マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2007.11.22
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 沖縄勤務時の私の職務の一つが沖縄関係資料の収集に努めることだった。言語学者仲宗根政善氏が聞き取り調査した膨大な琉球語関係資料や、戦後占領軍GHQ関係資料のうち米国政府が解禁した沖縄関係マイクロ資料などを予算化したのもその一つだ。

 だが、内地から購入した古書やハワイから寄贈された図書には、本を食べるザウテルシバン虫などの害虫が巣食い、羽化した虫が書庫の中で飛び回る事件も発生した。この時は大至急薫蒸して難を逃れた。職場には沖縄関係の資料室があり、職務を兼ねて歴史、文化、宗教、文学、民俗、地誌、自然環境など目ぼしいものを手当たり次第読んだ。きっと200冊は下らないと思う。

 たった2年間だが博物館勤務を命じられたことがある。大阪時代のことだ。この博物館は特定分野の大学院が置かれているため、一般の学芸員ではなく教授から助手に至る研究者が配属されていた。私の職務は博物館活動や研究活動を支えるシステム関係で、慣れない業務で苦悩の日が続いたが、個人的には博物館そのものは大好きでとても勉強になった。

 ごく近くには日本民芸館の分館や国際美術館もあり、京都国立博物館、奈良国立博物館なども同じ組織だったため、無料で観覧出来たのが嬉しかった。特に毎年奈良で開催される「正倉院展」の素晴らしい国宝を近くで観られたのは何よりのプレゼントになった。また自宅から近い京都へは良く出かけ、神社仏閣などを初めとする日本の古い文化に接することが出来た。

 職場だった博物館へはアイヌで唯一の国会議員だった萱野茂氏が良く訪ねて来られた。博物館の中にあるチセと呼ばれるアイヌの小屋で年1回宗教儀式を演じるためだった。その縁で、後年北海道の同氏宅を訪ねたことがある。氏は自分の力で小さな博物館を建て、アイヌの人権普及や文化保存のために尽力されていた。

 オーストラリアの博物館活動に関する視察結果を研究雑誌に発表するよう薦めてくれたのが、韓国テレビドラマ「チャングムの誓い」日本語版の監修者だったA教授だった。教授の専門は朝鮮半島の文化だ。日本古代史に関心が深かったせいで、かねてから日朝交流関係についても何冊か本は読んでいたが、それらのことが私の関心を世界の民族の文化へと広めてくれた。

 また正確に数えたことはないが、私が訪れた内外の博物館や美術館は多分60館は超えていると思う。このような経験などもあって私の蔵書には日本古代史関係のみならず、沖縄関係、アイヌ関係、日朝文化交流史など多様な分野の図書が並ぶことになった。

 さて、前職を辞してから関心のある分野の新刊を選ぶ機会はほとんどなくなった。辞職後仙台に戻りビル管理会社に勤務して小遣い稼ぎをしているのだが、本との面白い接点があった。それは廃棄処分された本との出会いである。不要として捨てられた本の中には、私の興味を引く本が時々混じっているのだ。

 これまでに拾った本の中には伊達政宗関係、奥の細道関係、古事記関係などの貴重なものがあった。まさに「瓢箪から駒」の類である。今読んでる「従軍慰安婦」関係の本も、拾った本の一つだ。それらの本をバス通勤や勤務開始までのわずかな時間に読んでいる。時々新聞に掲載される歴史関係の記事やテレビでの報道も、私にとっては貴重な情報だ

 原始時代から現代に至る歴史の滔々たる流れ。そのほんの一部しか知識を持たない私だが、これからも色んな資料を通じて自分なりに「人間がこれまでどう歩んで来たか」を眺め、考えて行きたい。この趣味はマラソンと違って、きっと足腰が立たなくなってからでも続けられるのではないかと密かに期待しているのだが。<完>





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Last updated  2007.11.23 09:32:15
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