マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2013.03.29
XML
カテゴリ: 人生論
 座禅と恩師の近況 ≫

 道場名の陽徳院は愛姫の院号のはず。玄関に雲水姿の青年僧が伏せている。私達を歓迎するにしては不自然な姿だ。座禅と法話が終わってからお寺の方に聞くと、若い僧は入門を願い出た人なのだとか。許可が下りるまでの間は、寒さに耐えながらあんな姿で玄関で待っていたのだ。帰りには姿が見えなかったのは、首尾良く入門を許されたのだろうか。

 玄関で靴を脱ぎ、素足になる。既にここから修行が始まる。冷え切った廊下が続き、事前にトイレを済ます。これから約1時間、冷気に耐えるのだ。修行堂で座禅の作法を聞く。20分を2回繰り返し、開始と終了の合図は拍子木と鉦(かね)で行うこと。座禅の間の姿勢と心得、そして警策(けいさく:背中を叩いてもらう木の棒)を受ける際の注意などの説明。

 警策を受ける際の姿勢は、級友の住職が模範を見せてくれた。いよいよ座禅の開始。目は閉じず前方の「かまち」周辺を観る。心の中で1から10まで何度も繰り返して数字を数えると自然に腹式呼吸となり、無心の境地に達する。時々聞こえるのは松風とカラスの鳴き声だけ。目の前を何度も警策を持った僧が往復する。

 誰かが警策を受けたようだ。1回目の座禅中は勇気がなかった私だが、1度は経験したい。2度目の座禅に入って間もなく、近づく僧に手を合わせる。それが警策を受けたい時の合図。手を組み、体を前に倒す。最初は右肩を2回、次いで左肩を2回叩かれる。初心者に対しては通常より軽めに叩くと言われていたが、清々しくて気持ちが良かった。

 座禅後は老師の法話を拝聴。禅宗の世界観、仏陀の悟りと弟子への説教の話など示唆に富んだ内容だった。玄関に戻り、車に分乗してホテルへ向かう。私はDの車に乗せてもらった。彼はお笑い芸人サンドイッチマンの父親。高校時代は合唱部で、大学卒業後は銀行に勤め、幾つか支店長をした男。高校時代に彼から教わった歌は、今でも良く覚えている。

 ホテルは松島を見降ろす高台の上。割り振られた部屋は海側の5階で、たくさんの島々が眼下に望めた。まさに絶景だ。島の少ない塩竃市はあの大震災の津波で大きな被害を受けたが、ここ松島町は無数の島々が津波の緩衝材となり、ほとんど被害を受けなかった。早速大浴場へ行くと、露天風呂に外国人の子供が大勢珍しそうに入っていた。

 6時15分、宴会場でクラス会が始まった。最初に幹事から恩師の近況報告。なんと82歳の恩師は心筋梗塞で手術を受け、4日前に退院したばかりとのこと。それでもわざわざ我々の古稀を祝って駆けつけてくれたのだ。恩師の挨拶、クラス会会長の挨拶に続き、8名の物故者の冥福を祈って黙祷し、M山住職の乾杯の音頭で懇親会へ。酔いが進むと51年間の空白を埋める思い出話や体調の話などで盛り上がり、アルコールのピッチが一気に早まった。<続く>



スイセン.jpg

                 ≪ 今年も一番乗りはわたし ≫





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2013.03.29 07:56:02
コメント(4) | コメントを書く
[人生論] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: