マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2009.01.31
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カテゴリ: 芸術論
昨日の勤務後、デパートで開催されているジミー大西の個展を観に行った。きっかけはテレビのコマーシャル。作品を観た限り、私が好きそうな画風ではなかったのだが、一体彼がどんな作品を描いているのか、自分の目で一度確かめておきたいと思ったのだ。

ジミー大西が元お笑い芸人であることは知っていた。それも恐ろしいくらい愚鈍なイメージを持った芸人だ。ある時彼は警察犬と競って女性の匂いが沁みたハンカチを嗅ぎ、誰のものかを当てるゲーム番組に出たことがあった。厳しい訓練を受けている警察犬と人間を比べる馬鹿さ加減にも驚いたが、何と彼は持ち主を特定することが出来た。異常なる「匂いフェチ」だったのだ。

その彼が美術家になるきっかけもやはりテレビの番組だった由。誰の絵に一番の高値が付くかを競う中、絵が得意な多くの芸能人を尻目に、33万円の高値がジミーの絵に付き優勝。1992年のことだ。翌年は初めての個展を開く急成長ぶり。岡本太郎などにも絶賛された彼は、1996年に芸能界を引退し勇躍スペインに向かった。憧れの画家ピカソの生まれ故郷で絵に専念するためだった。

彼の絵は抽象画。デッサン力が乏しいと嘆くが、それをカバーする先天的な直観力と、構成力が彼にはある。色づかいも含め、常人にはとても真似の出来ない感覚だ。長らくスペインで修業した後、彼は世界を旅しながら作品を創って行く。地中海のマルタ、インドでもジミーの絵の骨格は変わらない。

ブラジルでは子供たちと一緒に砂金採りに興じ、得られた金を用いて彫刻を創り寄付。博物館に展示された作品はたちまち大評判となり、彼はパラ州政府から文化功労賞を受賞。その副賞の金で再び作品を作り、それも寄付して来たと言う。彼の作品はキャンバスから様々な分野へと飛び出す。銀行のキャッシュカードや通帳のデザイン、ワインボトルのラベル、陶器の絵柄、車や大型タンカーの装飾を手がけ、公園のベンチや遊具にも姿を変え、靴のデザインを手がけたこともある。

専ら水彩画だが、中にはアクリル絵の具で描かれたものもあった。彼の絵は片岡鶴太郎の絵のように優雅でもなければ奥深くもない。ただただエネルギッシュで、ありったけの情熱をそのままキャンバスに注ぎ込むだけだ。自由奔放な空間分割と溢れる色彩、何の躊躇もない抽象画。鶴太郎が複雑な具象の眼を持つとすれば、ジミーのは単純な抽象の眼と言えようか。独特の世界を持つ画家ジミー大西の作品には、やがて国際的な評価を受ける予感が濃厚に漂っていた。

今月のラン回数:15回(うちレース1回) 距離189km ウォーク回数:毎日 距離:149km 月間走行距離合計:338km 年間走行距離:189km 年間累計:338km これまでの総距離:65、760km






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Last updated  2009.01.31 13:42:21
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