海外ロングステイ

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November 17, 2014
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パネラー大木志門(山科大学)、松本徹(三島由紀夫文学館館長)、紺野謙介(日本大学)、尾形明子(元東京女学館大学)

 昨日は午後2時から21世紀美術館地下で篤い話があった。私にとって味気ない秋声文学。今日も「新所帯」を読んで漱石以上に美文が多いので小説の手本にしている。講演のこういう背景があった事に愕然と胸を打つ。会場は満席で補助椅子も並べられて,話を聞こうという文学愛好者で賑わった.朝11時から秋声の菩提寺天神橋近くの静明寺で法要も行われた。30人近くの方が集まり偲んでいます。昭和一八年没の地元では神様のような存在の秋声の思想を少しは理解できた。

秋声全集を作成した三人の先生と、かつて秋声を研究していた女流文学研究者尾形さんの話は1秒も聞き逃せない話だった。ここでは私のメモから要点を書きシンポジウムの概要を紹介したい。

松本 秋声は戯曲1本のみで,小説がおもですが,ヨーロッパに習った近代主義文学です最高傑作は「黴」。山田順子との恋愛がジャーナリズムに餌を与える。今日ではスキャンダル小説は普通に行われている。翻訳から出発している.自前文学だから自由に書いている。

紺野 全集には実はまだ収めきれない通俗小説もある。秋声を愛した人たちは,プロフェッショナルな人がよく読んでいる。1936年「現代」付録文壇大家花形自叙伝にも紹介された作家です。当時の流行作家と今は別の尺度で評価されている。
夏目漱石のフィロソフィーがないということが,実はすごいのです。「仮装人物」は今の芸能人がやっていることと同じ恋愛すると同時に創作に入る。このことは職業作家として生きていく上で重要だった。かの漱石も芥川も新聞社と年間契約をしている。
 妻である浜さん死後、作家仲間の集まりである二日会は四十五回開催され、久米正雄・・・多くのジャンル問わない作家が集まる。「あらくれ会」も四十四回おこなわれ,プロレタリア文学の方も参加している。堀口大学・・・。
強い制約を作らないから実現できたのです。

尾形 1999年パリの大学で研究員として留学しました。
オリワス?先生から日本文学の授業で最初見たのは秋声の「縮図」が黒板書きされて日本を代表する作家ですと紹介していました。まさに盆栽のような宇宙観が広がっていますと、学生に講義していました。感動でしたね。
 1928年「女人芸術」(全部で48巻)という雑誌。後に「輝き」(102号)に変更になりますが.この雑誌とリーフレットは学歴のない女性作家の登竜門としてほとんどの女性作家が登場しています。昭和前期の平林たえこなど・・。出版記念会の発起人に秋声が必ず記載されています。女性作家の味方でありながらそれ以上を求めていない。
「仮装人物」はお薦めです。女性をきれいに書いています。林芙美子は秋声の女中になってもいい。いや妻の座を狙っていた形跡もありますと小説にも書かれています。

 ここで「現代日本文学巡礼」を見る。かつて円本の発売を機に多くの作家が裕福に暮らせるようになったが,その発売前の十ほどの作家紹介前の映像がある.秋声は順子に促されて,家族と後ろのホテルでブランコで遊ぶ孫ブランコを押す息子と順子の映像が紹介されている。芥川龍之介が木に登る風景もみられた。

松本 明治20年代の金沢は一番日本の中でも都会的でした。東京は田舎者が集まっています。経済的豊かさ,芸能の豊かさが秋声の自信の基礎になった。
 昨日も徳田秋声記念館で行われましたが,新内流し。台詞と地の文では調子をつけて歌います。(昔御茶屋の道路を黒の紋付きの着物を着て三味線弾きながら練り歩き、茶屋の二階からお金を入れた紙包みのおひねりを投げて芸人をさそっていました。)秋声の見た金沢は町中に声が溢れていました。その事が小説を書く原動力になります。ヨーロッパ文学を適当に取り入れ自然主義へと移っていきます。リアリズム私小説と考えます。
活版印刷になって明治末から大正にかけて婦人雑誌が出ますが、何十万部という発行です。男子は新聞を読み女性は雑誌という大事件の小説の描き手が秋声だったのです。今和服から普段でも洋服が多いですがそのために生活感も変わってきました。秋声は生活の心根も書いてくれています。
 秋声の通った旧制四高は英語教育は原書で読ませました。リットン・・
また浄瑠璃、近松にも触れていく機会がありました。翻訳のバタ臭さを自然主義で抜く。擬態語をどんどん使っているのは浄瑠璃の影響です。
尾形 田山花袋は平易描写ですが、秋声は時空間が入り組んでいます。
「仮装人物」男女が対等に書かれてますが,花袋は本の女性が泣きますね。近代の男と女の関係がよくわかりますね

紺野 藤村はインテリが悩む作品で、自分の救済のためにゴールを目指します。秋声にはゴールがない。藤村は「処女地」を発刊しますがこれは無名作家の紹介の雑誌で,この中から自分の妻を見つけるのです。この点秋声は男女関係がない。学歴のない女性。正統でない女性,たとえば水商売ないしそれに近い世界に生きていく。

松本 秋声文学の特徴は1過去を思い出しもう一度反芻して書く。文章表現と繋がっているんです。人間の主体性を確保しているのです.リアリスト。2ヨッロッパ形式を取り入れた。3俳諧的簡潔な文を書いています。
「足跡」で何かが起きています。新聞でした表現が可能になってから、自分の形として取り込んで形成しています。
秋声は眺望がきかない.不透明な事実を再現しています。その後の「あらくれ」語りとも、説話的要素があります。「仮装人物」ざっくばらんというか、融通無碍。情を結ぶのが得意でフィロソフィーが邪魔になるのです。

松本 三島由紀夫は秋声に反して哲学の固まりです。有識論。私が自殺しないのは秋声の研究成ればこそです。

紺野 1920年から作家が儲かる時代になりました.女性雑誌、円本から数千円の印税が入り,また私生活を露出される部分が多くなりました。自分自身のイメージと世間のとの落差がある。

大木 時代の変動をうまく乗り切ってます。
円本時代アパート経営に乗り出し、自分の書斎もなおす。また貧乏作家救済の文芸家協会を設立しています。

 熱い討論が会場からも交わされました.会場からも自然主義の定義とはを聴きシンポジウムは混迷に入ります。最後に孫の徳田章子さんの挨拶で、現代の自分の目からして祖父は素敵な順子さんという恋人も作り幸せな人生だったと観想を述べていました.徳田秋声記念館では絶版になった秋声の本を販売しています.まずは電話で連絡ください。076-2514300





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Last updated  November 17, 2014 07:04:37 AM
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