Atelier Mashenka

Atelier Mashenka

2006.09.09
XML
カテゴリ: アート


三の丸尚蔵館「花鳥~愛でる心、彩る技<若冲を中心に>」第5期を見に行った。
第1期を見に来たのは桜の季節だったのになあ・・・


まず若冲以外で目立つのは、森徹山の「孔雀図」、
構図がすごい!潔いほど。
閉じた長い羽根を斜め上にしゃきっと伸ばした雄の孔雀、
余分なものが描かれず、大胆なほど斜めに画面を区切っている。
でも色がちょっときついかな・・

その意味では、隣に展示されている円山応挙の「牡丹孔雀図」のほうが
発色が繊細で美しく感じる。
目の覚めるようなブルーの羽根、首の羽根1つ1つの黄から緑へのグラデーション、
牡丹のピンクや白の花びらは、いかにもやわらかそうで、見事だ。


さて、伊藤若冲の「動植綵絵(どうしょくさいえ)」全30幅も、
6作品ずつ、5期に渡って見てきて、今回が最後。

「老松孔雀図」
こちらは珍しい白い孔雀、羽根先の黄と緑のもようがユニークだけど
見事な真っ白な身体の中では、まるで錘(おもり)のように見える・・
重いものを身にまとった孔雀。


「芙蓉双鶏図」、若冲お得意の鶏と、植物の組み合わせ。
ダンサーでも体操選手でもこんな格好しないよ!というくらい、
雄鶏が上体を前に倒し、片足を上げ、脚の間から後ろを"きっ"と見ている。
その動きの勢いに乱れなびく羽根は、細かな模様が描き分けられ、
ただただ呆然と目で追ってしまう。
激しい動きの一瞬を描いてはいるが、なぜか静止しているような
静かな黒であり、茶である。

5期通して見てきて、若冲の色彩にも目を見張ってきたけれど、
私はこの鶏の羽根の、マットな上品な黒にいつもため息をついてきた。
墨絵のときの黒ともまた異なるニュアンスの、貴族的な黒。


「薔薇小禽図」
おびただしいピンクと白のバラもすごいけど、
バラの枝か幹なのだろうか?黒い幹のようなものがうねうねいて、
ぶつぶつの細かい模様が描かれており、その存在が気になる。

細い枝には、小さな小鳥が片足を跳ね上げ、とまっている。
ふっと左を振り向いており、その視線の先には若冲の落款が。
落款までもが絵の中のモチーフのようで、小鳥と絡んでいるのが興味深い。
小鳥がクレジットを紹介しているみたい。
若冲の確信犯的な遊び、に思え、ほほえましい。


「群魚図<蛸>」
大きなタコの脚先にちょこんとしがみついている子ダコが
なんと言ってもキュートでユーモラス。
ゆら~っとのびやかにのびる親ダコの脚もいい。


「群魚図<鯛>」
群れ泳ぐ魚たち、でも静止しているように見えて、
魚の苦手な私には、魅力的に映らない作品・・・


「紅葉小禽図」
枝枝が平行線になって垂れており、ほとんど効果線となっている。
(第2期の「雪中鴛鴦図」でも同じような平行線状の枝の描写があったな・・)
画面いっぱい覆い尽くす紅葉が、燃える秋を予感させる。
小鳥の空色の背中、画面下のウルトラマリン(岩だか川だかよくわからないが)、
それらと紅葉との対比が強烈で、赤と青の世界をつくっていて、印象的。


三の丸尚蔵館「花鳥~愛でる心、彩る技<若冲を中心に>」第5期は
9月10日までで、すでに終了。

あ~、これで半年かけて伊藤若冲「動植綵絵」30幅見終わった!
今はもう"傑出"という言葉しか浮かばない・・
やはり同じく三の丸尚蔵館に通われた方、お疲れさまでした!

これまでの感想はこちらに・・3期が抜けてます、見たけど書けてない(^^;)
第1期
第2期
第4期



半年通った皇居東御苑もしばらく行くこともないなあ・・
ちょっと感慨深く、緑と江戸城の石垣とお堀を眺めながら歩いた。





平川門近くの塀と石段。
こういうところを見て、毎回わくわくしていた。



いつも竹橋駅から出て、渡っていた平川橋。



かわいい(?)擬宝珠(ぎぼうし)。


これを見ていて突然思い出した。

昔、演劇学校の学生時代、ほんの数ヶ月、
小さな設計事務所でトレースのバイトをしていた。

何の技術も知識もなかったので、ペンや定規の使い方、線の引き方から教わり、
大手軽金属メーカーの下請けの、図面の直しなどをやっていた。
大きな製図台に向かうのが好きだったな、製図台が欲しくなるくらい。


1度だけ、橋の欄干と、上の写真のような擬宝珠のデザインを任された。
え~~っ!こんな始めたばかりの素人が?!と思ったけれど
何度も直しで見てきたものを参考に、いいと思う曲線で描いてみた。
その図面が採用になったかどうかはわからない。

もし採用になってたら、日本のどこかの川、どこかの橋に
私の描いた擬宝珠がちょこんと座っているかもしれない・・・
そう思うとちょっぴり楽しい。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.02.15 20:33:14
コメント(12) | コメントを書く
[アート] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


コンプリート!  
はろるど さん
こんばんは。早速のTBをありがとうございました。
全制覇、おめでとうございます!

>森徹山の「孔雀図」、構図がすごい!潔いほど

同感です。私もこの作品に惹かれました。
あんなにシンプルに描かれるとまた面白いですよね。

>半年通った皇居東御苑もしばらく行くこと

私もそうなりそうです。
まさに都心のオアシスですよね。
皇居前広場もそうですが、
もう少し手軽に利用出来るような雰囲気があればとも思いました。

まずは何はともあれ、至高のお宝を見せてくれた尚蔵館に感謝したいです! (2006.09.11 01:10:30)

Re:若冲にひと区切り!「花鳥~愛でる心、彩る技」(09/09)  
5回通うというのは達成感もあって、しかも環境がよくていいですね。漠然とあの辺?という感じで、場所を調べたことがないのです。竹橋駅からなのかな。いつも、終わった頃に「行きたい」などと言ってますが、ここにはあきらめずに、是非行こう♪
「貴族的な黒」ですか。墨を扱っていると、黒というもののいろんな表情を感じるでしょうね。
(2006.09.11 02:07:17)

「貴族的な黒」  
カナダ村  さん
れおなるど21さんも「貴族的な黒」に触れていますね。私もこの表現に注目したので、つい書き込みました。素敵な竹橋通いでしたね。どこかに擬宝珠があるかもしれず、夢のあるお話です。私の父は役所勤務のころ、どういういきさつか橋を作ったことがあるとか(設計)。 (2006.09.11 03:47:38)

前世は  
水墨画の絵師だったりして。
走墨作品展観て見たい!
けど、ちょうど里帰り中でいけません・・・残念 (2006.09.11 23:07:27)

Re:コンプリート!(09/09)  
mashenka  さん
はろるどさん、こんにちは~。

>こんばんは。早速のTBをありがとうございました。
>全制覇、おめでとうございます!

こちらこそTBありがとうございます!
はろるどさんもおめでとうございます(^-^)

>同感です。私もこの作品に惹かれました。
>あんなにシンプルに描かれるとまた面白いですよね。

あの大胆さにはやられた~!って感じです。

>私もそうなりそうです。
>まさに都心のオアシスですよね。
>皇居前広場もそうですが、
>もう少し手軽に利用出来るような雰囲気があればとも思いました。

けっこう海外からの旅行者が歩いているんですよね、
私はこんな機会でもなければ、行くこともなかったのに・・

>まずは何はともあれ、至高のお宝を見せてくれた尚蔵館に感謝したいです!

感謝しつつも、今後も貴重な収蔵品を展示してくれることを期待しちゃいますね。
(2006.09.11 23:27:46)

Re[1]:若冲にひと区切り!「花鳥~愛でる心、彩る技」(09/09)  
mashenka  さん
れおなるど21さん、こんにちは。
いつもながらありがとうございます。

>5回通うというのは達成感もあって、しかも環境がよくていいですね。漠然とあの辺?という感じで、場所を調べたことがないのです。竹橋駅からなのかな。いつも、終わった頃に「行きたい」などと言ってますが、ここにはあきらめずに、是非行こう♪

私も今回の企画で初めて行きました。
守衛さんに道を聞いて・・・
残念ながら、この若冲の展示は終了しました。
また今後もいい作品を展示してくれるかもしれませんね♪

>「貴族的な黒」ですか。墨を扱っていると、黒というもののいろんな表情を感じるでしょうね。

「貴族的な黒」という表現が最適かはわかりませんが、
この表現がぴたっと頭に浮かんでました。
でしゃばりでもなく、不吉でもなく、枯淡でもなく、情熱的でもない、
つや消しの上品な黒でした。
(2006.09.11 23:34:20)

Re:「貴族的な黒」(09/09)  
mashenka  さん
カナダ村さん、こんにちは。

>れおなるど21さんも「貴族的な黒」に触れていますね。私もこの表現に注目したので、つい書き込みました。

「貴族的な黒」、人によっては異なった印象を持つかもしれませんが・・
カナダ村さんだったら、若冲を見たらどんな表現したんだろう・・

>どこかに擬宝珠があるかもしれず、夢のあるお話です。私の父は役所勤務のころ、どういういきさつか橋を作ったことがあるとか(設計)。

カナダ村さんのお父さんは設計士?というわけでもなく
橋を設計されたのでしょうか?
どこかにその橋がかかってるんですよね~すごいな♪
(2006.09.11 23:40:05)

Re:前世は(09/09)  
mashenka  さん
コヨーテさん、こんにちは。

>水墨画の絵師だったりして。

前世は・・江原さんに見てもらいたいな♪オーラも(^-^)

>走墨作品展観て見たい!
>けど、ちょうど里帰り中でいけません・・・残念

そうなんですよ~~。
だからこの間会ったとき、帰省するスケジュール聞いて、
モロ重なってるなあと思って、あえて作品展のこと言わなかったのだ~。
また次の機会によろしくです♪
(2006.09.11 23:44:18)

Re:若冲にひと区切り!「花鳥~愛でる心、彩る技」(09/09)  
カナダ村  さん
昨日だったか、訪ねてくれたブログにも「竹橋から三の丸尚蔵館へ行った」という文章がありました。マーシェンカさんと同じところへ行ったんだ、とちょっとはしゃいだ気分になり、その方にマーシェンカさんのリンクをお教えしました。同じ場所へ行く人はいっぱいいるわけで驚くことではないのに。ブログのおもしろさですね。 (2006.09.12 11:55:50)

Re[1]:若冲にひと区切り!「花鳥~愛でる心、彩る技」(09/09)  
mashenka  さん
カナダ村さん、こんにちは。

>昨日だったか、訪ねてくれたブログにも「竹橋から三の丸尚蔵館へ行った」という文章がありました。マーシェンカさんと同じところへ行ったんだ、とちょっとはしゃいだ気分になり、その方にマーシェンカさんのリンクをお教えしました。

はしゃいだカナダ村さんって、ちょっと想像がうまくできません(^^;)
なんだか冷静沈着のイメージが強いので・・・
私のページをご紹介くださって、ありがとうございます!
(2006.09.13 00:04:52)

こんにちは。  
Tak さん
TBありがとうございました。
お返事遅くなってしまい申し訳ないです。
今後ともよろしくお願いいたします。 (2006.09.16 13:24:20)

Re:こんにちは。(09/09)  
mashenka  さん
Takさん、こんにちは~。

>TBありがとうございました。
>お返事遅くなってしまい申し訳ないです。
>今後ともよろしくお願いいたします。

こちらこそありがとうございます。
Takさんの詳細な記事にはいつも感心します。
これからもよろしくです!
(2006.09.16 13:41:36)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

mashenka

mashenka

Favorite Blog

4月の読書 一村雨さん

ブログは移動しまし… コヨーテ3377さん
happy-happy happy-tamachanさん
take it easy!! 【masashi】さん
松峰な世界 松峰さん
ロルファーサイトウ… M Saitoさん
reichel!の美味しい… reichel!さん
地方暮らしが変える1… かじけいこさん
お気楽! 幸せの種… れおなるど21さん
クサノタヨリ すもも5970さん

Comments

mashenka @ Re[1]:生誕120年 棟方志功展(11/12) 一村雨さんへ お久しぶりです! 私もうな…
一村雨 @ Re:生誕120年 棟方志功展(11/12) お久しぶりです。 この展覧会、棟方志功の…
mashenka @ Re[1]:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 一村雨さんへ 素晴らしい障壁画でしたね…
一村雨 @ Re:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 安部龍太郎の「等伯」を読んで、この親子…
mashenka @ Re[1]:横山操「ウォール街」(10/31) 一村雨さんへ 横山操の手にかかるとNYの…

Freepage List

Calendar

Archives

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: