Masa'S MINI AQUARIUM
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いまさらながら、「奇談」という日本映画を観てみた。この作品は諸星大二郎という漫画家の「妖怪ハンター」シリーズの中の一作、「生命の木」という有名な短篇を原作にしている。正直あまり期待していなかったが、予想通り無惨な仕上がりであった。30ページほどの短篇を90分弱の映画にするのだから色々脚色も必要なのだろうがこれはちょっと酷いんじゃないかと正直思った。以下かなりネタばれ記述になるので御容赦を。(未見の人は読まない方がいいかも)原作の大まかなストーリーは東北の隠れキリシタンの間に伝わる世界開始の科の御伝えを中心に進んでいく。もちろんこの世界開始の科の御伝えなる変形創世記は現代仮名遣いであることからも分かるように作中架空のもの(この原作漫画の初出は1976年の週刊少年ジャンプ増刊号だそうだ。)だが、そこに出てくるあだんだのじゅすへるだのの名称は実在の隠れキリシタン変形聖書伝承である天地始之事で使われていたものだ。こんな原作に神隠しの子供などという後付けの映画オリジナルエピソードを挿入してしまってはストーリーに整合性を欠くじゃないか。しかも神隠しの子供が祈りによって帰って来るなど、クリスチャンの人に配慮して感動的なシーンを狙ったつもりかもしれないけれど、逆効果もいいところだ。だって神隠しにあった子は皆知恵の木の実を食べたあだんの末裔なんだよ。無垢な子供の心の七歳児でも知恵を持っていることに変わりは無い筈でしょ。しかも若干一名、いんへるののじゅすへるの末裔達と一緒に昇天しちゃってるし。というかストーリーの骨組みである世界開始の科の御伝えの解釈についての説明がクライマックスのチープな隠れキリシタン洞窟聖堂(?) の中での稗田先生のセリフだけでは普通の観客には本当に訳分からんと思う。一緒に見てた知人はそれ以前の段階で訳分かんなくなってたよ。「ゼウスってギリシャ神話の神様でしょ?なんでキリシタンの話にそんなの出てくるの?」「ゼウスじゃなくてデウス(Deus)だよ。ラテン語で神を表す言葉だな。古代ローマ時代には神一般を表してたんだけど、キリスト教が出来てからは唯一神のことを言うようになったんだ。もっとも語源から言うとデウスもゼウスも一緒らしいけどな。日本にフランシスコザビエルが来たとき、最初のうちは通訳のアンジローが神のことを「大日」って訳してキリスト教を布教してたんだけど、ザビエルが「大日」が仏さんの意味だって事に気付いて、こりゃマズいわと日本語に置き換えずにラテン語のデウスをそのまま使うようになった。ほら、眠狂四郎シリーズに出てきた隠れキリシタンも『デウス樣』って言ってたろ。まあ、アレだ。隠れキリシタンネタ作品を観るときは基本だな、基本。」「何だそのひとをヴァカにしたみたいな言い方は。そんなんだから女に嫌われるんだよ。」ここまで基本的なところからしつこく説明しなくてもいいけどさ、前半おどろおどろしくホラーっぽく演出してる間にいくらでも説明を兼ねた台詞は挿入できた筈なのにねぇ。やっぱ変に説明入れまくると往年の火曜サスペンス劇場みたいになるから止めたのかな。止めの一発がエピローグの藤澤恵麻演じる学生のまとめ。あんなまとめ方をさせてしまっては、本当に物語の解釈を狭めることになるよ。諸星大二郎的世界では国津神がキリシタン信仰に便乗して偽の復活儀礼を見せたと解釈しても全く違和感が無いのに、あんな風にまとめられてしまうと地下の洞穴で見たじゅすへるの末裔達の復活儀礼も、作中世界ではもう一つの本物と認めちゃってることになる。こんな描き方しちゃあそっち方面から苦情来ると思う。こういう作品の解釈は観客に委ねてもらいたいね。色々ツッコミどころ満載で低予算の悲しさ溢れまくりだったけど、全編観てて僕が気になったのは衣裳だ。フィールドワークで訪れてたはずの阿部寛演じる稗田先生がスーツで決めまくってるのはいいとして(いいのか?)、カトリックの神父が首にロザリオぶら下げてちゃいかんだろう。原作ですら普通の十字架のネックレスだったぞ。あと朝ドラ女優藤澤恵麻の演じてた里美が居た民俗学研究室の面々が白衣を着てたのも気になる。文献研究が主体の民俗学研究室でどんな実験してたんだ ?化学の研究者などが白衣を着ているのは、薬品などが服に掛からないようにするためだよ。この映画の映画製作者には人文科学の研究者と自然科学の研究者の区別もつかないらしい。原作ファンでないとストーリーが理解できないだろうけれど、原作ファンにとっては到底受け入れられない仕上がりである。http://masasheavy.dip.jp/blog/item/465
Nov 5, 2007
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