マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2007.05.27
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
<ゴールへの死闘>

 結局ノリピーさんに追い着いたのは80km辺りから始まる下り坂の途中だった。懸命に力走する彼女の後姿は足が流れている感じ。走り始めて間もない彼女には、まだ50kmもの長距離を楽に走り抜くための筋肉が十分に出来ていないようだ。昨年12月のNAHAで初めてフルマラソンを完走したばかりの彼女にとって、この下りはかなり辛いはずだ。

 追い抜きざま彼女に声を掛ける。「ノリピ~っ、姿勢に注意して。そして時々深呼吸。そうじゃないと酸素が血液に乗って全身に行かないよ。そして下り坂は慎重にね!」極めて抽象的なアドバイスだが、彼女に意図が伝わったかどうか。

 それから間もなく2人並んでいるランナーが目の前に。オレンジの帽子は仲間のはず。腰に黄色いウインドブレーカーを巻きつけたのはD口さんみたい。何時の間に抜かれたのか記憶がないが、きっとASで休んでいた時だろう。膝痛と戦いながらの前進はさすがだ。手を挙げて前へ出る。

 さらに下ると今度はM井さんが目の前に。「D口さんがいたよ」と言うと、ビックリしている。彼はノリピーさんのことは認識していたが、不思議なことにD口さんを抜いた実感はなかったようだ。まあこんなことは長い距離を走るウルトラでは良くあることだ。

 坂を下り切った辺りで歩いているS木さんに遭遇。今朝彼とスタート前に会った時は、どこかの放送に取材されていた。何でも彼が大会本部に寄せたメッセージに興味を抱いたマスコミが、番組を作りたいと考えたのがことの真相のようだ。そう言えばコースの要所要所でカメラが待ち構えていた。100kmもの道のりを追っかけられるなんて、きっと大変だと思う。

 「リタイヤしても絵になると思うけどね」。私の言葉にM井さんは答えた。「S木さんはリタイヤする人じゃないですよ」。私よりもS木さんとの付き合いが長いM井さんの方が、彼の気質を良く理解しているようだ。86.3km地点のASに到着。ここは4つ目の関門だが、制限まではまだ相当時間がある。

 ここに北海道のオバサングループの1人がいた。首に花のレイを掛けた人だ。「何だかフラフラするの。ゴールまで一緒に行って」。彼女にとって深刻な状態だったのかも知れないが、私もゴールまで連れて行く自信はない。「血糖値が下がったんじゃないのかな」。「きっとそうかも知れない」。私は彼女を見捨てて別な女子ランナーとスタートした。M井さんに「一緒に連れて来て」と言われた若い人だった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.05.28 03:15:44
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: