マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2007.12.07
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<痙攣よ止まれ!>

 とうとう奥武山運動公園内に入る。昨年までは公園の外周を一回りしていたのだが、野球場の工事でコースが変更になったようだ。私がまだ沖縄に勤務していた頃、奥武山球場では当時強かった沖縄水産の試合を良く観たものだ。観衆から差し出される手にもタッチせず、競技場内に飛び込む。グラウンドの中には大勢のランナーが最後の力走を見せている。

 第4コーナーを廻りついにゴール。時計のボタンを押す。胸のナンバーカードから発信機が取られ、完走証を受け取る。4時間39分07秒。ネットが4時間36分16秒だから、スタート時のロスは2分51秒か。琉球ガラス製の完走メダルと飲み物を受け取り、走友の待つコーナーへ。

 グラウンド内では走り終えたランナー、リタイヤして戻ったランナーが仲間と一緒に車座になり、そこかしこで宴会がもう始まっている。これもNAHAマラソンならではの風景だ。元の職場のコーナーに戻ると、既にゴールしていたのはT原先生、N村さん、Y彦さんの3人だけ。一番速いS吉郎さんの姿が見えないが、彼の集合場所はほかにあるようだ。

 シートに座った途端、足に痙攣が来た。筋肉が大きくうねり、やがて硬直する。その痛みに必死に耐える。一旦収まっても再び襲う痙攣の波。ううううう。その様子をN村さんのお嬢さんが驚いて見つめる。S吉郎さんが戻って来た。3時間は切れなかったとのこと。練習も昔のようにはこなせず、3時間15分がやっとの状態なのだとか。ほかの3人も3時間台でのゴールだった。

 痙攣が少し落ち着いたのを見て、N村さんのお母さん手作りの「ぜんざい」をいただく。沖縄のぜんざいは小豆でなくウズラ豆を使う。それに暖かくなく、逆に氷が入った冷たいものだ。胃の調子が戻ってからはサラダ、おにぎり、缶ビール、ミカンなどを次々にご馳走になる。その間も時々襲う痙攣に苦しむ。

 N村さんの息子が帰って来た。関西の大学を今年卒業して沖縄に就職し、今回が初マラソンだった由。さほど練習もせずに5時間を切ったのは見事と言うしかない。着ているトレーナーから判断すると運動部だったようだ。沖縄の走友ももう息子や娘が走る年齢になったのだ。T利さんもその後ゴール。

 5時間を過ぎて帰って来たのがN銘さん。2月の「おきなわマラソン」では彼に遅れを取った。今回はコース上で「バニーガール」嬢と何やら話していたが、あの後何度か痙攣が起き、途中から歩いたそうだ。この暑さは沖縄のランナーにとっても楽ではなかったようだ。

 6時間近くなってようやく戻って来たS田さんの顔が青ざめている。かなり消耗したみたいだ。今回連続23回連続完走がかかっていたHさんは、制限の20分ほど前でのゴールだった由。同じく連続完走のT場さんの姿が現れないのが気がかりだ。一息ついた頃、全員で乾杯する。職員走ろう会幹事のY彦さんが、最近は会員がなかなか集まらなくなったとぼやく。仲間で沖縄本島縦断駅伝を企画したあの頃の勢いとは大違い。難しい時代になったようだ。

 3時15分、花火が上がり競技場への扉が閉められる。グラウンド内では大集団がゴール目指してうごめく。手を振りながら走る仮装ランナー。歓喜の完走までもう一息だ。そろそろ水を被って濡れたパンツも乾いて来た頃。私はようやくトレパンを穿いた。

 走友と再会を誓って握手し、奥武山グラウンドに別れを告げる。痛む足を庇いつつホテルへ帰る途中、私はデパートへ寄った。その4階にある那覇市立博物館を観るためだ。ここは1年ほど前に出来たばかりとか。料金は400円。入り口近くの特別室に尚家寄贈の国宝が20点ほど展示されていた。尚家は琉球王朝時代の王で、明治期の琉球処分時に民衆の動乱を恐れた政府が沖縄から王家を東京へ「拉致」した経緯がある。

 もし尚家があのまま沖縄にいたら、沖縄戦の戦火で貴重な資料は灰燼に帰したであろう。強制的に東京に移住させられた「お陰」で、琉球王朝時代の品々が今日まで伝えられたのは皮肉な話だが、大量の資料が世話になった台東区でなく沖縄に寄贈されたことも沖縄県民にとって良かったのではないか。それにしても1千点以上もの国宝を持つ尚家は凄い存在だったのだと、再認識させられた私だった。<続く>






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Last updated  2007.12.07 16:41:18
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