マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2014.03.14
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版画10狂人.jpg



    オキナワ



 聖であるのか 俗なのか
 笑っているのか 哭(な)いているのか
 眠っているのか 覚醒(めざ)めているのか
 生きているのか 死んでしまったのか
 侵されたのか 自立しているのか
 貧しいのか
 それとも 途方もなく豊かなのか
 おまえの名は オキナワ


 阿児奈波
 琉球
 うるま
 レキオ
 Ryukyu Islands


 どんな名前で呼ばれても
 おまえは
 いつも黙って頷くだけだった


 往古(むかし)
 帆という帆に風を孕(はら)ませ
 海の彼方の幾つもの邦々(くにぐに)と交易したという
 「一千年」の誇り高い歴史を持つおまえよ


 目を凝らして見るがいい
 現在(いま)
 おまえの躯(からだ)に張り巡らされた有刺鉄線の
 <内側>の
 まだあどけない少年兵の横顔と
 <外側>の
 老婆の頸に残る 深い傷痕とを


 塵芥の山
 赤土流失
 死滅する珊瑚礁
 は
 お前の荊(いばら)の冠


 窃盗
 徘徊
 真夜中の暴走
 は
 お前の十字架


 おまえは混沌の海に漂う小舟(サバニ)のように
 終日彷徨(さまよ)う殉教者


 だが
 悲しむことはない
 おまえ自身も気づいてはいない
 おまえの本当の優しさを
 いつか 誰もが知るだろう


 だから オキナワよ
 それまでは 決して斃(たお)れるな
 大風に凡(すべ)ての果実を奪われても
 なお
 空に立つパパイヤのように


                 1991.5.30 第一詩集『南島風景』より



沖祭エイサー.jpg



 私は自分の詩について語ることはあっても弁解はしない。多くの人は沖縄を「悲劇の島」だと思い、ウチナンチュ自身もそう信じている人が多い。それは第二次世界大戦後、米軍の管理下に置かれて以降その想いが強くなったからであり、日本復帰後の沖縄の偏った「平和教育」と地元新聞社の偏った報道がもたらした弊害だとも言える。米軍は悪であり、基地はまさにその象徴だ。

 だが、本当にそうなのだろうか。「平和憲法」が我が国を平和にしたと信じる人が多く、私も長らくそう信じて来たのだが、最近私は日本の平和と繁栄は、日米安保条約によってもたらされたと考え直すようになった。米軍が沖縄にもたらしたのは「災い」だけではない。マラリアの原因の害虫などが駆除されて衛生的になり、栄養状態や教育内容は飛躍的に向上し、米国本土へ留学した者も多かった。

 平成元年の4月から3年間私は沖縄で勤務し、沖縄の現実を見続けた。島内の米軍基地の場所はほとんど頭の中に入っており、いずれもマラソンの時ではあるが基地の中にも3度入った。沖縄を離れてからも15度は沖縄を訪ね、米軍基地の縮小と沖縄の復興とを実感したものだ。現在の沖縄に、あの頃の暗い陰はほとんど感じなくなった。



版画3ハイビスカス小.jpg



 詩に書いたように、当時の沖縄は犯罪が多発し、人々の暮らしやインフラの整備が「内地」に比べて相当貧しく、遅れているのが現実だった。私が赴任した年は日本復帰後14年が経っていたが、現実はまだそんな状態。小学生が自転車の部品を盗んで自転車屋に売ったり、高校生が盗んだ車を飲酒運転して事故死する事件がしょっちゅうあり、当時高校生だった長男の同級生も、卒業までに3人が飲酒運転で死んだ。

 就職難で、自殺や離婚率が高かった当時の沖縄だが、独自の良さやユニークさもたくさん感じた。それらの印象をこの詩に凝縮した積りだ。沖縄に対する私の強い想いは、今も全く変わらない。いつもなら「詩」とする「カテゴリー」を、今日は「心のふるさと沖縄」に変えた。沖縄に惹かれるのは「異国情緒」のせいもあるが、かの地で暮らし、独自の歴史と文化を学び、私の故郷東北と共通性を感じたことも大きい。

 今後沖縄がどう進むのか。恐らくは沖縄自身も分からないはず。テーゲー(大概、いい加減)で責任転嫁するウチナンチュ。中には「日本からの独立」を熱く語る人もいるが、もちろん日本国憲法には何の根拠もないし、自己矛盾に気づかないだけだ。

 何よりも危険なのが東シナ海の向こうの大国であることに、日本人の多くがまだ気づかないことを憂う。一党独裁のあの国では党より軍が上位にあり、「沖縄を奪還する」と明確に宣言しているのだが。<続く> 





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Last updated  2014.03.14 06:39:33
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