マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2007.11.07
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<力走する仲間達>

 コースは先ず飯坂方面に下る。Yの字の下半分に当たる部分だ。暫く行くとコース上唯一の集落に出た。大勢の人達が手を振って応援してくれる。地元で初めて開かれるマラソン大会を目の当たりにして嬉しいのだろうか。集落の名は茂庭(もにわ)。珍しいその名称にピンと来るものがあった。

 伊達政宗の重臣に茂庭周防がいる。彼の本来の姓は鬼庭だった。さる戦いで武勲を挙げ、政宗から鬼庭に代えて茂庭の名を賜った。その時に与えられた知行地がきっとこの地域だったのだろう。だが天下統一を目指す秀吉の小田原攻めに政宗は遅参した。一旦は怒った秀吉だが、切腹を覚悟し白装束で現れた政宗を見て、領地替えすることで許した。

 取り上げられた領地は福島の伊達郡。ここは伊達氏の本貫(ほんがん=出身地)で気候温暖の肥沃な土地だった。先祖伝来の領土を失った政宗の無念さはいかばかりだったろう。その代わりに与えられたのが岩手県の北上市以南の冷涼な土地。このことで茂庭氏の知行地も、仙台市近郊に代わった。周防はその土地生出(おいで)を新たに茂庭と名づけた。こうして福島と仙台に2つの「茂庭」集落が誕生したと私は考えたのだ。

 集落で折り返すとコースはダムの頂上までの急な登りとなる。私の側にはずっとH多夫人がついていた。いつもウルトラばかり走っているのでフルのペースが分からないと彼女。確かにそんなことがあるかも知れない。だがそのうちにきっと遅れるに違いない。私は内心そう思っていた。

 坂道の途中で誰かが笑いながら追い抜いて行った。何というスピードだ。思わず顔を見たら東京のK合さんだった。それを慌てて追いかける宮城UMC群馬支部のメンバー達。信じられないことに、彼らは前夜1時過ぎまで飲んでいたようだ。それなのに有り余る元気はどこから来るのだろう。坂がきついのに加えて、真正面から吹く風が強い。これは大変なレースになりそうだ。

 ようやくダムの上まで来ると堰堤に人だかりが見えた。ダムの上も大会のコースになっていたことに初めて気づく。コースはYの字の右上へと向かう。トップ集団の選手が見え出す。いずれも若い人ばかり。3位の選手の胸に「筑波大大学院」の文字。思わず「筑波頑張れ~っ!」と声を上げる。昔私が10年間働いた懐かしいところだった。

 コースからはダム湖の「茂庭っ湖」が見える。湖底に沈んだかつての集落を偲んでつけた名前なのだろうか。そして周囲の山々には色とりどりの紅葉。実に美しい景色だった。だがコースは厳しいアップダウンの連続だった。

 早くも折り返して来た走友が道の向こう側に見え出す。最初が宮城UMCの仲間のM黒さん。彼は7位ほどの位置にいた。次に明走会のT中さんが来た。彼女は「四万十川100km」女子の部で優勝し、総合でも9位に入賞した由。そして10月は千km以上走破したとか。全く凄い人だ。仲間のS間さんが「リリー!」と呼んだのは彼女の愛称だろう。女子2位のランナーがピッタリ後についているのを見て、思わず「T中さん頑張れ~っ」と叫ぶ。

 次に見えたのが大崎市のS藤さん。彼は相変わらずの真剣な表情で黙々と走っていた。その暫く後にD口さん、Y川さん、O川さん、K合さんが続いて見えた。大崎市のT田さんは手を振りながら余裕たっぷりの走りだ。

 ようやく折り返し点に到達。スタッフに聞くと9km地点のよう。復路でM井さんが先導する姿を発見。側にはE名さんが付き、笑顔で走っている。初フルなのに何と言う余裕だろう。その直ぐ後にはY広さんも頑張っていた。こうして仲間達の走る姿を確認できるのは、折り返し点の多いレースの楽しみかも知れない。<続く>





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Last updated  2007.11.07 16:34:09
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