マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2011.11.21
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カテゴリ: 生活雑記
 妻の言い分 

朝風呂へ行くと大浴場は全くの無人。最初に露天風呂へ入る。外はかなり冷え込んでいるが、お湯の温度は高い。内湯にも入ってから部屋へ戻った。「お父さん、話があるんだけど」。妻がこんな感じで迫る時には、大抵ろくなことはない。だが前日の様子からしても、ここは聞くしかないだろう。「何?」。

堰を切ったように話す妻。「お父さんと話す時は我慢の限度を超えた時なの」。「お父さんは何かを頼んでも良い顔しないし、直ぐにやってくれない」。「他の家では旦那さんが色んなことを手伝ってる」。「大掃除は今から始めてるけど、もっと手伝って欲しい」。「私の体調の悪い時は「声掛け」して欲しい」。「食器のゆすぎ方が雑」などなど。

自分としては結構家事を手伝ってる積りだし、他の家のご主人がそれほど手伝っているようにも思えない。妻はホームヘルパー。「そんなに大変なら仕事を辞めたら」と言うと、仕事を辞めても家の仕事の半分は私にやって欲しいと妻。出来れば一緒に料理を作って欲しいそうだ。

私は朝も昼も自分で用意して食べ、時々自室も掃除する。反論する材料は山ほどあるが、少しだけにした。話すだけ話すと妻は朝風呂へ行った。前日からの様子だと、きっと寝不足で体調が悪かったのだと思う。こんな時はどうしても物事を悪いように解釈するのが妻の習性だ。だが風呂から帰ると妻の態度が変わった。「胸の内」をぶちまけて、気持ちが少し治まったのだろう。

部屋の窓から見える蔵王連峰を、妻は初めて眺めた。尖がった2つの峰は「烏帽子岳」。それは妻が描いた油絵とは、少し違った角度だった。2人揃って朝食に行く。私は和食を選び、妻はパンをメインに選んだ。どれも薄味でヘルシーで、心が籠っていた。朝風呂と美味しい朝食のお陰で妻の体調も戻ったようだ。

お土産を買い、記念撮影も済ませた。ホテルの送迎バスは11時発車のため、最後にもう一度大浴場へ行った。年賀状に使う積りでバスの運転手に撮ってもらった写真は、結局ちゃんと写ってなかった。「庭のユズでも撮ったら?」私の提案に妻は頷いた。バスの車窓から、白い雪を被った蔵王が見えた。それを振り返りながら妻が言った。「お父さん、また来ようね」。終わり良ければ全て良し。私は笑って頷いた。<完>





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Last updated  2011.11.21 15:50:25
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