マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2012.05.07
XML
カテゴリ: 俳句
 弘前城さくら紀行ー2 

仙台駅から乗るはずの人が乗らないと添乗員が会社へ電話している。バスは13分遅れで次の集合地点へ向かった。だが添乗員が座席を廻ると、どうやらその人も乗っていたようだ。これは単なるチェックミス。本来なら人数を数えれば分かると思うのだが、どうも何かがおかしい。高速道路に入ってからも、添乗員は弘前城の桜の話を一切しない。「ははあ」。私は何かを予感していた。

 妻は初めてだが、私は弘前城の桜を前に見たことがある。会議が弘前で開かれた時にホテルから走り、城内を一周しながら桜を見たのだ。人口の割には城が大きく、桜の本数が多いのに驚いたものだ。例え今回が「外れ」でも、一度見てるだけマシと思うしかない。そして、眺望に変化があり、歴史がある平泉では俳句は作れたが、今回の弘前では無理だと諦めていた。

 ついでながら私がこれまで走った中で、桜を楽しめたマラソンは「長野」と「熊谷」だった。「長野マラソン」のコースは千曲川に沿い、有名な川中島の古戦場近くに桜がまとまって咲いている。この周辺には桃畑と菜の花も多い。ピンクと黄色の春の色を満喫し、遠くには雪を戴いた中央アルプスを望める最高のコースだった。

 また「熊谷」は、正式名が「熊谷さくらマラソン」と言うだけあって、桜が見もの。荒川の土手に沿って桜並木があり、ランナーはその花の下を走ることになる。これだけ桜を身近に感じるレースは珍しいと思う。「かすみがうら」も4月だが桜は既に散り、22km付近の民家の梨の花くらいしか印象にない。

 バスは一路東北道を北上する。宮城県内はまだ天気が良い方。大雨で氾濫が心配された大和町の吉田川も、流れはかなり落ち着いていた。山は今新緑に包まれ、芽吹きの微妙な色合いが美しい。この季節ならではのものだ。帰宅してから作った俳句を文章に添える。


   東北道 バス新緑を追ひかけて


 岩手県に入ると雲が広がり、やがてポツリポツリと雨がフロントガラスに当たり出す。退屈なので新聞を読む。北上、花巻を過ぎ、さらに盛岡を過ぎると岩手山が見えて来る。標高2038mの秀麗な山は、見る方向によって様々に形を変える。西根IC辺りでは、新緑の山の上に突き出る真っ白い山容が、目に飛び込んで来た。岩手を代表する名山で通称岩手富士。


   山笑ふ 中に真白き 岩手富士


 安代JCTで八戸道と分岐。バスは幾つかのトンネルを抜けて秋田へ向かう。県境付近から道はどんどん下る。鹿角など山間の街を抜け、さらにトンネルを潜るとようやく青森県だ。かつて三内丸山遺跡を観に行く際にこの辺りの温泉に泊り、ダムまで走ったことがある。11時半。配られた弁当を食べる。弁当屋は一流だが、内容はどうしようもないほど粗末。コンビニ弁当でもこんなケチなものはない。

 弘前が近づくと、添乗員はようやく弘前城の桜について説明を始めた。堀端の桜は既に散ったが、城内の枝垂れ桜や八重桜はちょうど見ごろ。またお堀に浮かぶ桜の花びらが見事とのこと。その他駐車場と有料ゾーンの観覧チケット、見るべきポイントなどの説明あり。不必要な荷物はバスに置き、これから3時間の自由時間となる。添乗員がチケットを買う間、私がツアーの旗を持った。

 城内は大変な人ごみ。狭い通路にたくさんの出店が並んでいる。今日が桜祭りの最終日。道理で観光客が多い訳だ。迷子にならないよう妻が私に着いて来る。最初の角を左折し、二の丸方向へ歩く。城内には5つの城門と3つの隅櫓があるが、全て築城当時の物で重要文化財の由。最初の丑寅(うしとら)櫓が左手に見える。


   花の下 人往き交ひし 古城かな   (二の丸)    <続く>






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.05.07 13:23:37
コメント(2) | コメントを書く
[俳句] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: