆などのストレスに反応して活性化される。すると「視床下部―下垂体―副腎系(HPA)軸」として知られる体のストレスシステムが作動し、最終的にコルチゾールが血流に放出される。コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、「闘争・逃走反応」(脅威と闘ったり逃げたりするのに体の準備を整える反応)で重要な役割を果たす。

◎なぜ脳の嗅覚系に影響するのか
 フリーマン博士らは死んだ6頭のコヨーテから脳のサンプルを採取した。そのうち3頭はパートナーに先立たれていた。パートナーに先立たれたコヨーテはそうでない個体と比べて、においを処理する脳の嗅覚系と、学習や記憶を担う海馬において、CRF受容体が増えていることが分かった。
 フリーマン博士は、悲嘆がコヨーテの脳の神経化学を変化させ、感覚の処理と記憶の機能を調整する可能性があると推測している。伴侶を失ったコヨーテが環境中の社会的なにおい、つまり尿のにおいなどを感知し、その行方を追ったり、新たなパートナーのにおいを嗅ぎ分けたりするのに役立つのかもしれない。
 ただし、この研究をあまり広く一般化すべきではない、とフリーマン博士は警告する。サンプル数が少なく、コヨーテはすべてメスで、それぞれが伴侶を失ってから経過した期間は3日、4カ月、14カ月と異なっていた。

◎人間の悲しみを癒やす治療に役立つかもしれない
 それでも、こうした研究は一夫一婦制の種におけるペア形成の理解の重要な隙間を埋め始める可能性があるとフリーマン博士は述べる。博士によれば、ほとんどの研究は、つがいがどのように形成されるかに焦点を当てているという。
 コヨーテと人間は生物学的に共通点を持つため、フリーマン博士らの研究は最終的に、人間の悲しみを癒やす治療の指針となる可能性がある。これには新薬の開発、さらには運動プログラムのような非薬物療法も含まれるとフリーマン博士は述べている。
 なおコヨーテは、最近、全米に分布域を広げている( 写真 =フロリダ州にあるバブコック・ランチ州立保護区で撮影されたコヨーテ。フロリダのようなアメリカ南東部は、アメリカ国内で最後にコヨーテが住み着いた地域だ)。遺伝的一夫一婦制が、彼らの繁殖を成功させているのかもしれない。



昨年の今日の日記 :「トランプの相互関税、報復の報復でスターリニスト中国に104%関税、日本の石破の対応に市場は『不信任』」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202504100000/





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2026.04.10 05:02:25


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: