マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2012.02.01
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カテゴリ: 日本史全般
 地名の不思議 

突然ですが、次の言葉からあなたは何を思い浮かべますか? 火 木 粟 黍 箒 湯または魚 蓑 豊 総 越。これでピンと来た人は相当勘の良い人です。それならこれはどうかな? 科野 毛野 淡江 稲葉 道奥。まだ分かりませんか~?これらは全て旧国名の原型ではないかと、私は密かに考えています。

火の国 木の国 「あわ」の国 「きび」の国 「ほうき」の国 「いゆ」または「いお」の国 「みの」の国 「とよ」の国 「ふさ」の国 「こし」の国 「しなの」の国 「けぬの」の国 「あわうみ」(おうみ)の国 「いなば」の国 「みちのく」の国です。でもどこか変だと思いませんか。皆さんが知ってる名前とは少し違いますものね。

国の名前の起りは、多分上記のようなものだったのではないでしょうか。それはごく普通に見られるものの名前です。少し説明すると「火」は火山で、「越」(こし)は都から見て山を越して行く遠い国。「豊」は豊かな土地で、「総」は立派な土地かな? 淡江(おうみ)は淡水湖のことで、道奥(みちのく)は文字通り道の奥。つまり最果ての地でしょうね。

ところが奈良時代のある時、「国の名前はおめでたい意味を持つ漢字2字で統一するよう」定められます。これでは漢字1文字の国は困ります。そこで火は肥前(今の長崎、佐賀)と肥後(熊本)に分かれます。本来の意味は雲仙岳や阿蘇山のような火山がある国だったのですが。樹木が生い茂る「木の国」は無理して紀伊国に、「粟」は阿波国、「黍」(今でもキビ団子が有名)は吉備に変わった後で備前、備中、備後に別れます。人口が増えると税を取り易くするために国を分割したのです。

「箒」は伯耆国(鳥取)、「湯」または「魚」は伊予国、「蓑」は美濃国。確かに美しく変身した気がします。「豊」は豊前(ぶぜん:福岡、大分)と豊後(ぶんご:大分)に「総」は上総(かずさ)下総(しもふさ:共に千葉)、越は越前(福井:後に若狭国、加賀国が分離)、越中(富山:後に能登国が分離)、越後(新潟)に分かれて2文字表記になります。

科(しな)の木は、その樹皮を加工して布を織りました。きっと科の木がたくさん生えていた土地だったのでしょうが、信濃国に変身です。稲葉は因幡国(鳥取)へと変わりましたが何だか意味不明ですね。問題は淡江。これは2つありました。琵琶湖と浜名湖です。今は海水が入り込んでいる浜名湖も昔は淡水だったのですね。

都から近い淡水湖の国を近江(「ちかつおうみ」滋賀)、遠い方を遠江(とおつおうみ=とおとうみ静岡)と呼ぶことにしたのですが「2字」の制約から「淡」が外れてしまったのです。毛野(けぬの)は草深い原っぱの意味ですが、上野(かみつけぬの=こうづけ群馬)、下野(しもつけぬの=しもつけ栃木)とこちらも「毛」が抜けます。2つの県をつなぐJR「両毛線」の名前の由来はここ。鬼怒川(きぬがわ)も昔は「けぬがわ」と呼ばれていたようです。

最後の道奥ですが、多分お隣の日立(お日様が出る国)が常陸(ひたち)国と名前を変えたため、その奥にある国と言うことで陸奥国へと変わったのでしょう。しかし常陸が何故「ひたち」と読むのかは分かりません。ひょっとして「陸」には「立つ」の意味があるのかも知れませんね。

ついでに沖縄のことも記します。琉球は中国から見た名前です。中国は沖縄のことを「大琉球」、台湾のことを「小琉球」と呼んだこともあるのです。沖縄自身は昔から「おきなわ」と呼んでいたようです。日本の古い文献には「阿児奈波」島(あじなは)の名前があります。きっとそのころの日本人には「おきなわ」が「あじなは」と聞こえたのでしょうね。

「レキオ」は西洋人が琉球の音を聞いた表記で、「うるま」は「うるわしい土地」の意味を持つ沖縄の古語です。「果てのうるま=はてうるま」が変化したのが波照間(はてるま)島や鳩間(はとま)島です。平成の大合併で沖縄本島に「うるま市」が誕生しましたが、由緒ある名前の復活は、文化遺産の保存の点からも良いことだと思っています。





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Last updated  2012.02.01 19:31:51
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