マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2007.08.27
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<ゴールの雄山はどの山?>

 日本海の波が浜黒崎の海岸に打ち寄せている。その静かな波に手を触れ、私は走り始めた。午前4時。「立山登山マラニック」のスタートはもう既に切られているのだが、65km先の立山までは12時間の長い旅になる。そう急ぐ必要も無いと自分に言い聞かせて、最後にスタートしたのだ。

 常願寺川の堤防上の凸凹道をヘッドライトや懐中電灯を頼りにして走るランナーの群れ。だが所々でスタッフの方が車の照明を当ててくれているのがとても助かる。私も懐中電灯を手にしていたが、やがてポシェットに仕舞った。皆が照らせば十分明るいからだ。次第に群れがばらけても、夜空の星明かりで僅かに足元が明るい。

 前日富山駅に着いて直ぐ、ホテルで選手登録を済ませた。スタッフの方にはエントリーした際の文章が印象的だったと言われたのだが、私は体調が悪くて生返事しか出来なかった。何分仙台の自宅から、バスと普通電車を乗り継いで11時間もかかり、冷房が原因で頭痛がしていた。それでも4時間ほど眠ったお蔭で、心配の種だった頭痛はいつしか消えていた。

 スタート会場の浜黒崎では10年ぶりに滋賀のOさんにもお会いできた。マラニックの出場選手は237人のようだが、いつも出るレースとは雰囲気が違っている。皆一様に落ち着きがあるのだ。それもそのはず、フルマラソンをサブ4で走るとか、ウルトラマラソンや登山歴とかの条件を全てクリヤーしてる強い人ばかりだ。仙台から参加した仲間は4人。それに東京へ転勤した仲間が1人。皆それぞれの思いを胸に真っ暗な土手の上を走っているはずだ。

 小さな橋を幾つか渡るが、これは常願寺川に注ぎ込む支流のようだ。やがて次第に空が明るくなると、遥か彼方に立山連峰が見え出す。地元のランナーらしい人に、どれがゴールの「雄山」かを訊ねると、幾つかの峰の名前と一緒に教えてくれた。よ~し、目標は分かった。目指すのはあの山。何時間か後には、きっとあそこの上に立つ。強くそう自分に言い聞かせる。

 「制水」が河川敷の中に見え出す。大雨時の激流や上流から流れ出す岩石の勢いを殺ぐためのものだろうか。右岸の整備された堤防はとても走り易い。目の前のランナーのナンバーカードが目に入る。名前はS藤さん。どちらから来られたのか訊ねると、岡山のランナーで今年の富士登山競走も完走された由。それだけで強いランナーだと分かるのだが、そんな雰囲気は全く無い。この静かな人が大変なランナーだと知ったのはゴール後のことだった。

 話しながら走っている後ろからD口さんが追い抜いて行った。暫くして来たK合さんからは東京へ転勤された話などを伺う。だが、私のペースに合わせてもらうのは気の毒なので先行してもらう。約22km地点の岩くら寺雄山神社前が最初のAS。バナナ、パン、梅干をいただく。D口さんは既にスタートして立山駅方面へ向かった。

 神社への参拝を考えた末に断念。神頼みじゃなく、もう自分しか頼むものは無い。走り出すとM仙人とH多夫人が仲良く走って来た。言葉を交わしてすれ違う。橋を渡ると富山地鉄立山線の駅舎が見えた。ここからは登り一方のよう。いよいよ長く厳しい戦いの始まりだ。





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Last updated  2007.08.27 15:51:16
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