マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2013.02.27
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カテゴリ: 俳句
 広いだけの梅林 ≫ 

 添乗員さんが言う。「曽我の梅園は水戸の偕楽園より凄いんです。約3万本の梅があります」。ふ~ん、これは期待出来そうだ。場所は小田原市の郊外。目の前には箱根の山々。その向こうに真白な富士山が立っている。添乗員さんが地図を元に、見学コースを説明。なるほど迷子になりそうな広さ。それでも人波に押されるように、前へ進んだ。

 ところが、狭い道に車がどんどん突っ込んで来て危ない。日曜日なので、観梅の観光客がどんどん押し寄せるのだろう。仕方なく遠回りして梅林を巡ることに。確かに梅の木の数は多いが、特に美しいとも感じない。ここは偕楽園のような庭園ではなく、梅干しの原料となる梅を採るための梅林なのだ。それに偕楽園は梅の種類も豊富なのだが、こちらは単純そのもの。なんだかなあ?

 途中「梅祭り」の催しをしている広場があった。そこを過ぎるとようやく人波が途切れ、歩き易くなった。目の前に大きな富士が現れる。ここは梅の花よりも富士山が一番の主役なのかも知れない。


    鋭角の 富士屹立し 梅林             きつりつ

    咲きし梅 香りの先に 富士の嶺

    紺碧の 二月の空や 富士の嶺

    青空に 富士が似合うと 妻の声


 歩いているうちにロウバイに出会った。もう枯れかかり、匂いもない。「そこは持ち主が手入れをしなくてね」。地元の方が申し訳なさそうに言う。確かに立派な樹なのだが、夏はツタに覆われて栄養不足のようだ。邪魔なツタを刈り取れば、かなりきれいな花が観られるのだろうが。「川の傍に咲いてるのがありますよ」と係の人。小さな流れに沿って登ると、確かにきれいなロウバイがあった。



    蝋梅の 香りも失せて 雨水過ぐ          雨水は24節季の一つ



 梅林を一巡して山に向かう。妻は展望台まで行こうと言うが、そこまでの時間はない。県道を過ぎて山道に入ると、家々の庭に様々な柑橘類が実っている。暖かい地方独特の風景だが、北国生まれの人間にとっては羨望の的だ。大きいのは甘夏だろうか。温州ミカンの古い種類みたいなものもある。皮の厚そうな実を1個失敬。後で車中で食べたら、昔ながらの酸味のあるミカンだった。


    鈴生りの 甘夏実る 曽我の春


 山の上から大勢のハイカーが降りて来る。展望台へでも登ったのだろうか。ここ曽我は、富士の巻狩りの際に仇打ちをした曽我十郎、五郎兄弟と縁の深い土地。そして江戸時代の篤学の人、二宮尊徳の生まれ故郷にも近い。尊徳の遺髪を埋めた墓があるようだが寄らず駐車場に戻る。

 彼は科学的な農業を目指し、川の堤防を築くなどした郷土の偉人。一説によれば、人糞の発酵具合を確かめるため、実際に舐めたと聞く。かつて小学校の校庭には、薪を背負い本を読みながら歩く少年金次郎の石像があったのだが。<続く>





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Last updated  2013.02.27 05:54:28
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