マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2012.05.08
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カテゴリ: 俳句
 弘前城さくら紀行ー3 

 左手に東内門が見える。堂々たる構えの門だ。その門を潜って外へ出ると左右に濠が見える。中濠と言うらしい。弘前城は東側から順に、外濠、中濠、内濠と三重の濠に囲まれている。そして本丸の西側には蓮池と西濠。その中濠に散った桜の花弁が列を連ねている。いわゆる「花いかだ」だ。桜は散ってもまだ絵になる。


   花筏 浮かびし濠の深きこと  (中濠)


 水が濁っていて濠の深さは分からないが、石垣が高いため濠が深く感じられるのだろう。再び東方門から二の丸に戻る。「日本一古いソメイヨシノだってよ」と妻。なるほど与力番所横に曰くあり気な古木。植えられたのは明治15年(1882年)と言うから今年で130歳。寿命を既に50年ほど越えている。上部は朽ち果て、脇から数本の枝が延びた姿には妖気が漂う。


   番所在り 世紀を超へし 桜かな  (二の丸 与力番所)


 本丸方向に進むと珍しく白い色の桜。その花も散りかけだ。さらに行くと、右手の濠の上に三重の小さな天守閣が見え出す。本来の天守閣は五重の立派なものだったようだが落雷で消失し、その跡に城内の櫓を移設した由。大きな城には似つかわしくない可愛い天守閣は、見ていても微笑ましい。


   行く春や 白き桜も 散り初めし  (二の丸)

   花陰に 櫓と紛ふ 天守かな  (本丸)


 下乗橋を渡って本丸へ向かうと、何やら列が出来ている。どうやら天守閣を見学するための順番待ちみたい。30分から1時間待ちとのこと。残念だが外から見るだけにする。


   人混みの 枝垂れ桜や 天守閣  (本丸) 


 鷹丘橋を渡って北の廓へ。瓦屋根の大きな建物は明治期になってから建てられた武徳殿。即売のリンゴを齧りながら東口を出、再び二の丸を南下する。2度目は土の道を行った。降り積もる桜の花弁。花の絨毯を踏みしめる。


   花弁(はなびら)の 踏まれし果てや 泥濘(どろ)の色  (二の丸)


 東南隅の辰巳櫓を仰ぎ、南内門から一旦外へ出て杉の大橋を見る。再び戻って南の廓を経由し、桜のトンネルへ向かう。蓮池と西濠の間の狭い堤。両側には桜の並木が続き、西濠の土手にも桜。弘前城には2600本の桜が植えられているようだが、その数の物凄さに圧倒される。


   桜樹も二千六百 弘前城  (桜のトンネル)   <続く>  





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Last updated  2012.05.08 20:23:21
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