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マックス爺のエッセイ風日記
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2007.08.09
ふるさとの歴史
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カテゴリ未分類
仙台七夕のニュースの中で、廃業に際して自社で出版した郷土資料を全国の図書館に寄贈した書店の話が紹介された。次の朝そのH書店の前を通ったら、笹竹には全国から寄せられた礼状が短冊のように飾られていた。その中にH書店が出版した郷土史のリストがあったが、先頭から8番目くらいまではT先生の著書だった。
T先生の専門は近世史だったが、専門書ではなく誰しもが読める郷土の歴史を先生が書かれていたことに驚いた。私は41年の公務員生活の中で大学病院に3年、博物館に2年勤めた。残りの36年間は大学図書館に勤務していたのだが、実は初めて勤めた大学図書館の初代の図書館長がT先生だったのだ。まだ若い日、図書館の職員でありながら先生の鞄持ちのような形で、学生と一緒に先生から日本史の講義を聞いたり、発掘に参加したり、史跡巡りの旅にもお供した。
リストには県内の郷土史関係の図書が累々と連なり、何人かの歴史家の名前を懐かしく拝見した。仙台を離れて30年以上全国を転勤したが、私は転勤先でも歴史関係の図書をせっせと注文し続けた。忙しくて読む暇は無いがきっとそのうちには読めるだろうと、買い求めた本は300冊にもなったろうか。そのうちの何冊かは未だ読めないまま書架にある。
さて、先日買った「多賀城~焼けた瓦の謎」を読了した。挿絵が多い120ページほどの子供向きの本なのであっけなく読めてしまった。その中で一箇所間違いを発見した。ただし文章ではなく絵だ。多賀城の裏には加瀬沼と言うのがあるが、これが絵に出てる。実はこの沼は江戸時代に灌漑用に掘られたもので、多賀城が機能した奈良時代や平安時代には未だ存在しない。きっと監修者も絵だったために見逃したのだと思う。
この本で認識を新たにしたこともある。その1つは陸奥守として任命された百済王敬福(きょうふく)のこと。王は確か「こにきし」とも読ませたはず。名前が示す通り先祖は古代朝鮮の百済王で新羅との戦いに敗れて日本に逃げて来た。敬福が陸奥守の時に小田郡(一説では旧涌谷町箆岳の黄金山神社と言われている)から黄金が産出し、これで奈良東大寺の大仏に金箔を塗ることが出来たのも有名な事実。
2つ目は多賀城跡から出土した漆紙のこと。漆が入った壷を乾燥させないために要らなくなった紙で覆ったのだが、紙に漆が付着して円形に残ったのがこの漆紙。もちろんそこには文字が書かれていて、当時の事情が解明できる。
一方多賀城を攻めて炎上させた蝦夷の側には「文字」がなかった。幾ら強い兵がいて、高度な文化があっても、文字がなければ「政府」は出来ない。生の言葉だけでは集団全体へ即時には伝わらないし、統一見解も出しにくいし、後世へも明確に政治の在りようを残せないからだ。古代東北にあった「王国」は、やはり大和朝廷の敵とはなり得ず、いずれは敗れる運命だったのだろう。
さて、昨年発掘された青葉区小松島の「与兵衛沼窯跡」だが、この中には高度の技術を要するロストル式平窯2基が含まれていたとか。平安時代の歴史書である「日本三代実録」には、新羅出身の技術者を陸奥国に派遣し、炎上した多賀城の瓦や陸奥国分寺の瓦を焼かせたことが書かれていたのだが、この窯跡発見で歴史書の記述が正しかったことが証明されたようだ。
それにしてもかつて朝鮮半島で戦った新羅人と百済人の末裔同士が、当時の日本の外れだった東北地方の一隅で協力し合ったとは面白い。千数百年後の発掘でそんなことが明らかになるのが「歴史」の不思議さだし面白さでもある。なお、同遺跡は保存されることが決定したようで、さらに国史跡指定を目指すらしい。破壊は簡単だが祖先達の尊い文化を後世に残すのは難しい時代になった。
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Last updated 2007.08.09 20:57:56
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