マックの文弊録

マックの文弊録

2009.07.26
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カテゴリ: 小言こうべえ
◇ 7月26日(日曜日) 旧六月五日 壬申(みずのえ さる) 仏滅:

麻生さんは、つくづく間の悪い時に間の悪いことをおっしゃる。
「・・・元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは働くことしか才能がない・・・」そうだ。
マスコミは高齢者を揶揄するものだという論調で批判している。まぁ批判しているというよりは、本音では「こんな時に馬鹿なことを云って。しょうがねぇ人だなぁ。又あの人、大ネタになりそうな事を云うぜ、きっと。」と云う調子だ。

政治家というものは本音と建前を使い分ける生き物だし、練達の政治家であればむしろそうあるべきだ。そういう「常識」が、マスコミを初め我々の間には定着しているから、そういう調子になる。

実は麻生さんはこの発言の前後で、他にも下のような趣旨のことを云っている。
「・・・高齢者が遊びに走ってももう遅いんですよ。・・・」
民主党の鳩山さんは、おん自らのご母堂を引き合いに出した上で、この点を、この点だけを批判をなさった。だから高齢者が「働こうと何をしようと自由でしょう」。余計なお世話だという事だ。その批判は当たり前だ。

しかし、更に麻生さんはこうもおっしゃった。
「・・・こういう人に働いてもらう。そうすると、皆さん(とここで思い入れのひと呼吸があり、麻生さん独特の下からねめつけるような目線で、且つだみ声でゆっくりと)、税収が増えるんですよ。・・・」
僕はこの部分こそが彼の本音だと感じた。麻生さんに代表される政治家の対国民意識が図らずも吐露されたところなのだ。
鳩山さんも、こういう点は麻生さんに同じだと思う。だからこそ麻生発言を、高齢者に対する揶揄・壟断とのみ捉え、その軸で批判を述べたのだ。

民衆を年貢の源泉としてしか見ない。これは前時代の「お代官様」の意識だ。
年貢を納められないものは社会の負担としか見ない。これは姥捨山の発想だ。
姥捨山と麻生さんとの違いは、ジジババをそのまま山に放置するのではなく、納税者として「再利用」しようという点だけだ。
「だから高齢者には雇用機会を与え、働いてもらう。そして再び税金を払わせる。」つまりはそういう事だ。
我々の政治家達は、政治というものを、そして国民という存在を、未だにそういう発想でしか見ていないのだ。

税収を維持するために高齢者の「活用」を維持する。これは大変に傲慢で無礼な発想である。
こういう社会では、「灰で縄を綯う」ような難題に対処して解決することなどできない。これからの社会や日本の進路には、前例の無い奇想天外な問題が山積しているのに。
又、政治家の選挙に際しての祝詞みたいな「友愛と信頼に支えられた生活一番の安心社会」(各政党のスローガンをごった混ぜにするとこうなる)など、こういう発想が根底に有る以上、空疎なおためごかしに過ぎない。

高齢者の価値は、その経験と知恵にこそあるのだ。これは幾多の昔話の教えるところだ。
後進には再現不能な経験。獲得するには長い時間の消費を不可欠要素とする知恵。それこそが後進の尊ぶべきものであり、国の資産である。
温故知新というのはそういう事だ。

高齢者は動きが鈍る。往々にしてボケルし、体も方々に故障が出る。
これは生物機械としての人間が避けることの出来無い自然である。誰でも必ずその内そうなる。
おまけに生物機械の経年劣化は量や速度の問題であって質の問題ではない。

そういう高齢者の本質を看過し、若年壮年層と同列に置いて税収の源泉候補としか見ないのは、実に不遜で無礼だ。畢竟本来貴重な国の財産を愚かにも遺却する事になる。
何故そういう観点での麻生発言批判が、野党側にもマスコミにも無いのか?

「老いては子に従う。」という諺がある。
これは生物機械として機能劣化した年寄りが、実行面や運営面で前面にしゃしゃり出るのを諫め、若年壮年の後進にその地位を譲りなさい、という意味だ。そのウラには、「困ったり迷ったりした時にはいつでもおいでなさい。年寄りの経験や知恵を使ってくれて構わないよ。」という心根がある。後進の側に対しては、「だから先人や年寄りを粗末にすることなく、大切にしなさい。」という教えがある。

「君臨すれども統治せず」という言葉も有る。
これはイギリスや日本のような立憲君主国の統治理念だとされる。その背景には国の伝統や歴史に対する敬愛の精神と、その象徴、つまり国の統合の象徴としての存在を尊重し敬いながら、まつりごとの実際は民衆によって合意されたルールに則って運営していこうという基本方針が有る。精神と方針があるから理念になる。
年寄りは君主ではないから君臨はしない。しかし、経験と知恵の源泉として、常に良きアドバイザーとして居るべきだし、後進もそれを大いに尊重すべきなのだ。

それを「老いては子に従え」と、命令形に変えて後進の側から投げつけてしまったのが今回の麻生発言なのだ。
そういう精神構造が政権政党の政治家の中にあること。そしてそれに対してとんちんかんな批判しかしなかった政権交代党しか無い事。更に「まぁあの手のセンセイのおっしゃることと云えば、あんな程度でしょう。」と苦笑しつつ怒りもせずに飲み込んでしまう雑駁な感性と大きな胃袋を持ったマスコミと民草。それを思うと、本当に居ても立っても居られなくなる気持ちなのだ。





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最終更新日  2009.07.27 04:51:31
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