マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2009.09.07
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 さらば立山 

部屋へ居たのはテラさんと富山県のランニング仲間で、総勢8名くらいがビールを飲んでいた。テラさん以外はほどんどが30代と思われる若さ。だがベテランのテラさんが偉ぶる様子は微塵も無い。翌朝テラさんがくれた名刺には、さる大企業の執行役員で研究所長兼務との肩書き。こんな偉い人が昨夜は若い人達と楽しそうに語らっていたのだ。

温泉に浸かって眠ったのは10時前だろうか。夜半3時過ぎにトイレに行き、それから1時間後に目覚めた時、きちんと畳まれた布団が隣にあった。昨夜話した通り、地元の登山家は剱岳方面へと出発したのだろう。私は静かに床を抜け、朝風呂へ向かった。閑散とした湯船には2、3人の姿しかない。展望風呂の扉を開け、まだ薄暗い地獄谷を覗く。

6時前、1人で食堂へ向かう。バイキング方式のメニューは標高2500mの山小屋とは思えない内容。心づくしの料理をゆっくり戴く。7時前、宿を出て地獄谷一周を試みる。大勢の人が既に朝の山々を仰いでいた。まず雷鳥沢のテント村方面に約200mほど下り、雷鳥沢ヒュッテの脇から周回コースに出る。強い硫黄臭と立ち上る水蒸気。所々で温泉が湧き、周回道路の上にも小さな温泉を見つけた。その温いお湯に手を浸してみる。

前方から若い男の人が近づいて来た。「おはようございます」。挨拶を返しながら良く見ると「自然保護センター」の腕章。環境庁の監視員のようだ。やがて道は急な登りになる。3人の老人がベンチから「元気ですねえ」と一声。どうやらコースを一周しようとして、あまりの傾斜に諦めた感じだ。後で資料を確認したらここは約2時間かかるコースだとか。それを1時間ちょっとで雷鳥荘へ戻った。

部屋へ入ると誰も残っていない。慌ててリュックを背負い、室堂ターミナルへ向かう。その途中、玉殿湧水に寄り、冷たい水をペットボトルに詰める。立山ではお土産を買わなかった。計算違いで懐が淋しくなっていたのと、ここの土産品は見栄えは良いのだが、中身が今一だからだ。バスの中でK藤さんから「佐渡島一周」で会う際に返すことで3千円を借金。9時、下山するバスがスタート。スタッフ手作りの「さよなら横断幕」に手を振って立山に別れを告げた。

隣席のランナーは長野のA宮さん。9月は「佐渡島一周」へ初参加する由。問われるままにコースの特徴やレースの概要などを教える。また今回途中でレースが打ち切られた「立山」のコースや、ペース配分などについてもお話出来た。10時50分富山駅到着。新潟行きの指定席を確保してから、煎餅やかまぼこなど富山の名産を土産に買った。

車中ビールを飲みながら「立山」を回想する。今回の参加で、東京のT本さんが奇しくも私と同学年で同じような仕事をしていたことを知った。20代から全国の名だたる山を踏破したと言う彼女が、立山の厳しい一面を教えてくれた。直ぐ下の人が位置を教えてくれないと、足を踏み出せないほど急な下りがあるのだとか。そんな山のベテランが最後につぶやいた。「もう山に登る気力がなくなったわ」。

来年、私が「立山」に出ることはないだろう。3年連続で出場し、そのうち2度雄山の頂上に立てたことで十分だ。仙台から遠い上にお金もかなりかかる。来年の8月は、福島の「安達太良登山マラソン」か、埼玉の「奥武蔵」に出るつもり。東北の美しい山々を走友と走るのも、暑くかつ厳しい奥武蔵への再挑戦もまた楽しい。次に立山へ挑戦するのは70歳の時と自分では決めている。遥かなる立山。5年後あの雄大な景色にもう一度会えるだろうか。<完>





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Last updated  2009.09.07 16:20:08
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