マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2009.12.14
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カテゴリ: 人生論
NHKの連続ドラマ「ウェルかめ」を時々観ている。だが、果たしてタイトルがこれで合っているのか、自信がないほどの不熱心な観方しかしていない。内容は青春のドタバタ喜劇とでも言えようか。ヒロインは徳島県南部の海岸の出身。実家の遍路宿は母親が悪戦苦闘しながら営んでいて、小さなサーフショップの主である父親は、未だにサーファーとしての夢を捨て切れないでいる。

徳島の小さな出版社に勤務し、一流の編集者になるため頑張っているヒロインを巡って、仕事や恋愛がからみながらストーリーが展開して行く。だが私が惹かれるのはドラマの内容ではなく、舞台となっている徳島の言葉そのものだ。

私は40歳から45歳までを、家族と共に徳島県の鳴門市で過ごした。新しい組織を立ち上げるため、急遽茨城県から赴任した。もう20年以上も昔の話だ。たった一人で新しい仕事に挑んだあの時の苦労が、ドラマの中で頻繁に出てくる「阿波弁」を聞く度に思い出されてならない。

職場ではほとんど徳島県人だったから、やはり阿波弁が飛び交っていた。東北にはない独特のイントネーション。彼ら自身の話では、徳島県人の気質は3つに分類されると言う。県南地方は海岸性気候の影響かとても温和。そして吉野川の上流は「そら」と呼ばれ、もの静かな性格の人が多いとか。それに比べ大阪に近い東部の鳴門や徳島は気質が荒く、商売上手とのことだった。

そう言われてみると、そのような性格は確かに当てはまっていた。イントネーションだけでなく、彼らが話す言葉の裏には果たしてどんな本音が潜んでいるのか。そんなことを気にしながらの日々だった。子供達の世界はもっと単純で、話す言葉が自分達とは違うと言う理由で、結構苛められたりもしたようだ。

何年か前、さだまさし原作の映画「眉山」(びざん)を観た。主役は松嶋奈々子だった。あの映画でも徳島や鳴門の言葉が飛び交い、眉山を初めとする徳島の懐かしい風景がふんだんに登場した。徳島の夏の風物詩である阿波踊りの場面では、生来の不器用のため練習してもなかなか上手に踊れなかったことを、苦々しく思い出したりもした。

その鳴門勤務時代の先輩が今年亡くなったことを、最近になって知った。息子さんの名前で喪中はがきが届いたからだ。昨年彼から届いた年賀状には、目が見えなくて返事が書けないため、来年から年賀状を出さないで欲しいと書かれていた。私は誰かに読んでもらえば良いと考えて今年も出す積もりでいたのだが、ひょっとしたら糖尿病でも悪化していたのだろうか。

享年67歳で1学年先輩だった彼。まだ亡くなるような年齢ではないと思うのだが、管理職として転勤した晩年は、きっと他人には語れないような苦労続きだったのだろう。鳴門時代も毎晩酒を飲み、酔いが醒めるまで麻雀に熱中した。あの時の仲間達は、元気で過ごしているのだろうか。安否の手がかりとなる年賀状を出す季節が、今年もまたやって来た。





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Last updated  2009.12.14 18:59:51
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