マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2007.12.08
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<姉さん女房>

 ホテルに戻ってシャワーを浴びる。4時間40分近く走り続けて汗だらけになった体が、ようやくさっぱりし出す。ふう~っ、気持ちが良いなあ。着替えた後は早速国際通りへ。マラソンを走りその後博物館を観たが、さほど疲れは残っていない感じだ。さて、今夜は何を食べるか。まずはいつもの市場へ行ってみよう。

 市場の八百屋さんは閉まっていた。果物屋さんにもタンカンは見当たらない。そうなると土産はお菓子か。前日に泡盛2本とスクガラス(小魚の塩辛)、チンスコウ、黒糖ピーナツは買ってある。実際に作っているお菓子屋さんで紅芋のゴマ饅頭を買う。2つの現場、我が家、向かいの家、それに自分用のまで入れるとお土産代も結構馬鹿にならない。

 代金を支払うと小母さんが同じ饅頭を試食させてくれた。まだ暖かい作りたての饅頭は、独特の風味で美味しい。幸福感に浸りつつ、「花笠食堂」へ向かう。店の陳列ケースの前で夫婦のような男女が何やら品定めしていた。格好からするとやはり「NAHA」を走ったランナーのようだ。

 女性が男性に何を食べたら良いか教えているようだ。そこで私が「ここは安くて美味しい沖縄の家庭料理が食べられるんだよ」と解説。私が仙台から来たと話すと、女性ランナーが驚いている。実は彼女もこの春、仙台から横浜へ嫁いだのだと言う。「うわ~、仙台に帰りたいなあ」と彼女。こうしてテーブルを共にしながら、彼ら夫婦と暫しの時間を過ごしたのだった。

 彼らが知り合ったのは今年4月の「長野マラソン」の時。コース上で何度か一緒だったらしいのだが、レース後のパーティーで再び出会い、運命的なものを感じて結婚することになった由。マラソンの話、沖縄の食べ物の話、仙台の話、新婚生活の話。それらを夕食を食べながら楽しく語り合ったのだ。

 因みに奥さんが頼んだのは「グルクン定食」。これは沖縄の県魚であるグルクンの唐揚げを中心としたもの。そしてご主人は無難な「沖縄定食」で、私はナーベラー(若いヘチマを炒めた料理)を頼んだ。それらには他に数品のおかずと汁物が付く。私は中身(豚の腸)のお吸い物にした。これは滋養があり、とても上品な味なのだ。

 別れ際にご主人が言った。「彼女は姉さん女房なんです」。「知ってたよ」と私。「ええ~っ」。彼女が驚く。「だって、人生経験豊富だからね」。生まれて初めて故郷の仙台を離れたことや、まだ就職が決まらないことで彼女は胃が痛んでいるとのこと。そんな不安も優しそうなご主人が一緒ならきっと乗り越えられるだろう。それにこれからも共通の趣味であるマラソンを楽しむことが出来るしね。

 二人は何度も握手をし、別れを惜しみつつ去って行った。さようなら、姉さん女房の若夫婦。これからも仲良くやるんだよ。マラソンがきっかけで結婚するなんて幸せ者だねえ、あんた達は。それにしても人生って実に不思議で愉快なものだ。その夜、ベッドの上でも足が攣ったが、それが最後の痙攣だった。

 翌朝読んだ地元の新聞には、前日走った「NAHAマラソン」関係の記事がでかでかと出ていた。それによると当日の最高気温は23.4度C。エントリー数は約2万7千人で、このうち実際に走ったランナーは約2万4千人。完走率は確か62%くらいで、完走者の最高年齢は76歳。優勝したのは男子は地元沖縄の、女子は県外のランナーだった。トップでゴールしたワイナイナは優勝ではなく、参考記録だったみたい。私のゼッケンナンバーは3413番で順位が3391位だったから、まあ順当なところか。<続く>





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Last updated  2007.12.08 05:29:43
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